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フロムスクラッチAdvent Calendar 2016

Day 15

エンジニア組織を創るということについて ~アジャイル論を添えて~

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この記事はフロムスクラッチ Advent Calendar 2016の15日目の記事です。

#想定読者
このエントリーは、以下のような人を対象にしています。
他のメンバーが、「~やってみた系」のQiitaらしい記事を書いている一方で、
前回よりも更にニッチな想定読者で、誰が読むんだこれ?という記事を書きます(笑)
どなたか参考になれば幸いです。

  • ベンチャーへの転職って、おいしいの?と思っている方。
  • 100人以下の少数ベンチャーでエンジニアをしている方。
  • エンジニアの組織づくりに悩んでいる方。

#自己紹介
フロムスクラッチというベンチャーで、エンジニアリング部門のマネージャーを務めております。
自社プロダクトB→Dashにおいて、プロダクトの要件定義、テスティングや開発プロセスの設計、
プラスアルファで採用や広報などを担当しています。前職は、NTTDADで働いておりました。

#"A lot of design information lives in tribal memory." - Grady Booch
いきなりですが、ソフトウェア開発方法論者のグラディ・ブーチさんの言葉です。
すなわち、設計情報の多くは**部族の記憶(trinbal memory)**の中にあると。
チームメンバーの記憶の中で共有されているが、明文化はされていないと。
この言葉の意味について、考察してみます。

#式年遷宮の比喩
私がこの言葉に出会ったのは、アジャイル普及に尽力されている平鍋健児さんの講演からです。

平鍋さんは、発表の中で、アジャイルにおけるモデリングの重要性について言及しています。
つまり、アジャイルは”包括的なドキュメントよりも、動くソフトウェア”を重視することには変わりないが、
チームに必要なドキュメントはメンテナンスし続ける必要があると伝えています。その一つが、モデリングであると。

さらに、モデリングと同様に重要なことは、”人(People)”であり、式年遷宮の比喩を紹介していました。

式年遷宮はペアプログラミングのようなもの。ノウハウと暗黙知の共有。
ソフトウェア開発でも暗黙知の共有で成り立っている。
暗黙知を排除しようとしたのがソフトウェア工学だが、その揺り戻しとしてアジャイルが生まれた。

この記事を書くタイミングで思い出したのですが、私の前職NTTDATA
で統括部長を務めている方も、この式年遷宮の比喩を用いて会社を
表現されていたことがありました。
(偶然なのか、平鍋さんのことを知っているのかは、今となってはわからないのですが)

NTTDATAは、宮大工の会社だ。
プロジェクトマネージャーが、何億円という案件を受注、何百人というエンジニアを動員する。
そこには、言葉では言い表すことの難しい、マネジメント力・PM力が存在する。
式年遷宮のように、社会インフラ立て直し続ける過程において、PM力という暗黙知が受け継がれてゆくのだ。

ここからわかることは、NTTDATAのように強く組織化された組織であっても、
やはり、暗黙知、**部族の記憶(trinbal memory)**が存在していて、
それが競争力の源泉になっている(そう認識されている)ことかと思います。

#部族の記憶≒文化
私は、この**部族の記憶(trinbal memory)**が、組織を創る上で重要ではないかと考えています。
そして、成果を出しているカッコイイ組織こそ、明文化がしっかりとされているのではないかと。
※なお、NTTDATAの内部でも、PM力を明文化する営みをされています。

#創れる側にいることの楽しさ
上記のようなポリシーをしっかりと持ったチームに所属することは、とても楽しいことだと思います。
一方で、この記憶を創る側に立つということは、挑戦的で、創造的で、とても楽しいことだと思います。

もちろん、弊社も明確にミッション・ビジョン、クレドを定義しています。
しかし、日々社員が増えてゆく中で、暗黙知というか、共通の体験というか、
**部族の記憶(trinbal memory)**といえる部分を、もっともっと作っていきたい。
そして、明文化することは目指しながらも、まずは共有していきたい。
そうすることで、私達のプロダクトが、今よりもさらに社会に価値を出せるのではないかと。
そう、信じています。

#おわりに
転職を考えている方は、「この人達は、どんな部族なんだろう。自分と同じかな?」って目で会社を見てみると良いかもしれません。
小さな組織にいる方は、これからどんな記憶を創るのか、考えてみてください。きっとわくわくするはずです。
大きな組織にいる方は、上司や先輩から、どんな記憶が残っているのか聞いて、しっかりと受け継ぐことをおすすめします。

おしまい。

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