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【初心者向け】4STEPでわかる! IETF WG入門

Last updated at Posted at 2023-12-24

はじめに

IETF116にNOCとして参加したことをきっかけに技術標準化に興味を持ち、社内の有識者の方々からアドバイスをもらい、IETFの情報収集をしていましたが、非常に学びが多かったため今回は初心者向けのIETF情報収集STEPをご紹介します。

ご紹介の中では、実際に例があったほうがIETFの探検ステップがイメージしやすいと思うため、私が実際にどのようなジャーニーをたどったか記載しています。

そもそもIETFとは

IETFとはInternet Engineering Task Forceの頭文字で、インターネットのプロトコル標準化などを行う組織・会議を指します。毎年3月・7月・11月の3回開催されており、大体6日間(日曜〜金曜)開催されます。

日本開催はIETF116が8年ぶりで前回は2015年のIETF94でした。

STEP1: Working Groupの選定

そもそも「技術の標準化」といっても面食らう方が多く、どのようなテーマの標準化に関して自分の知見を深めていきたいかわからない方も多いのではないでしょうか?

IETFではWorking Group(以下WG)と呼ばれる、各トピック・テクノロジーごとに標準化に取り組むメンバーが集まり議論を行うグループがあります。

Active IETF working groupsから現在活動中のWorking Groupを見つけることができます。

それぞれのWorking GroupページのAboutにはCharterと呼ばれる、そのWGの活動内容や目標を記した文章があり、そこで大まかな方向性や現状の課題を把握することができます。

私は全WGのCharterを読み、自分の興味分野を探してました。
私は特にCDNの相互接続の標準化を行うWG、CDNI WGの活動に共感したので参考までにCDNIのCharterをこちらにおいておきます。

STEP2: 基本情報の収集

自分の興味や志と一致するWGを見つけたら、より深ぼりをする前に基本情報の収集を行いましょう。
技術情報の収集は本・Web・技術雑誌・Speakerdeck等あると思いますが、今回私はCDNに関してより現状の課題の分析等をしたかったため、田中祥平さん著の「Web配信の技術」を読みました。

このSTEPは意外と重要で、STEP3,4等で出てくる標準化のバックグラウンドを理解・予想する際に役立ちます。

STEP3: WG Draftを読む

基本情報の収集が終わったら、WG Draftを読みます。Draftとは、現在IETF WGにて検討中の新しい技術標準となります。
例えば、CDNIのDraftは2023年12月現在7本あり、

・Content Delivery Network Interconnection (CDNI) Control Interface / Triggers 2nd Edition
・CDNI Metadata for Delegated Credentials
・CDNI Cache Control Metadata
・CDNI Edge Control Metadata
・CDNI Protected Secrets Metadata
・CDNI Capacity Capability Advertisement Extensions
・CDNI CDNI delegation using Automated Certificate Management Environment

になります。私はこのDraftの中でも特にCDNI Cache Control MetadataとCDNI Protected Secrets MetadataのDraftは特に現代のCDNの抱える課題の解消や、よりよいCDNの実装に貢献できるものだと考え、この2つに関して更に深堀りして調査することにしました。

STEP4: メーリングリストのアーカイブを読む

現在のDraftを読んだだけでは、どのような文脈で現状のDraftの形になっているのか、また直近のDraftから今日までどのような議論が行われているかのキャッチアップができません。これを解決するためにメーリングリストのアーカイブを読んでみるのがおすすめです。こちらもWGページのAbout→Mailing List Archiveから閲覧できます。

例:CDNI メーリングリストアーカイブ

まとめ

今回はIETF WG入門と題して初心者の方向けの記事を書きました。

私自身、有識者の方からいろいろとご教示いただき、実際に正しいIETF Datatrackerの歩き方がわかっていると、情報の海に溺れることなく楽しんで標準化の動向を追いかけることができると感じました。
本記事をきっかけに少しでも標準化トレンドを追いかけ、楽しんでいただける方が増えればと思います。

参考情報

IETFの動向について
真に“オープン”な実践が技術進化を加速-IETFの存在意義とは何か?

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