はじめに
ネットワークの設計を経て機器が納品されて、いざキッティングするぞ
となった時のために、作業手順や作業内容について紹介します。
大まかな作業の流れは以下となります。
Cisco機器想定ですが、他メーカの機器でも概ね同じ作業を行います。
1.事前準備
2.検品
3.起動確認
4.各種ステータス確認(目視&ログ)
5.デフォルトコンフィグ取得
6.サポート解析用ログ取得
7.キッティング
では1つずつ説明していきます。
1.事前準備
キッティングする機器のハードウェア仕様は事前に調べておきます。
ポート構成(ポート数、コンソールポートやmgmtポート)や、電源構成(消費電力、電源の入れ方や落とし方)、ステータスランプ(LEDランプ)の見方は、次工程以降で必要な知識になります。
「ハードウェア設置ガイド」「インストールガイド」等メーカサイトに掲載があるので、簡単に調べることができます。
参考:Cisco Catalyst 9300 シリーズ スイッチ ハードウェア設置ガイド
2.検品
その名の通り、納品された機器のチェックです。
機器が入った段ボールを開梱して、発注した機種&台数が合っているか、納品書に記載されている同梱物は入っているか、保守資料などの紙媒体もすべてチェックします。
1台ずつ検品用チェックシートを作っておくと作業が円滑に進みエビデンスにもなります。
同梱物は、ケーブル類やラックマウント用金具やネジ、電源ユニット等々、機器によって様々です。
#Cisco Catalyst 9300 シリーズ スイッチ ハードウェア設置ガイド(梱包内容
より)
3.起動確認
機器の電源を入れて、正常に起動するか確認します。
機器によって消費電力や電源の形状が異なるので、キッティング環境の電源設備は予め確認しておく必要があります。シャーシ型など大きい機器は30Aコンセントが必要になる場合もあります。
初めにコンソール接続をしておき、起動中のログをエビデンスとして取得します。
エラーログが出ていないかを確認し、ログインプロンプトが表示されれば起動完了です。
4.各種ステータス確認(目視&ログ)
無事に起動できたら、ステータス確認を行います。
目視確認では、機器のステータスランプが正常であることを確認します。
LEDランプが、電源やFAN周辺、装置前面など各所にあります。
緑点灯、緑点滅、橙点灯、消灯etc...正常状態が何れかは知っておく必要があります。
ログ確認では、主に以下ログを確認し取得します。
機器ごとにOSバージョンやシリアル番号の一覧表を作っておくと運用保守面で便利です。
-
show version
機器に搭載しているOSバージョン、License、筐体シリアル番号等の情報 -
show inventory
機器に搭載している各モジュール(電源/FAN等)シリアル番号の情報 -
show env all
電源やFANの稼働状態 -
show logging
装置内に出力されたログ情報
(Ciscoコマンドを例としてます、メーカ/機種によってはコマンドは異なります。)
5.デフォルトコンフィグ取得
工場出荷状態の真っ新なコンフィグのことをデフォルトコンフィグと言います。
キッティング前後で何を設定したのか比較して判別できるよう、取得しておきます。
パラメータシートに漏れがないか確認するのにも役立ちます。
-
show running-config
稼働中のコンフィグ情報 -
show running-config all
show running-configには表示されないデフォルト値を含んだ全コンフィグ情報
6.サポート解析用ログ取得
Ciscoでいう「show tech-support」ログのことです。
showコマンドの塊みたいなものですが、かなりの容量になります。
GUIログインが出来る機器はブラウザからダウンロードできますが、コンソール接続で行うと数時間かかることもあるので、可能であればmgmtポートにIPアドレスを仮設定して、telnetなどでリモートログインして取得することをお勧めします。
7.キッティング
パラメータシートを元に設定をしていきます。
事前に流し込み用コンフィグを作っておくのもありですが、1つ1つのコマンドが弾かれていないか確認しながら行うことが大切です。OSバージョンや機種によってはコマンドが異なることがあります。
キッティング前後の「show running-config」を比較して、想定通りの設定が入っているか、想定外の設定が入っていないかを確認します。
次の工程について
キッティングが完了したら、各設定が機能するか単体試験を行って確認します。
単体試験を終えたら、周辺機器と接続して結合試験を行います。
これらはまたの機会に。では。m(_ _"m)