LoginSignup
22
19

More than 3 years have passed since last update.

AWS IoT Events は IoT デバイスの「ステートマシン」 ― IoTデバイスの状態管理に使えるサービス

Last updated at Posted at 2020-05-28

AWS IoT Hero になったので、やっぱ AWS IoT 関連のアウトプットは必要でしょう、ということでお送りしております。

AWS IoT Events は「ステートマシン」

AWS では目的に応じた IoT 向けサービスが数多く存在しています。
その中でも今回取り上げる AWS IoT Events説明で損をしている12素晴らしいサービスですので、皆さんに知ってもらいたいと思い、紹介しています。

以下は AWS IoT Events の実装画面です。見たことありませんか?そうです、「ステートマシン」です。AWS IoT Events はIoTデバイスの状態管理(ステート管理)を行うことができます。
image.png

ステートマシンって?

いわゆる「状態遷移(図)」です。
例として挙げられるのが、 OS 内のプロセス遷移です。3 プロセスが New されてから Terminated されるまでの流れが描かれています。

たとえば "Ready" からは決して "Waiting" や "Terminated" に遷移しないとなっているわけです。(もちろん、そうやってコードの実装をする必要があります)

IoT では「状態」が常に発生している

現在はステートレス、システム内部に「状態」を持たずにシステムを作る考え方が、特にサーバレス界隈では常識(要出典)となっています。理由は「スケールしやすい」からです。
ステートレスとステートフルの解説や、ステートレスだとなぜスケールしやすいのかは ステートレスとは何か がわかりやすいのでご覧ください。

話を戻すと、IoT は必ず物理世界に「モノ」があり、モノは常に「状態」を持っています。例えば扉は「開いてる(Open)」と「閉まっている(Close)」のステートがあります。
ここで困るのが、ステートってどこに保存しておこうか? という問題です。

image.png

AWS IoT Core の「デバイスシャドウ」をにステートを保存するアプローチ

AWS IoT Core にはデバイスシャドウという、デジタルツイン2の実装ができる機能があり、これをステートの保存先として利用するアプローチが考えられます。
image.png

シャドウステータスを更新する方法はクラウド側、デバイス側、それぞれあります。

  • クラウド上から
  • デバイス上から
    • AWS Greengrass (の中の AWS Lambda)

結局 AWS Lambda ってことですね。

「状態」の実装で面倒な事

「状態」をコードで実現しようとすると、面倒なことが 3つ出てきます。

  • コード側
    • どのようなステートが存在するのか?
    • ステートの遷移条件は?
  • ストレージ側
    • ステートをどこにどうやって保存するのか?

image.png

このうち、「コード」については、実は GoF の State パターンがあるのですが、ダンプカーでコンビニに行く感覚くらいの実装量になります。
かといって、たとえば "open" から "close" へは遷移できるけど "open" から "open" は遷移できない(無視する)という実装を考えると、必殺 if 文の登場となりますが、ステートが増えた時や遷移条件が変更された時の保守が「うっ」ってなるのは、ちょっと考えれば想像できる話です。

前回どこまで遷移したか(=次回はどの「状態」からスタートするか)を保存しておく「ストレージ」もコードが必要となります。
デバイスシャドウであれば update_thing_shadow() を使いますし、Amazon DynamoDB や Amazon ElastiCache ... まあ色々と考えられますけど、結局コード内に「読みだして、保存する」実装しなければいけませんし、「キーをどうする」とか「データ構造どうしよう」とか、、、もう面倒!!

要するに、面倒なんです。

そこで AWS IoT Events

以下のように「状態 (ステート)」と「遷移条件」を指定することができます。
また、「今回はどの状態まで進んだか = 次回はどこからスタートするか」を保存してくれるうえ、次回のスタート場所を自動的に設定してくれます。

どの様に動作するかは、アニメーションをご覧ください。
a.gif

遷移時に「アクション」を呼び出すことができる

状態と遷移条件の実装だけでなく、遷移時の「アクション」も指定できます。例えば "open から close に遷移したときに Amazon SNS 経由で通知を送る" といった事もできます。

イベントは onEnter , onInput , onExit の3つです。(ドキュメントはここ)

  • onEnter : その状態になった時に発火
  • onExit : その状態じゃなくなった時に発火
  • onInput : データ入力を受け取ったら発火

基本的には「データを受け取って(onInput)」→「その状態じゃなくなった(onExit)」→「次の状態になった(次の状態の onEnter)」という形で発火していきます。(たぶん)
ますは onEnter を使えばわかりやすく実装できるでしょう。

指定できるアクションは ドキュメント を見てください。
image.png

結局 AWS Lambda じゃねぇか!!

そ、そうですね。
とはいえ、Lambda 関数には状態の移行条件の if/switch 文を排除できるので、Lambda 関数自体をステートレスに実装できます。

まさに「Lambda が Lambda であるために!」

AWS IoT Core と AWS IoT Events はどうやって連携する?

AWS IoT Core のルールに "IoT Events 入力にメッセージを送信する" で OK。
image.png

ほかにはどんな使い方が?

AWS IoT Events は内部でタイマーを持っており、これをイベントとして発火させることもできるので AWS IoT Events入門 一定期間通信途絶時にイベント発火してみた こんな使い方もできます。

これも状態管理ですね。

検知器(= 要するにステートマシン) のバックアップは CLI が使える

GUI 特有の「バックアップとかどうするんじゃい」問題は AWS CLI を使うことで解決はできます。

$ aws iotevents list-detector-models
{
    "detectorModelSummaries": [
        {
            "detectorModelName": "DoorState",
            "creationTime": 1568089449.837
        }
    ]
}
$ aws iotevents describe-detector-model --detector-model-name "DoorState" > model.json

あとは aws iotevents create-detector-modelmodel.json から復元する形となります。(ごめん、ここは未検証)

まとめ

AWS IoT Events はステートマシーンです。

ステート管理は AWS IoT Events に任せ、その他のロジックは別で(っていうか、実質 AWS Lambda)と役割を分離しよう。

AWS IoT Events は検知器(要するにステートマシン)の実行回数で課金される、完全従量課金モデルなので、いつデータが発生するかわからないような IoT デバイスと相性が抜群に良いかと思います。

あとがき

じつはこれ、JAWS-UG 広島 14回目@酒まつりの時に、ピンチヒッターとして登壇したときのネタなんです。。。使いまわしでスマセンスマセン。
今回あらたにアニメーション作ったから許してください。

当時のスライドはこちらです。悪天候で本当に大変でしたよね。。。でも楽しかった!!
thumbnail
Speaker Desk / AWS IoT Events はステートマシンですから。

これからも AWS IoT Hero の名に恥じぬような情報(使いまわしはいいのか?)を皆さんにお届けできたらいいなと思いますし、また、いろいろ教えていただきたく思いますので、お気軽に絡んでいただければと思います!

IoT 芸人として "Still Day One" をいつも心に、 Max 松下でしたー。

バックアップのくだりは

image.png
さすが。あざます!

EoT


  1. "IoT センサーやアプリケーションで発生したイベントを容易に検出し対応する" 🤔🤔🤔 

  2. 前はもっとアレでした "変更についてデバイスフリートをモニタリングし、アラートをトリガーして応答します" 

  3. 情報処理技術者試験とかでお世話になりましたね。 

22
19
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
22
19