0. はじめに
数学検定1級は範囲が広いので、色んな参考書を引っ張りだしてこないといけない。
面倒なので、前日に確認しておきたい内容を列挙しておく
1. 問題の構成
過去の内容を見返すと大体以下のような傾向がある(回によっては多少順序が異なる)
1級1次
(1) 整数問題、式の計算、因数分解、n次方程式の解
(2) 複素数、式の計算、因数分解、n次方程式の解
(3) ベクトル、線形代数
(4) 行列の固有値、行列式、逆行列
(5) 確率、統計
(6) 極限値、マクローリン展開、級数の極限
(7) 微分方程式、重積分
1級2次
(1) 整数問題
(2) 級数、漸化式
(3) 平面図形、代数系
(4) グラフ理論
(5) 確率、統計
(6) 大体は1次で出なかった分野が出題(線形代数、重積分、微分方程式)
(7) 大体は1次で出なかった分野が出題(線形代数、重積分、微分方程式)
よって上記の分野を簡単に内容を記述していく。
今回は整数問題編
2. 確認内容
2.1 整数問題
1次で出題される整数問題は比較的簡単なので解いておきたい。
以下ような問題は合同式を利用すれば5分もあれば解ける。
2.1.1 理解しておくこと
★で重要度を表す。★★★は必須、★★は知っておいたほうが良い、★は余力があれば。
☆第190回数学検定 問題1
$15^{2010}$ を 128 で割った余りを、正の数で答えなさい。
(略解)
$15=(16-1)$として二項定理を用いれば$128=16 \times 2^3$より
$15^{2010} \equiv (16-1)^{2010} \equiv \sum_{k=0}^{2010} {}_{2010}C _k 16^{k}(-1)^{2010-k} \equiv 2010 \times 16 \times (-1) + 1 \equiv 38 \times 16 + 1 \equiv 97 \mod 128$
$\therefore 97$
☆第213回数学検定 問題1
${23}^{23^{23}}の$1$の位の数字を求めなさい。$
(略解)
$23^4 \equiv 1 \mod 10$より、肩に乗っている$23^{23}$を$4$で割った余りの分だけ$23$が残る。
$23^{23} \equiv (-1)^{23} \equiv 3 \mod 4$ であるので結局
${23}^{23^{23}} \equiv 23^3 \equiv 7 \mod 10$
$\therefore 7$
☆第228回数学検定 問題1
次の連立合同式の解のうち、最も小さい正の整数$x$を求めなさい
\left \{
\begin{array}{l}
x \equiv 3 \mod 4 \\
x \equiv 5 \mod 7 \\
x \equiv 7 \mod 11
\end{array}
\right.
(略解)
$x = a \times 7 \times 11 + 4 \times b \times 11 + 4 \times 7 \times c a,b,c \in {\bf Z}$と置く。
すると以下を満たす$a,b,c$は解を満たす$x$となる。
\left \{
\begin{array}{l}
a \times 7 \times 11 \equiv 3 \mod 4 \\
4 \times b \times 11 \equiv 5 \mod 7 \\
4 \times 7 \times c \equiv 7 \mod 11
\end{array}
\right.
これより、
$77 \equiv 1 \mod 4$なので、$3 \times 77 \equiv 3 \mod 4$より、$a = 3$
同様に
$44 \equiv 2 \mod 7$なので、$6 \times 44 \equiv 12 \equiv 5 \mod 7$より、$b = 6$
$28 \equiv 6 \mod 11$なので、$14 \times 28 \equiv 7 \mod 11$より、$c = 14$
従って、$x = 3 \times 7 \times 11 + 4 \times 6 \times 11 + 4 \times 7 \times 14$ となるが、
「最も小さい正の整数$x$」を求める必要があるので、$x$を$4,7,11$で割った余りが変化しないように$x$を$4 \times 7 \times 11$で割った余りを求めると
$x = 3 \times 7 \times 11 + 4 \times 6 \times 11 + 4 \times 7 \times 14 = (4 - 1) \times 7 \times 11 + 4 \times (7 - 1) \times 11 + 4 \times 7 \times (11 + 3)$
$x \equiv (-77) + (-44) + 84 \equiv -37 \equiv -37 + 4 \times 7 \times 11 \equiv 271 \mod 4 \times 7 \times 11$
$\therefore x = 271$
☆第243回数学検定 問題1
本検定は$2013$年$11$月$2$日の午後に実施します。
そこで、$2013$の$(11 \times 2)$乗を$(5 \times 5)$で割った余りを求め、$0$以上の整数で答えなさい。
(略解)
$2013^{22} \equiv 13^{22} \equiv 169^{11} \equiv (-6)^{11} \equiv (-6) \times 36^{5}$
$\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \equiv (-6) \times 11^5 \equiv (-6) \times 11 \times 121^2 \equiv (-6) \times 11 \times (-4)^2 \equiv (-6) \times 176 \equiv -6 \equiv 19$
$\therefore 19$
☆第254回数学検定 問題1
次の合同式の解のうち、$0 \leq x \lt 91$を満たす整数$x$の値をすべて求めなさい。
21x \equiv 28 \mod 91
(略解)
$21x \equiv 28 \mod 91$より$7\times 3x \equiv 7 \times 4 \mod 7 \times 13$なので、$3x \equiv 4 \mod 13$
これを満たす解は$x$に0から当てはめていけば、$x=10$が見つかる。
3と13が互いに素であるため、13を足してもxの解となるので、$x = 13k + 10 (k = 0, 1, 2, ...)$が解の候補。
これより、$0 \leq x \lt 91$を満たす整数$x$の値は$x = 10, 23, 36, 49, 62, 75, 88$
$\therefore x = 10, 23, 36, 49, 62, 75, 88$
☆第271回数学検定 問題1
本検定は平成$27$年$7$月$26$日に実施します。そこで$7$の$26$乗を$27$で割った余りを求め、0 以上の整数で答えなさい。
(略解)
$7^{26} \equiv 49^{13} \equiv (-5)^{13} \equiv (-5) \times (25)^{6} \equiv (-5) \times (-2)^{6} \equiv -320 \equiv 4 \mod 27$
$\therefore 4$
☆第277回数学検定 問題1
次の連立合同式の正の整数解のうち、3桁となる解を全て求めなさい
\left \{
\begin{array}{l}
x \equiv 20 \mod 27 \\
x \equiv 15 \mod 11
\end{array}
\right.
(略解)
$x \equiv 20 \equiv -7 \mod 27$, $x \equiv 15 \equiv -7 \mod 11$より$x=(11 \times 27)k - 7 (k = 0, 1, 2, ...)$が解の候補。
この解の候補から題意を満たす解は$x = 290, 587, 884$
$\therefore x = 290, 587, 884$