はじめに
つい最近まで新人、若手ということで教えてもらう側だったのに、後輩が増えてきてそんなことも言えなくなってきた今日この頃。
というわけで、「リーダーの立ち振る舞い」や「上司、先輩としての接し方」などを題材とした書籍を読み漁っている中で上司の心得なるものがとても参考になったので、記事にして共有したいと思います。
今回引用する書籍は以下です。
自分の頭で考えて動く部下の育て方 上司1年生の教科書/篠原信
上司の心得
1.部下ができたら楽になると思うなかれ
「部下ができたら自分の仕事を振ろう」「部下ができたら、大変だった自分の仕事も楽になるだろう」と甘い期待を抱いている人は多いだろう。しかし、そう考えている人の多くが足元をすくわれることになるので注意が必要だ。
こんな甘い期待をされている人ってそんなにいないと思いますが、大事なことですね。
上司の仕事は「部下に働いてもらうこと」であって、「上司の仕事を部下にやってもらうこと」ではないです。
書籍では上司と部下の関係を身体で例えていて、上司は神経、部下は筋肉と言っています。
運動のために伸縮するのが、筋肉。いつ伸び、いつ縮むかを決定するのが神経。
つまり、実作業を行うのが部下であり、意思決定や計画を行うのが上司というそもそもの役割が違うわけですね。
(プレイングマネージャーのように実務もこなすような上司もいますが、それでも意思決定の部分は上司の役割であり、部下に任せることができない領域です。)
2.上司は部下より無能で構わない
部下にしっかりした見本を見せなければ…。率先垂範というくらいだから自分が模範となるくらいに働かなければ…。そう思って頑張りすぎると、かえって部下が働かなくなってしまう恐れがある。
部下だったころは自分のやってきたことをアピールして評価してもらうことは重要ですが、上司が部下に自身のパフォーマンスを見せてしまうと悪影響を及ぼす可能性が高いそうです。
例えば、人はお手本を見たときに2通りの反応を示すそうです。
1.「このお手本通りに、上手にできるようになりたい」と願って努力する
2.「まあ、なんて素晴らしいお手本でしょう。素晴らしすぎて自分にできるとは思えません…」と自信を無くす
優秀な上司による部下への「俺は仕事ができる」アピールは多くの場合、後者になるため、模範となるどころか部下の意欲を削ぐ結果を招いてしまうのです。
そもそも前述した通り、上司と部下では役割が違うので、同じ土俵に立つ必要はなく、如何に部下を上手に動かすかが重要です。
3.威厳はなくて構わない
初めて上司になる人の中には、「部下に尊敬されなければ」「部下がビシッと言うことを聞く厳格な上司でなければ」と気負っている人もいるだろう。しかしそういう人が部下を指示待ち人間にしてしまいがちなようだ。
これはいわゆる軍隊式と言われるような教育法に近く、恐怖で支配することで従順な人間を作り出すものです。
軍隊式は兵隊のような命令が絶対な組織には必要な教育かもしれませんが、一般企業の上司であれば、「自ら考えて動く部下が欲しい」と思うはずです。
軍隊式では全く逆の人間を育ててしまうので、恐怖で支配するような教育は改めたほうがよいでしょう。
4.部下に答えを教えるなかれ
上司は部下に懇切丁寧に仕事を教えなければいけないと考えている人がいる。あまりに丁寧に教えすぎると、仕事への情熱を奪い、「指示待ち人間」を生んでしまう。
前述したように上司の仕事は「部下に働いてもらうこと」であり、そのためには「部下の意欲を引き出す」必要があります。
そこで大事なのが、「何を教えないか」です。
部下は上司が丁寧に教えてくれると自分で考えることをしなくなります。「おばあちゃん子は三文やすい」ってやつに近いですね。
意欲というのは「できない」が「できる」に変わったときに得られるので、思考をアウトソーシングしている部下に意欲は生まれない…達成感も得られない。
だから、「何を教えないか」を徹底し、部下に自分で考えるの習慣をつけさせましょう。
5.部下のモチベーションを上げようとするなかれ
マネジメントとは、部下のモチベーションを上げ続けることだと考えている人がいるかもしれない。しかし部下のモチベーションを上げようとする上司の働きかけは往々にして失敗に終わってしまう。
先ほどの「何を教えないか」によって「できるようになった快感」を強めることを意欲を高めると言いましたが、では具体的にどうすれば…?
それは「一利を起こすは一害を除くに如かず」がポイント。
意欲を高めるために仕事の仕方を教えるなどの手助けをするのではなく、いかに余計なことを省くかが重要。つまり、モチベーションが下がるようなことを取り除けばいいわけです。
そして、部下に行ってもらう業務は解決不能な難問ではなく、ぎりぎり上手くいきそうな、でも簡単には達成できなさそうなレベルのものを振ることも重要です。
6.部下を指示なしで動かす
部下には、手っ取り早く「次はこうするんだ」と指示をどんどん出したほうが仕事が早く済むと考えている上司は多いだろう。しかし、早そうに見えるその指示が、結果、指示待ちになっていつまでもあなたの手を離れない部下になる原因になる。
上司が何もかも細かく指示を出してしまうと「やらされている感」が強くなります。
受動的に行った行為は能動的に行った行為に比べて、達成感も面白さも半減します。
なので、上司は如何に能動的に部下に動いてもらうかを考える必要があります。
具体的には、タスクの進め方に指示を出すのではなく、逆に質問をすることで部下にどうしたらいいか考えてもらうことが有効です。
自身で考えたことであれば、納得感も理解度も格段に違うのでスキルアップもしやすくなります。
おわりに
いかがだったでしょうか?
今回は上司心得の紹介でしたが、他にも書籍にはシチュエーション別の教育方法も書かれていますので、かなり参考になります。
後輩育成などに悩んでいる方にぴったりの書籍ですので、ぜひご一読ください。