VMware NSX-TのMigration Coordinatorの動作検証を実施しましたので、まとめます。(NSX-T Data Center バージョン:3.1.1)
NSX-T Migration Coordinatorとは
2023年にサポートが終了となるNSX Data Center for vSphere(NSX-V)の環境を、NSX-T Data Center(NSX-T)の環境に、同じハードウェア内でのインプレース移行の実施において主に使用される、NSX-Tに付属する自動移行ツール
移行上の制約
移行上の制約については、Docsを確認する必要がある。
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サポートされていない機能: ESGとToR間の OSPF(Static又はBGPでの再設定が必要)、IP マルチキャスト、IPv6
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サポートされるトポロジ: 記載のある5つのトポロジ のみ
※ 今回は「高可用性と L4-L7 サービスが設定された ESG(トポロジ 1)」を検証
Migration Coordinator を使用したV→T移行の概要
移行の手順は次の通りとなる。
- 新規のNSX-T環境の作成
- 移行前の環境の確認、[構成のインポート]
- [構成の解決]
- [構成の移行]
- [Edgeの移行] ※GUIによるロールバック対象はここまで
- [ホストの移行]
- 移行の完了 & クリーンUp
1. 新規のNSX-T環境の作成
- NSX-T アプライアンスを展開し、NSX-T ManagerからコンピュートマネージャにvCenter Serverを登録
- NSX-T ManagerにSSH接続し(adminユーザ)、コマンドにてMigration Coordinator サービスを開始
nsxmgr> start service migration-coordinator
- NSX-T Edge用のIP Poolの作成: NSX-Vのホスト用VTEPと、異なるVLAN/IPアドレス範囲の利用とルーティング設定が必要
- NSX-T EdgeのOVAからの展開:NSX Manager UIではなくOVAによる展開で、ManagerにはコマンドでJoinする必要がある。(IP Poolの設定等は、Migration Coordinator内で実施する)
edge01> join management-plane 172.18.10.61 thumbprint 16fbda4306b88b880070e32ab5f10ae48087015d70e364bb930fa364b6b678d1 username admin
2. 移行前の環境の確認、[構成のインポート]
- NSX-T Managerより、[システム] > [移行] から [NSX for vSphere] で [はじめに] を選択
- [構成のインポート] >[NSX を選択] を選択し、vCenter ServerとNSX-V の認証情報を入力後、[開始] をクリックしてNSX-Vの設定をNSX-Tにインポートする
3. [構成の解決]
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[構成の解決] にて表示される個別の警告の内容を確認し、対応する(指定が必要な内容の例:Edge Uplink IPアドレス、NSX-T Edge VMの選択、Edge Uplink VLANの指定など)
4. [構成の移行]
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[構成の移行]画面で [開始] を選択し、NSX-Vの構成をNSX-Tに移行する
※ 構成の移行時には、ワークロード仮想マシンの通信断は発生しない
5. [Edgeの移行]
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[Edge の移行]画面で[開始] を選択
※ Edgeの移行時には、N-S通信が停止する(EdgeがNSX-VからNSX-Tに切り替わる為)
※ ToRにて、移行後のNSX-T EdgeのUplink IPアドレスに対するBGPネイバー設定が事前に必要となる -
Edgeの移行の完了後(数分程度)、[続行]を選択して [ホストの移行]画面に移動
6. [ホストの移行]
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ホストの移行時は、いくつか設定が可能: クラスタ単位での一時停止、クラスタ間の連続又は並列実行や、下記のホストの移行モードの選択など
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ホストの移行モードの選択:
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メンテナンスモードでの実行例: メンテナンスモードに移行したホストは、NSX-V VIBのアンインストールとNSX-T VIBのインストールが実施される