前提
UXとは何ぞや?だった私が(2023年5月受験実施)UX検定合格を目指し、
シラバスに則った学習記録です📝
- シラバス(出題範囲)
- 推薦図書📚
これは何
本記事はUX検定の推薦図書である、 アフターデジタル2 UXと自由を読み、
第1章をまとめたものです。
記事の内容は アフターデジタル2 UXと自由の内容を記載、参照しています。
▼🔔注意🔔
- 個人的に重要だと思った点を抜粋してまとめています。
- 詳細は本を読むことをお勧めします。
対象読者
- HCD・UX未経験者
- UX検定を受験しようと考えている方
目次
- この章のポイント
- アフターデジタル概論
- 海外に学ぶアフターデジタル化
- 日本社会、変化の兆し
- さいごに
この章のポイント
2020年に世界中が新型コロナウイルスの影響を受け、社会の様々なものが大きく変化し、
with コロナといった新しい生活様式に。ここで大きく進んだのが"デジタル化"。
コロナ以前からモバイル決済、デリバリーフードアプリなど、デジタル化は進んでおり、これまでオフラインで行われた生活行動はオンラインに置き換わりつつあります。
アフターデジタルというコンセプトの概要をサマリとして理解し、
様々な観点で世界の全体状況をつかみます。
特に以下の言葉に注意して読みました。
- 行動データ
- 状況ターゲティング
- バリュージャーニー
- アフターデジタル型産業構造
アフターデジタル概論
オフラインのない状態が来る
オンラインがオフラインに浸透
↓
もともとオフライン行動だった生活が次々とオンラインデータ化し、かつ、個人のIDに紐づけられ、膨大かつ高頻度に生まれる行動データが利活用可能に。 ※今の日本もだんだんとそうなっている。
▽事例
- 中国
- モバイル決済
- "アリペイ"、"WeChatペイ"
- 例)レストランで注文から支払いまでをスマートフォンで完結
- "アリペイ"、"WeChatペイ"
- デリバリーフード
- 都市部でのシェアリング自転車
- タクシー配車
- "DiDi"
- モバイル決済
鍵は「行動データ」
- 行動データによって顧客理解の解像度が上がり、付加価値が高めることができるように。
- アフターデジタル社会とは「行動データを利活用できないプレイヤーは負けていく時代」に。
アフターデジタルという考え方
オンラインがオフラインに浸透する。
↓
純粋なオフライン、という状況がどんどん少なくなる。
↓
オンライン接点(WEBサイト、アプリ、SNSなど)、および、モバイルやIoTwo活用したリアル融合型のオンライン接点が多くなる。
↓
オンラインと繋がらない純粋なオフラインの顧客接点が少なくなる。
参照:https://afterdigital.bebit.co.jp/basic/article/adbasic_01
これは「店舗でいつも会えるお客様が、たまにアプリを使ってくれる」といったイメージではなく、
このリアルとデジタルの接点の主従関係を逆転させて考える必要があるというのが、
「アフターデジタル」というコンセプトになります。
アフターデジタルとは、デジタル化する世界の本質を示した概念。
データ化できないオフライン行動がなくなることで、私たちの身の回りのリアル(オフライン)が完全にデジタル(オンライン)に含有される世界をす。
リアルとデジタルは得意なことが異なるため、
リアルはなくならず、デジタルの中でしっかりと残ります。
「リアル接点は今までよりも重要な役割を持つが、今までよりも頻度としてレアになる」と捉えるのが正しいと考えます。
属性データから行動データの時代へ
今までは 「属性データ程度しか扱えなかった」というのが恐らく正しい。
以下のように属性によるターゲティングの効率化が行われていました。
- 属性Aには、商品Aをあてる
- 属性Bには、商品Bをあてる
行動データが取れるようになると、どうなるのか?
「最適なタイミングに、最適なコンテンツを、最適なコミュニケーション方法で提供できる」ようになります。
- ここでいうコンテンツとは、商品だけでなく、イベント、WEB記事、あたたかい言葉でも何でもOK。
-
属性としては1人であっても、状況によってその人の人格や興味関心が異なる
- 例)父親・母親として、ビジネスパーソンとしての人格が違ったりする。
行動データの時代では、人を「状況」単位で捉えることができるようになり、
人間の自己認識や社会における人の在り方にこれまで以上に近づくことができるわけです。
例えば、
「美容を通じて自身を表現したいが、十分なお金がかけられない状況」というように、
「状況による市場定義」を行う必要があり、
その状況がどの程度の頻度・ボリュームで発生し、各状況にどの程度のお金を使うかによって市場を規定するようになります。
ジョブ理論と通ずるもので、モバイル、IoT、センシングなどの技術革新によって、こうした理論が適用しやすくなり、親和性が高くなったと考えるのが正しいでしょう。
これを本書では属性データに対する新たな概念として、「状況ターゲティング」と呼んでいます。
OMOとは
OMOとは、アフターデジタル社会において成功企業が共通でもっている思考法のことで、
「顧客がチャネルの違いを意識せずにサービスを受けられるよう、
オンライン・オフラインを分けずに一体のジャーニーとしてとらえ、
これをオンラインの競争原理で考えるという概念」のことです。
※ジャーニーとは人の行動・思考・感情などを見える化した物を指します。
オフラインがなくなってくると、オンラインとオフラインを分ける意味はなくなります。
しかしながら、未だに多くの企業ではオンラインまたはデジタルの部署が既存のビジネスから独立しており、オフラインの部署との共通の目指す目標や協力したKPIの設計が欠けています。
オンラインとオフラインの区別が無くなりつつある現代において、
それらを別々のものとして考える企業は多くはありません。
これは、ユーザーから見た絵や社会における現状と食い違ったビジネス構造になっていることを示していると言えます。
オンラインとオフラインを分けることなく、一体の「ユーザージャーニー」としてとらえることの重要性はより高まっているわけです。
OMOでありがちな注意点
オンラインとオフラインを融合して捉えるとしても、多くの日本企業はやはり「オフラインにどうやってオンラインをくっつけるか」というビフォアデジタル的発想になってしまいがちです。リアルもオンラインになる時代では、店舗などの接点でもデータが得られます。そこでは。A/Bテストや高速PDCAというデジタルマーケティングの手法を活用して最適解を求めていくことが可能なため、「オンラインの競争原理で考える」ことが必須なのです。
重要なのは「エクスペリエンス×行動データ」のループ
ユーザーがジャーニーに乗って継続利用するには、以下の事を理解しておく必要があると考えます。
- 顧客の置かれている状況に即していなければ継続利用してもらえない
- 顧客データはシーケンス型に精絵里されていることが大事。
- 個別接点のデータがいくら集まっても大した意味はない。
- ひとりひとりのユーザーの行動履歴という形で時系列にデータが並んでいないと、顧客の置かれた状況を抽出できず、顧客理解に利用できないため、利用価値が極めて低くなる。
- 個別接点のデータがいくら集まっても大した意味はない。
- 「便利か、楽か、使いやすいか、楽しいか」といったUX品質が他のサービスよりも良いかどうかが最重要。
- これらが担保されて初めて、有用な行動データがリアルとかデジタルとかに関係なくシーケンス型にたまっていき、たまったデータをUXに還元し、さらにUXを良くすることでより粘着度の高いサービスに改善され、進化し、さらに行動データがたまっていく、といったループを作ることが「体験型ビジネス」の成功の最重要ポイント」となる。
バリューチェーンからバリュージャーニーへ
バリュージャーニーとは?
体験提供型ビジネスをOMOの思考法で運営し、エクスペリエンス×行動データのループを回すビジネスモデルのこと
▼従来のバリューチェーンとの違い
モデル名 | モデルの概要 | ゴール | |
---|---|---|---|
従来 | バリューチェーン | モノを企画し、生産し、ファネル型で売っていく製品販売型のモデル | 製品を販売する |
今後 | バリュージャーニー | 体験提供型ビジネスをOMOの思考法で運営し、エクスペリエンス×行動データのループを回す新たなビジネスモデル | 「顧客が成功すること」(=自己実現を果たしたり、今より良い生活を送れたりすること) |
これからは、「製品はあくまで顧客との接点の一つ」と考え、以下の他の接点と等しく扱われるようになります。
- アプリ
- 店舗
- イベント
- コールセンター
ビジネスモデルは、すべての接点が1つのコンセプトでまとめ上げられ、
その世界観を体現したジャーニーに顧客が乗り続け、企業は顧客に寄り添い続ける、
そうした新しいバリュージャーニー型に変化します。
例)音楽や映像サービス
- 従来:CDや音楽ファイルを曲やアルバムごとに購入
- 楽曲を楽しむ
- 現在:Apple MusicやSpotifyで月額料金で支払い
-
「楽曲やアルバム」は接点の1つになり、様々な接点・価値を統合したジャーニー全体を販売
- 雰囲気に合わせたプレイリストを選択
- 自分で作った音楽プレイリストを交換
- いい曲を選曲する人をフォロー
-
「楽曲やアルバム」は接点の1つになり、様々な接点・価値を統合したジャーニー全体を販売
アフターデジタル型産業構造
アフターデジタルのビジネスモデルであるバリュージャーニーは、産業構造を大きく転換します。
- 従来・・・モノを作るメーカーが強い
- 今後・・・顧客を状況レベルで理解している方が強い
参照元:https://www.bebit.co.jp/blog/future/ad-bebit-01_20190906/
-
トップに君臨するのは、「決済プラットフォーマー」
- ペイメントを抑えるプレイヤー
- 顧客理解の解像度が高くなる価値の高いデータを包括的に取得することができる
- ユーザーの好み
- 支払い能力
- 顧客理解の解像度が高くなる価値の高いデータを包括的に取得することができる
- ペイメントを抑えるプレイヤー
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2番目は「サービサー」
- 移動、飲食、旅行、動画、音楽など業界ごとの派遣を握るプレイヤー
- 圧倒的なUXによて圧倒的なユーザー数と粘着度を持ち、その業界における詳細な行動データを抱える。
- 移動、飲食、旅行、動画、音楽など業界ごとの派遣を握るプレイヤー
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一番下は「メーカー」
- 上記2つのレイヤーのデータがなければ正しくものを売ることができない。
- サービサーにユーザーの関心や接点が集まっているため、サービサーの為の部品を作る下請けになる可能性さえある。
- カーシェアサービスの為の車やドライブレコーダー
- デリバリーの為のバイクや自転車
- サービサーにユーザーの関心や接点が集まっているため、サービサーの為の部品を作る下請けになる可能性さえある。
- 上記2つのレイヤーのデータがなければ正しくものを売ることができない。
海外に学ぶアフターデジタル化
アジアに学ぶスーパーアプリ
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スーパーアプリとは?
- ペイメント機能にはじまり、Maas(Mobility as a Service)、飲食、金融など生活インフラ機能を全方位的に捉えたアプリ
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スーパーアプリになる得るサービス
- ペイメント
- Maas
- コミュニケーション
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スーパーアプリのマネタイズモデル
- Maasやコミュニケーションから始まっても、最終的にはペイメント機能を持つことで生活全方位に機能を拡大し、アフターデジタル型産業構造で頂点に君臨する「決済プラットフォーマー」になることを目指しています
- ペイメントを抑えることで、「あらゆる支払い状況か可視化できる状態」を作る。
- 成功しているスーパーアプリは基本的に、銀行口座を持たない「アンパンクト」に対する金融サービスを収益化のコアにしている。
- 例「タクシー配車アプリ"Grab"」
- 収益化を目指す順番
- タクシードライバー向けの金融機能を整え、ドライバーがより良く生活できるようにする。
- その後タクシー配車サービスなど他のサービス展開
- 収益化を目指す順番
- その他例「アリペイ」「WeChatペイ」
- 例「タクシー配車アプリ"Grab"」
- Maasやコミュニケーションから始まっても、最終的にはペイメント機能を持つことで生活全方位に機能を拡大し、アフターデジタル型産業構造で頂点に君臨する「決済プラットフォーマー」になることを目指しています
その他、学びになる動き
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インドに見る「サービスとしての政府(GaaS)」
- 国民をユーザーとし、いかに多様化するユーザーに対応する行政サービスを提供するか
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民間企業の可能性を高める仕組み
- 誰でも使えるオープンAIの仕組みを作り、ビジネスプレイヤーを巻き込んで浸透させた
- 「官と民をいかに混ぜ、経済に巻き込んでいくか」をいう観点
- 誰でも使えるオープンAIの仕組みを作り、ビジネスプレイヤーを巻き込んで浸透させた
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米国での、最強のプラットフォーマーGAFAに対するカウンターとしてのD2C
- プラットフォーマーに頼り過ぎず、テクノロジーをまとったブランドが顧客とダイレクトにつながり始める
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ブランドの世界観を押し出し、テクノロジーを駆使してこれを伝えたうえで、顧客に製品を販売するモデルからリレーションを作っていくモデルに転換している
- 例「寝具マットレス販売の"Casper"」
- 「睡眠は人間のウェルネスを決める重要な要素」とした上で、
- ウェルネスをテーマにした雑誌の創刊やポッドキャストの展開
- 商品購入はオンラインで完結にでき、100日間返品可能
- 独自にデザインされた美しい箱に入れられ、女性一人でも運搬可能な小型サイズ
- 購買者であるモニターのベッドにセンサーを組み込み、得られたデータから次の商品改良を実施。
- 従来型の「製品販売」のみを目的にした競合とは一線を画して新たな競争軸を持ち込み、創業2年目には200億円の売り上げを達成。
- 「睡眠は人間のウェルネスを決める重要な要素」とした上で、
- 例「寝具マットレス販売の"Casper"」
日本社会、変化の兆し
なぜ日本は遅く見えるのか
「日本が中国より遅い、遅く感じる最大の理由は何か?」という問いに対して、以下のように回答が記載されていました。
様々な理由が複合的に絡んでおり、1つに絞り込むことができない。
- インフラが十分に整備されていなかった所に、モバイルやAI等のテクノロジーをベースとしたインフラを作り上げた「リープフロッグ減少」
- 30年間経済成長を続ける国の変化需要殿高さ、
- 高い社会解決意識/社会変革意識を持った起業家の台頭
- 14億人という人口と貧富の差による労働力の確保 など
それらを踏まえた上で、「あえて理由を1つ」と言われた場合、
「日本はホワイトリスト方式、中国はブラックリスト方式の管理体系だから」 と答える
とのことでした。
方式名 | 概要 | 自由度 | |
---|---|---|---|
日本 | ホワイトリスト方式 | やっていいことを決め、それ以外はNG。 | 低い |
中国 | ブラックリスト方式 | 決められたやってはいけないこと以外は基本OK。 | 高い |
ブラックリスト方式では企業や個人に責任を負わせることになる為、
社会問題化した場合、大企業であろうと容易につぶれるリスクがあります。
中国の場合はブラックリスト方式の上で国の方針として重点領域を決め、
この方式が持つ自由度もある程度コントロールし、
国が持っていきたい方向に発展させるという手法が採られています。
大きな転換点となった2019年
このような環境でも、日本では2019年はペイメント競争をはじめ、大きな変化があった年と捉えるべきです。
- 国として"DX"に本腰を入れ始め、経済産業省による"DX格付け"を開始
- G20では日本起点でデータについての基本的な考え方「データフリーフローウィズトラスト」が発表
- 経済産業省では"キャッシュレス・ポイント還元事業"が発足し、巨額の予算が投下
- LINEが"LINE×OMO"という言葉を大きく使ってイベントや事例を展開
著者が感じるもどかしさ
UXへの注力がされていないDX,顧客の状況理解のないDXプラン、そうしたプロセスによるデジタル化は、まず成功することがない
アフターデジタルを発信している身として変化が起きてる事は嬉しいが、もどかしい思いを感じる点
- 顧客不在のビジネスプランやシステム導入先行型のDXが数多く存在する
- 日本と中国では環境が違うにもかかわらず、中国サービスの物まねをしている
- データ活用に関する幻想や理解の低さから、意味のない理想像が描かれているように思う。
さいごに
本質的な意味が考えられないまま流行ワードとしてUXが先行し、
「ユーザーに成功体験をもたらす」という観点がすっぽり抜けたまま取り組んでも
誰の為にもならないと考えます。
かくいう私もまだまだ理解が浅いので、引き続き学び、理解を深めた上で
実践に取り入れねば!と身の引き締まる思いがしました。