はじめに
タイトルでお察しかと思いますが、今回は「罰ゲーム化する管理職」の著者である小林祐児さんがPIVOTのYoutubeチャンネルに出演されており、そちらの内容が非常に素晴らしかったので、管理職の課題や対策について、記事にまとめたいと思います。
また、途中で出す資料はパーソル総合研究所の中間管理職の就業負担に関する定量調査からお借りしています。
中間管理職の課題
部下育成が不十分、後継者不足
働き方改革が進んでいるもの、現在の管理職は人手不足・ダイバーシティ・ハラスメント対応・人手不足などによって業務量が増加。
管理職本人の負担が増えている他、部下育成と後任者の不在という課題も抱えている。
昨今の働き方改革やハラスメント対応などにより、管理職の業務量は増加傾向にあります。
小林さんに言わせれば、「働き方改革は一般層の働き方改革」であって、それによって管理職の首を絞めていると。
業務量増加によって、部下育成に時間を費やすことが難しく、そんな管理職を見ている若手は管理職に志望しなくなるという負のループに。
「それなら今、管理職になっている人って何なの?無理やり昇進させられたの?」と個人的に思ったのですが、動画ではちゃんと答えてくださっていました。
ジェンダーギャップが要因なんだそうです。20代のうちは管理職を志望しないけど、ライフプランの変化(主に結婚)で管理職を志望するようになるんだとか。一家の大黒柱としての意識の変化なんでしょうね。
働き方改革による負担増
一般層は働き方改革で残業時間が短くなる半面、業務量は同じ、効率性も同じですから裁量労働制である管理職が業務を巻き取るしかなくなるシーンが増えています。
さらには、ハラスメント対策として「回避型マネジメント」が増えており、「必要以上に干渉しないようにしよう」や「飲み会誘わないようにしよう」となり、部下との信頼関係の構築が困難になっています。
回避型マネジメントにより、信頼関係の構築ができていないと結果的に「ハラスメントが増える」そうです。
どういうことかというと、信頼関係が築けていれば多少の衝突があっても深刻なことにはなりにくいですが、信頼関係が希薄だと少しの衝突でハラスメントになりうるからです。(ハラスメントに対応した結果、ハラスメントに近づくという・・・)
マイクロマネジメントの弊害
少し難しい図ですが・・・(文字小さいので、クリックして拡大してみてください。)
一番下の「厳格・厳密なマネジメント行動」がマイクロマネジメントですね。
縦軸は
配慮的行動:配慮的になり自身で考えて行動しない(些細なことでも報告し判断を仰ぐなど)
批判的行動:批判的になる・反抗する(上司を批判するなど)
積極的行動:自身で考えて行動する(自分に割り当てられた以上の仕事を進んで行うなど)
マイクロマネジメントでは、この3つのうち配慮的と批判的が多くなる傾向にあり、この2つは管理職の負担感を増大させるものです。
逆に積極的行動は負担感を軽減する方向に働くので、「信頼・承認のマネジメント行動」がベストということですね。自身の経験から考えても、配慮的行動は部下の立場からしたらどうやっても発生するものなので、如何に批判的行動を抑えつつ、積極的行動を促せるかがカギだと思います。
正解を与え続け、思考停止を招くマイクロマネジメントではなく、積極的行動を促す「信頼・承認のマネジメント行動」に切り替えることができれば、管理職の負担軽減だけでなく、部下の成長にも繋がります。
人事とのすれ違い
人事部は、ハラスメント・働き方改革といった新しい組織課題への意識が強いが、現場の管理職はリソース不足をより実感している。
会社からのサポートは、ITツール・マネジメント研修といった個別的・個人的な対策であり、組織的な支援には至っていない。
人事と管理職の課題意識を比較した表ですが、かなり差がありますね。
管理職:人的リソースの不足
人事:組織課題への対応(ハラスメント、働き方改革、コンプライアンス)
現場の管理職からしたらリソースの補充をしてほしいのに、人事側が行う対策はツールの導入や研修の実施というすれ違いを起こしている理由はここにあります。
対策
中々負のループな図ですが、では管理職自身はどうすればよいのでしょうか。
管理職目線での対策
マイクロ・マネジメントから「信頼」と「承認」のマネジメントへ。
自らの業務量が増えたときほど、部下の能力・仕事を認め、
信頼するマネジメント行動をとるよう、マネジメントの考えかたを転換していくべき。
結論、これに尽きます。
業務量が増えている現状ではマイクロマネジメントをした方が管理しやすいのは理解できます、
しかし、それは目の前の業務を処理するために適した手法であり、短期的な解決にしかなりません。
今の罰ゲーム化した管理職の負担を軽減するには逆効果であることは明白です。
それ以外の対策
・不要な役割の廃止
・職場内外での役割の分担(チーム内での役割分担、管理職以外のメンター制度導入)…etc
おわりに
僕自身は管理職ではありませんが、その立場の状況を理解することで仕事が回りやすくなることはあると思うので、今回記事にまとめてみました。
PIVOTの動画は前後編あって結構長いですが、気になる方は見てみてください。
参考
【罰ゲーム化する管理職】四重苦のスパイラル/後継者がいない/部下のメンタル問題/世界最低の「管理職意欲」/自殺の増加/働き方改革の弊害/ハラスメント研修の副作用/マイクロマネジメントの陥穽【小林祐児】