はじめに
とても違和感を感じる用語がある。それは、『参照渡しだ』。
え!違うだろ?と感じていたが、いい機会なので、調べてみた。
引数
引数と呼ばれるものにどんな種類があるのか、まずは列挙してみる。
実引数
関数に渡す値。
sum(1, 2);
仮引数
関数が受け取った変数。
int sum(int a, int b)
{
return a + b;
}
値渡し(call by value
値が渡される。
ポインタ渡し
渡す値がアドレスの値渡し。
参照渡し
変数渡し(call by variable)
変数そのものを渡す。
参照渡し(call by reference)
参照渡しで、内部でアドレス情報を渡す方法。
自分の理解では、初期のプログラミング言語ではローカル変数の実装が困難で、変数はグルーバル。なので、変数渡し。近年の高級言語でローカル変数が実現され、その流れで値渡しが用意されたのかなと思っている。
Pascal
Pascalでは,値渡し(call by value)と変数渡し(call by variable)が存在し、変数渡しは参照渡しに相当する。
そもそもは、変数渡しの実装方法に参照渡しがある。参照渡しは、変数に対する参照(アドレス情報)を渡す方法だ。
Inside Macintoshは、コードはPascalで記載されているが、それをC言語で利用する場合、varがついた変数渡しの引数は、C言語ではポインターと読み替えていた。
具体的には、Inside Macintoshで以下のようにPascalで説明されていたとする。
PROCEDURE GetPort(VAR port: GrafPtr);
これをC言語では、以下のように読み替える。
void GetPort (GrafPtr *port);
C言語
C言語の関数の引数は全て値渡し。K&Rでしっかりと説明されている。
ポインタでアドレスの値を渡すのを参照渡しと呼ぶのは間違いだ。
Java
Javaも全て値渡し。
ポインタ演算ができない、アドレス(参照)の値渡しが利用できるが、これを参照渡しと呼ぶのは、如何なものか。
0'RellyのJavaクイックリファレンスでは、Javaは配列とオブジェクトを参照を通じで扱うと説明されていた。また、参照渡しという言葉と混同しないようにと書かれていた。
参照型の値渡しが参照渡しと勘違いされるのは、仮引数の参照型の中身の値の変更が、実引数側に反映されるからだと思うが、参照先自体の変更ができない。これは、C言語で、引数で渡されたポインターが指す先の値は変えらるがアドレスは変えられない。変えたい場合は、ポインターのポインタを利用するしかないということから分かると思う。
static char a[] = "hello";
static char b[] = "world";
void set_b(char **handle)
{
*handle = b;
}
in t main(int argc, char *argv[])
{
char *ptr = a;
printf("%s\n", ptr);
set_b(&ptr);
printf("%s\n", ptr);
return EXIT_SUCCESS;
}
C++
値渡しに加え、本物の参照渡しが存在する。
void time_two(int& a)
{
a *= 2;
}
また、C++11では右辺値参照・ムーブセマンティクスという所有者の移動が用意されている。
C#
二つの参照渡しの方法が用意されている。
ref
int initializeInMethod = 0; // 初期化が必須
OutArgExample(initializeInMethod);
Console.WriteLine(initializeInMethod);
void OutArgExample(ref int number)
{
number = 44;
}
out
int initializeInMethod;
OutArgExample(out initializeInMethod);
Console.WriteLine(initializeInMethod);
void OutArgExample(out int number)
{
number = 44; // 代入が必須
}
refは変数が渡されるので、初期化によって値が設定されていない変数はNGだ。
outは値を返すという意味から、初期化は必須でないか、関数内で値を必ず設定しないといけない。
Swift
値渡しだが、inoutキーワードをつけると値呼びの結果返し(call-by-value-result)となる。
C言語のポインターの場合と同様に、変数が参照型の場合、参照の値渡しにより値を変更できる。
class Demo {
public var num = 0;
}
func set999(a: Demo) {
a.num = 999;
}
let demo = Demo()
set999(demo)
値呼びの結果返しの例。
func set999(a: inout Int) {
a =999
}
var num = 0
set999(&num)
少し複雑に感じるが、基本、C言語と同様と考えると成る程だ。
【関連情報】
Cocoa Advent Calendar 2018
Cocoa.swift 2019-01
Cocoa.swift
Cocoa勉強会 関東
Cocoa練習帳
Qiita