はじめに
最近こんな記事を読みました。
新しいPoSネットワークのバリデーター(トランザクションの処理を行い、PoWネットワークのマイナーに相当する)になるためには、最低32イーサリアム(約150万円)をネットワークにステーキング(預け入れ)する。
約150万円かー。高いけど、誰でもバリデーターになれたらPoSが成り立たないから、これくらいが丁度いいんだろうなぁ。
イーサリアム2.0が稼働すると、バリデーターは年間8~15%程度の報酬を得ることができるようになる。
年間8~15%程度の報酬って、株式投資とかより高利回りでなんか良さそう。
そんなことを思いながら、150万円投資する価値があるのか気になったのでいろいろ調べてみました。
Ethereum 2.0
Ethereum 1.0から大きく変わるのは次の2点です。
- 合意形成アルゴリズムがプルーフ・オブ・ワーク(PoW)からプルーフ・オブ・ステーク(PoS)に移行
- シャーディングを導入
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
プルーフ・オブ・ステーク(PoS)
Ethereumをたくさん持っている人の方がブロックチェーンにブロックをつなぐ役割を得やすくなる仕組みです。攻撃者が攻撃をするためにはEthereumをたくさん持たなければならず、結果的に自分で自分を攻撃することになるので攻撃を抑止できるという理屈ですね。PoWと比較したPoSのメリットとデメリットは次の通りです。
メリット
- PoWで問題になっていたマイニングによる電力消費の問題がなくなるため、環境にやさしい。
デメリット
- バリデーターとしてEthereumを保有し続ける人が多くなるため、流動性が低くなる。
環境への配慮ができているのは時代の流れにもマッチしていますね!
シャーディング
ブロックチェーンの弱点としてよく言われるのが「合意形成が必要なためスループットが低い。」という点です。シャーディングはこの問題に対する答えの一つで、ブロックチェーンにスケーラビリティをもたらします。そのため、Ethereum 2.0はBeacon Chainと呼ばれる全体を管理するブロックチェーンとShard Chainと呼ばれる実際にユーザーが使う複数のブロックチェーンから構成されます。
はじめの記事に出てきた「ジェネシスイベント」というのは、Beacon Chainを有効化するイベントのことを指しています。
Ethereum 2.0への移行に向けた現在位置とこれから
Ethereum2.0への移行に向けた開発は次の4つの段階で構成されています。
- 2015年7月~ フロンティア(Frontier)
- 2016年3月~ ホームステッド(Homestead)
- 2017年10月~ メトロポリス(Metropolis)
- 2020年12月~ セレニティ(Serenity)
現在(2020年11月)はちょうど最終段階であるセレニティの幕開け直前となっています。そしてセレニティは更に次のフェーズから構成されています。
- Phase0: Beacon Chainのみが稼働している状態
- Phase1: Shard Chainが稼働している状態。ただし、データの記録のみで、スマートコントラクトは実行できない。
- Phase2: Shard Chainでスマートコントラクトが実行できる状態。
つまり「ジェネシスイベント」によってBeacon Chainが有効化されると、そこからセレニティのPhase0が始まるということですね!Phase1とPhase2の開始時期は現時点ではまだ未定のようです。
最後に
Ethereumがこのまま予定通り2.0に移行し、スループットの問題も解決して流動性を保っていけるのかは現時点ではまだまだ不透明だと思います。その不透明性のリスクと年利8~15%を天秤にかけて投資するかどうかを決めるのでしょうが、純粋にリスクとリターンだけで考えるとまだ足踏みしてしまう人の方が多いのではないでしょうか?今はまだEthereumを支持する人たちが応援の意味を込めて投資している段階だと思いますが、この勢いが盛り上がって一般の投資家も巻き込んでいくようになると、明るい将来が待っていると思います。
これから先、どうなっていくのか楽しみですね!
2020年11月25日追記
12月1日にジェネシスイベントが開始されることが決まりましたね!
イーサリアム2.0、12月1日にフェーズ0がスタート──ジェネシス・ブロックを設定