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NECソリューションイノベータAdvent Calendar 2024

Day 17

新人企業研究者が日本バーチャルリアリティ学会大会に参加してみた

Last updated at Posted at 2024-12-17

みなさん、はじめまして。

NECソリューションイノベータでxR技術研究を行っている藤野です。2023年度入社の新人です!
今回はNECソリューションイノベータ Advent Calendar 2024の記事として、2024年8月11日〜8月13日に参加した第29回日本バーチャルリアリティ学会大会の参加レポートを書きます。

概要

日本バーチャルリアリティ学会大会の詳細については、以下の公式ページをご参照ください。
https://conference.vrsj.org/ac2024/index.html

この記事では、特に印象に残ったものを書いていきます。

印象に残った講演や体験について

8月11日 メタバースフィールドラボ構想

【概要】

メタバースはVRの要素技術に加え、高度な社会性を持つ。多くのユーザがメタバースで長い時間を過ごし、様々なアバタや空間を通じて生活している。彼らはどのような考えや価値観を持ってメタバースで活動しているのだろうか。本セッションでは、メタバースを社会として捉え、それを調査するための空間である「メタバースフィールドラボ」の構想と現在までの取り組みを紹介する。(公式HPより引用)

【感想】

アカデミア、企業(EC・マーケティング)、個人(Youtuber)という異なる視点から、メタバースを舞台にした調査・研究について議論が行われました。特に、現実ではアンケートやモニタリングでしか評価できなかったものを、仮想空間で行うことによってデータ収集を自動化することで行動分析がより詳細に行えるという点に興味を持ちました。
確かに、アンケートにおける5段階評価(リッカート尺度)は体験者側の負担が少なからずあるものなので、時間がないから適当になるなどは個人的にも感じています。データ収集が自動的に行えることで、行動分析がバイアスの少ないものとなると定説が変わることもありそうだなと感じました。

8月12日 大和歌 VR Recording

【概要】

本企画では、百人一首の和歌に込められた情景を、バーチャルリアリティ(VR)技術を用いて再現することを目的とする。視覚、聴覚、触覚、温度感覚に働きかけることで、和歌の世界観を没入感高く体験できるシステムを開発する。これにより、現代人が和歌の美しさや深みを再発見し、新たな創作活動につなげることが期待される。本企画は、日本文化の魅力を現代技術で表現する新しい試みであり、文化理解や芸術表現の可能性を広げるものである。(第29回日本バーチャルリアリティ学会大会論文集(2024年9月)より引用)

【体験内容】

わたの原 漕ぎ出でてみれば 久かたの 雲ゐにまがふ 沖つ白波

上記の和歌を追体験するもので、船に乗りコントローラーを前後させることで港から大海原へ出ていくというVRコンテンツでした。体験の終わりには、体験者が良いと思った瞬間のスクショを印刷して「チェキ」として残すことができました。チェキにはコメントを書いて体験は終了

【感想】

学生展示の中で特に面白いと感じた展示でした。私個人としては、VRコンテンツは体験してみないとわからない、体験前の宣伝が難しいものだと感じています。意図的かは不明ですが、この展示では「仮想空間での体験を切り出してチェキ(物理物体)に落とし込み想いを書き込む、そして、そのチェキを置いておくことで通行人が展示に興味を持つ」という流れになっており、想いが込められた物理物体の良さを再認識して興味深く感じました。

8月12日 ランチョンセミナー「NVIDIA Omniverseを使ったFactory Automationの次世代システム」

【装置】

Magic Leap 2
Precision 5860 タワー 
デュアルNVIDIA® RTX™ 5000 Ada 世代, 32 GB GDDR6, 4 DP
ストレージ56TB

【シミュレーションの内容】

コントローラで白いリング(光度変更可能な照明)を操作して3Dモデルの対象(ネジなど)を撮影
→撮影した画像は左側のモニター左側画面に表示され、光量やアームの動作などの撮影条件を変更して問題ないか確認して、最適な条件を決定
→アームの可動域は現実に則している為、現実的でない場所に置いたリングには追従しない

【既存手法との比較】

既存手法ではこの作業を現実で行い、アームロボットに動作をティーチングする必要があった。照明も一瞬しか光らないので、何度も手作業で調整をする必要がある。

仮想空間上では、白いリングをコントローラで移動すればアームが追従するため、上記の手作業の調整をする必要がなくなり、アームの効率的な挙動をシミュレートできる。
→上記シミュレーションにより、工数の40%を削減

【感想】

体験の列に並んでいる間に開発者と会話しましたが、「普段の展示会ではこんな感想出てこない。操作の説明だけで最終的に”よくわからない”で終わってしまうので、これだけ感動してもらえるなんて開発してよかった。」と話していたのが印象的でした。
正直、発表を聞くだけでは本当に40%も工数削減できるの?と疑問でしたが、実際に体験することで現実では不可能だが仮想空間では可能である点が多く、このシステムの効果を実感しました。

まとめ

今回の日本バーチャルリアリティ学会大会では、多岐にわたる研究分野や技術開発の現状を把握でき、大変有意義な時間を過ごせました。

特に、「メタバースフィールドラボ構想」は、研究・企業・個人(Vtuber)の3つの異なる立場からメタバースの研究利用について議論が行われ、多角的な視点を得ることができました。また、企業展示の新製品や個人展示の独創的なアイディアは、創造性を大いに刺激してくれました。

今回得た知見や刺激は、今後の研究活動にも活かしていきたいと思います。特にアカデミアとの交流の機会として、こういった学会への積極的な参加を続けたいと感じました。

投稿内容は個人の意見であり、所属組織の公式見解ではありません。

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