#バズワード「AIOps」
DevOps, MLOps, ChatOps, DataOps……
この〇〇Opsというワードが近年のIT業界のトレンドになってきてますよね。
これらのワードは定着するものもあれば消えていくものもあるんですが、今後浸透する可能性の有りそうなAIOpsというワードについて私なりに調べた結果を共有したいと思います。
(ちなみに初出は2016年頃にガートナー社が提唱したそうです)
##AIOpsを一言で表す
AIOpsを提唱したガートナー社の定義としては
「ビッグデータ、人工知能 (AI) 、機械学習を組み合わせて、可用性やパフォーマンス監視、イベントの相関付けと分析、ITサービスの管理、自動化といったIT運用のさまざまなプロセスやタスクを改善または部分的に刷新するようなソフトウェアシステム」(意訳)
つまりもっと簡潔に述べるならば
**AIOpsとは「主にインフラの障害対応等を自動化する取り組みや考え方」**のことと言えます。
これをもう少し理解しやすく「DevOps」というワードを引き合いに出したいんですが、というのも私の理解としてはAIOpsはDevOpsの延長線上にあるような概念です。
##DevOpsとは?
DevOpsとはDevelopment(開発)とOperation(運用)をかけ合わせた用語です。
wikipediaには
開発担当者と運用担当者が連携して協力する(さらに両担当者の境目もあいまいにする)開発手法
と記載されていますが**「運用ではなく開発になるべく多くのリソースを割くための取り組みや考え方」**と表現したほうが実情を端的に表しているのではないでしょうか。
DevOpsはシステム開発を担う多くの企業で取り入れられていますが、その前提には運用業務により開発にリソースを割いたほうが企業としての付加価値を乗せやすいという考えがあります。
例えばシステム運用の際には「問い合わせ対応」「定常業務」「障害対応」「インフラ管理」などの業務がありますが今やコンテナ技術、ChatBot、クラウドコンピューティング等を通じてかなりの部分が自動化できるようになりました。つまりもはや運用業務に人員を割かずとも開発チームが運用も兼任することで従来支払っていた運用コスト(人的リソース)を大きく削減することが可能になったわけです。
開発と運用が統合されDevOpsチームとして再編されたり、運用の自動化に際してツールが導入されたりすると分かりやすいですが、改めてDevOpsとは企業価値を高めるために開発と運用に投入するリソースを調整するための取り組みや考えのことと言えます。
AIOps は DevOps の延長線上にある
さて、上記の話の中で具体的な運用業務をいくつか挙げましたが、勿論これまでのDevOpsの取り組みでは自動化が難しい部分というのも存在します。それが「障害対応」です。
障害対応は大きく分けて監視・原因究明・対応策検討・実行というフェーズが存在しますが、これら一連の流れを自動化しようとすると明らかに従来のルールベースでは対応が不可能です。特に原因究明と対応策検討については複雑な判断が必要となるためDevOpsが浸透したとはいえこの部分については人の判断が必要でした。
しかしもしこの部分にAIを適用することができれば「障害対応」さえも自動化が可能になるはず。
このように「何かしらの運用業務をAIで自動化する考えや仕組み」がAIOpsと呼ばれ大手ITベンダーにて研究が進められています。
またAIOpsの機能を包括的に提供するツールはAIOpsプラットフォームと呼ばれガートナー社の「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2020年」においても黎明期のテクノロジーとして登場しています。
#実際どういう技術が使われている?
多くのAIOpsはログ・リソース・イベント通知・過去の障害対応状況等をリアルタイムに監視することで障害発生時に対応します。また、自然言語処理等の技術を使うことで通知メッセージから障害発生の兆候や影響範囲等を検知してアラートを出すことで障害を未然に防ぐような機能が搭載されていたりします。
例えばIBMのWatson AIOpsの場合は定常運用時のステータスを自動で学習し、逸脱した値を検知するとアラートを出すようなロジックがあるみたいです。
#代表的なツール
2020年11月現在、主に以下のベンダーからツールが提供されています。日本ではIBMやSplunkの製品が話題に上がることが多いですが日本国内でのAIOpsの具体的な導入事例は見つからなかったです。
- IBM
- Splunk
- CA Technologies
- VMware
- Microfocus
- HCL Technologies
- BMC Software
- Moogsoft
- FixStream
#所感
当たり前ですが日本語の情報はかなり少ないですが何か詳細が分かり次第追記していきます。実際に利用した方などいれば情報を共有していただければ嬉しいです。
#参考リンク
https://www.gartner.com/smarterwithgartner/how-to-get-started-with-aiops/
https://www.ibm.com/cloud/learn/aiops?mhsrc=ibmsearch_a&mhq=aiops
https://www.gartner.com/jp/newsroom/press-releases/pr-20200910