はじめに
UXリサーチでは様々な手法があり、
定性・定量調査のどちらが有効か迷う場面があるのではないでしょうか?
ちなみに私は「定量調査 定性調査 使い分け」と検索した経験が軽く20回はあります🔍
そんな私が約1年半UXリサーチをする中で、
色々なコンテンツを参考に調査手法について学んだことをまとめてみました。
同じように、「どっちがいいんだっけ?」と疑問が浮かんだ方の参考になれば幸いです
定量調査・定性調査についておさらい
そもそも定量調査・定性調査とは?
どんな手法があるのか、
それぞれどんなデメリットがあるのか、を振り返ってみます📚
定量調査とは
数値や量で表せるデータを集計し、統計的な分析を行うことで、
客観的な情報や一般的な傾向を把握する調査方法です。
定量調査で使われる主な手法
手法 | 手法の説明 | 分かること |
---|---|---|
アクセス解析 | ウェブサイトやアプリの利用データを収集し、ユーザーの行動やパフォーマンスを分析します。 | ユーザーの関心やコンバージョンに至るまでの行動などから、改善ページ・ポイントを洗い出すことができます。 |
ABテスト | Webサイトや広告の表示を2つ用意(3パターン以上の場合もあります)し、「AパターンとBパターンではどちらがよいか」を比べる調査手法です。 | 2つのパターンのアクセス数やコンバージョン率などの優位性を計測します。 |
アンケート調査 | 質問項目を用いてユーザーの意見や満足度を数値化して収集し、特定のUX要素に関する意見や要望を把握します。 | ユーザーが特定の機能の使いやすさや満足度を評価できます。 |
使用性テスト | ユーザーに実際にシステムや製品を使用してもらい、タスクの達成時間やエラー率などを計測します。 | ユーザーが直面する問題や改善すべきポイントを特定できます。 |
ホームユーステスト | 製品やサービスを実際のユーザーの自宅環境で試してもらうテストです。 | 参加者に対して製品やサービスを提供し、一定期間使用してもらった後、使用体験やフィードバックを収集します。 |
エンゲージメント調査 | ユーザーのエンゲージメントや感情を評価します。 | ある機能やコンテンツに対する興味や関与度、満足度などを数値化して測定することができます。 |
定性調査とは
言動や感情等の数値化できない質的な情報を収集し、
得られた情報から、「価値観などの心理的側面」や「行動に至ったプロセス」を探る調査手法です。
定性調査で使われる主な手法
手法 | 手法の説明 | 分かること |
---|---|---|
ユーザーインタビュー | ユーザーに対して直接インタビューを行い、意見や経験を収集します | ユーザーの背景や心理を把握することができます。 |
ユーザビリティテスト | 実行してほしいタスクに沿ってプロダクトやプロトタイプを実際に使用してもらい、使用中の行動を観察したり、使用後に使い勝手の評価や感情を収集します。 | スムーズに使用できるか、ニーズを満たしているかなどを測定します。 |
ユーザビリティ評価 | ユーザビリティの専門家が認知的ウォークスルー、ヒューリスティック評価といった手法をもとにプロダクトやプロトタイプを評価します。 | ユーザビリティ上の問題を抽出します。 |
フィールドリサーチ | ユーザーの自然な環境で実際の行動やニーズを観察・理解します。 | ユーザーの日常生活や行動パターン、ニーズを把握することができます |
定性調査、定量調査のデメリット
定量調査のデメリット:
- 質問項目や回答の選択肢に抜け漏れがあった場合、調査結果が参考にならない可能性が高い。
- 質問項目や回答の選択肢があらかじめ設定されているため、参加者の自由な表現や意見を得ることが難しい。
- 主観的な要素や詳細な背景情報を把握できないため、結果の解釈に制約が生じる。
- 数値や統計データに基づく分析が中心となるため、感情や個別の体験を十分に捉えることが難しい。
定性調査のデメリット:
- サンプル数が限られることがあり、結果の一般性や広範性を確保することが難しい場合がある。
- 収集したデータの解釈には主観が介入しやすいため、結果の信頼性に懸念が生じる場合がある。
- 分析やまとめには時間や労力がかかるため、短い期間や限られた予算の中では実施しづらいことがある。
で、定性調査と定量調査を どう使い分けたらいいの?
💡使い分けポイントをまとめてみました。
使い分けポイント | 定量調査 | 定性調査 |
---|---|---|
💡何を調査したい | 裏付けとなる量的データが欲しい。 └実態・傾向を知りたい └立てた仮説を量的に検証したい |
原因・背景・感情・意見を詳しく知りたい └量的結果の原因・背景を知りたい └仮説を抽出したい └立てた仮説に抜け漏れがないか確認したい |
調査対象 | 大規模なユーザーグループ | 限定的なユーザーグループや特定の個人 |
収集する情報 | 数値データ、客観的な情報 | 意見、感情、主観的な情報 |
分析手法 | 統計的な手法例)クロス集計 | 解釈や洞察を重視 例)KA法 |
判断する上で最優先かつ最重要なポイントは、
「何を調査して、その結果データを何にorどう使いたいのか?をクリアにすること」 です。
定性調査と定量調査を掛け合わせで使おう
UXリサーチは、定性調査、定量調査それぞれのデメリットを補うために、組み合わせて実施することが有効です。
また、どちらの調査からするかについては、調査の目的に合わせて実施するとよさそうです。
定性 → 定量の順で行うのはどんなケース?
💡例えばこんな場合
例「プロダクトに対してのユーザーの利用状況や意識を定量的に明らかにしたい」
この場合、どのような質問事項や回答の選択肢を設定するのかが重要になります。
しかし、アンケートを作る人の仮説が実態とズレていると、例えば以下のようなことが起きます。
例)
- 回答・選択肢の不足
- 回答の選択肢に自分の状況を指しているものがない。
- 質問の不足
- 質問で聞かれている事に対して不満はないが、別の事に大きな不満がある。
ユーザーの本当の利用状況や意識は回答に反映されないまま集計されてしまい、
調査結果の精度が低くなります。
当然、調査結果から出された施策は成果に結びつきにくいと考えます。
より精度の高い調査結果を出す・成果に結びつける為に、
定性調査で「顧客の心理や傾向を把握して仮説をつくり、」→→→ 定量調査で「仮説を検証」する
定量 → 定性の順で行うのはどんなケース?
💡例えばこんな場合
「あるページの離脱率が想定以上に高く、ボトルネックになっているので、経緯や原因を知り、適切な対策を打ちたい」
この場合、離脱率が高い理由を知ることが重要です。
先ほどと同じく、「離脱率が高い理由はこうだ。だからこういう改善をしよう」と言ったこの"理由に対する仮説”が大きく的外れだった場合はどうなるでしょうか?
そこから生まれた施策は同様に成果に結びつきにくいと考えます。
工数・予算的にも重たい改善施策になりそうな場合こそ、その仮説を検証することをおすすめします。
(急がば回れというやつですね💦)
定量調査で数値データから得られた結果に対し、ユーザーのサービスや製品を利用している状況や背景を知りたい場合など、定量調査で仮説を作り、定性でさらに深堀りし、検証することができます。
より確度の高い施策を行うために、
定量調査で「問題箇所を明らかにしして原因の仮説を立て、定性調査で「原因・背景を調査」する。
参考記事
▼以下、本記事を書いたり普段私が参考にさせて頂いた記事です。
まとめ
繰り返しにはなりますが、
調査方法を考えるはもちろんのこと、調査設計をする中で最も重要なことは
「何を調査して、その結果データを何にorどう使いたいのか?をクリアにすること」 です。
そうすることで、定量調査、定性調査のどの手法をどう活用するのか、
リサーチ専門企業へ依頼するのか、自分たちで調査が出来そうかもイメージがつくかと思います。
私自身、今後もUXにしっかり還元できるリサーチが出来るよう日々精進します