この記事はLITALICO Engineers Advent Calendar 2024 シリーズ3の8日目の記事です
はじめに
こんにちは!プロダクトマネジメント部の寺町です。
障害福祉事業所向けの業務支援SaaSである「かんたん請求」というプロダクトのPdMを務めています。
2023年8月に中途入社し、未経験のPdMとして約1年奮闘してきました。
この記事ではこの1年の奮闘の記録と、コンサルから事業会社PdMに転職しての所感についてお話したいと思います!
経歴
新卒で総合コンサルティングファームに入社し、官公庁向けのシステム開発PMOやIT監査のPJに参画していました。
当時は進捗管理や、コード以外の成果物(取扱説明書等)の品質管理を担当していました
ジュニアながらに提案フェーズに関わらせていただいたり、様々な経験を積ませて頂いたと考えています。
なぜ転職してきたか?
コンサルタントとして様々なクライアントにご支援を提供し、国家単位のシステム開発に関われることはとても興味深い経験でした。
しかし、経験を積むうちに誰かの意思決定の伴走をするだけでなく、自分自身で意思決定を行いながら物事を前に進めたいと考えるようになって転職を決意しました(月並みな動機かもしれません)。
PdMになると決め選考を受ける中で様々な業界の選択肢がありましたが、もともと、母が障害を抱えている関係で障害福祉業界に馴染みがあったことから障害福祉業界を選びました。
手触り感を持って仕事を続けていくためにも、もともと馴染みがある障害福祉業界が自分が一番興味を持って働けると確信していたためです。
担当しているプロダクト内容
入社以来、「かんたん請求」というプロダクトの主担当PdMを務めています。
「かんたん請求」は障害福祉事業所向けの業務支援SaaSで、10年以上の歴史を持ち、多くのお客様にご利用いただいています。
歴史がある分、古いプロダクトでもあり、コアとなる計算基盤をはじめ、リファクタリングが必要なフェーズに直面しています。
具体的にしていること
この1年間を通して、古い基盤を新しい基盤に入れ替える基盤入れ替えPJの推進、障害福祉関連法の改正に伴う計算ロジックの見直し対応、その他グロース開発の内容立案と推進等様々な開発PJに参画してきました
顧客への訪問インタビューを繰り返し、要求の抽出から要件定義まで上流工程を主に担当しています
また、営業やマーケ等の「製品を売って顧客を獲得する」というプロセスの経験がない状態でしたが、事業部リーダー陣との定例打合せ等に参加し手触り感を持って実業の理解を深めています
転職時の期待値と現状
転職当時に期待していたとおり、自分で意思決定を行い製品開発を前に進められ続けています。期待していた以上に任せて頂ける幅が広く、大きなやりがいを感じています。
しかし同時に、自分で意思決定を行う怖さも感じています。
前職時代はファーム内の1チームの下っ端ジュニアとして、非常に限られた範囲の意思決定しか行ってきませんでした。
さらに、あくまでも最終決定はクライアントが行うもののため、自分が決めたものが世に出る感覚は一切ないまま過ごしていたように感じます。
自分で物事を推進したくて転職を決意したため、今の環境に不満はありません。
しかし、自分が決めた要件が誤っていて、開発メンバーや事業部に迷惑をかけることの怖さは常に持ち続けています。
どうやって怖さを克服するか
意思決定をする際に何が怖いのか分解をすると、以下のようになると考えています。
前提がわからない→何を根拠にすればいいかわからない→ふわふわした決定をする→間違っているかどうかもわからない→漠然とした不安だけが残る
前提と根拠を詰めるために知識があれば不安は軽減されるはずと考え、武器となる知識の獲得に全力を注ぎました。
未経験のジュニアPdMとして、一番手っ取り早く身につけられる武器として目をつけたのがドメインの知識です。
意思決定に必要な知識には、ビジネス知識やIT知識など様々なものがありますが、ビジネス知識やIT知識は座学だけでなく、経験を通してじっくりと培っていく必要があります。
一方で、ドメイン知識であれば、若手としての機動力を活かし、足を使って顧客訪問を行ったり、関連文書や法令をとにかく勉強したりすることで一定のレベルに達することができるからです。
どのようにドメイン知識を獲得するか
担当している障害福祉ドメインでドメイン知識を獲得する方法は、大きく分けて3つあります。
少しハードルは高いですが、①の方法が最も効果的な獲得方法だと感じています。
①業界で働いてみる
顧客のイメージを掴むには、自分も業界で働いてみるのが一番確実です。
私も実際に転職前の期間、グループホームという障害者向け施設で支援員として現場に出ていました。現場で得る肌感覚は理屈では判断しきれない決断の根拠になるように感じています。
また、顧客インタビューに行ったときに働いたエピソードを話すと「業者の人」というより「現場の後輩」として扱って頂けるため、話が盛り上がって何かと便利です。
②足を使って顧客訪問をする
顧客が何を考え、どのような環境で日々を過ごしているのかをイメージできるように、時間を見つけて何度も訪問しました。現場を直接見ることで、ユーザーのニーズや課題を深く理解することができます。
③法令解釈を鍛える(座学)
法律を理解するには、法令の適用解釈が重要です。法令の趣旨や目的、先例を調べ、自分なりの適用解釈の正当性を確認し続けました。繰り返すうちに、適用解釈の軸ができ、法令理解が深まりました。
前職の経験から活きたこと
前職では、社会人として最も重要な「成果が出るまでは何があってもやめない・諦めない」ということを学びました。コンサルタントは結果に対して報酬をいただいているため、結果を出せなければ何の意味もないと教えていただいたことは大きな財産です。
この基本スタンスを持って転職してきたことで、自分の怖さが薄れるまで情報を集めてから意思決定を行うというサイクルを続けることができています。コンサルで得たガッツは、事業会社でも大きな力になります!
今後の展望
転職の経緯で記載したとおり、もともと、母が障害を抱えている関係で障害福祉ドメインに親和性を感じていました。
障害を抱えた人の家族として、プライベートでは障害福祉サービスのお世話になっています。
実際に施設への入所を目指し、事業所に当事者家族として連絡を取ったりしています。
プライベートでの経験から、障害がある人の生きづらさや、頼るあてのない家族の辛さは痛いほど感じています。
その痛みを知っている自分だからこそ、このドメインの発展に寄与できることがあるのではないかと考えています。
今後の展望として、単純な事業所数を増やすだけではなく、障害がある人それぞれに見合った「心地いい居場所」を作る支援ができるプロダクトを作っていきたいです!
まだまだできないことの方が多いジュニアPdMですが、弊社にはやる気さえあれば様々なことを任せてもらえる環境があります。
チームの皆さんのお力を借りながら、全ての人に居場所を作れるようなプロダクトを作れるよう今後も精進していきます!
明日は@marst_xxさんのユーザストーリーに関する記事です。お楽しみに!