こちらの記事は株式会社メドレーのAdvent Calendar(2024)の6日目の記事です。
コーポレートIT室の溝口です。
私はコーポレートIT(情シス)として、入退社に伴うPCやアカウントの管理・Slack、Confluenceなど全社システムの導入・PMIに伴う業務整理など様々な業務を担当しています。
数年前に弊社ブログでご紹介した、ChatOps な稟議ワークフローシステムを開発しました もご覧ください。
本記事では、従業員へITサポートを行う社内ヘルプデスクにフォーカスし、問い合わせを解決(=問題解決)するための考え方を紹介してみたいと思います。
社内ヘルプデスクとは
社内ヘルプデスクとは、従業員が抱えるITに関する疑問やトラブルに対応する窓口です。例えば、
- ソフトウェアのインストールができない
- インターネットに接続できない
- 社内システムのエラーが発生した
など「パソコン、ソフトウェア、ネットワークなど、社員が利用するIT環境に関するトラブルシューティングやサポート」を行います。他にも
- 社内システムの利用に必要なアカウント・権限の提供
- こういった事を実現したいなどより使いやすいIT環境へ向けた改善サポート
などもヘルプデスクの一環として対応しています。
弊社のヘルプデスクは、Slackに問い合わせ用パブリックチャンネルを作っており、
- 常に立ち上げているツールなので、スムーズにやりとりができる
- 過去ログがすべて確認できるため、似たような事例を自分で調べて自己解決できる
といった点が特色になるかなと思います。
ここから、弊社で発生した問い合わせにも触れながら、どのような考え方で対応しているかを紹介していきます。
1.状況を把握する
まずは、トラブルが発生している現在の状況と、どのような経緯でそうなったのかの事実を正確に把握することに努めています。
例えば、「オフィスの自席にある有線LANでインターネットに繋がらない」という問い合わせを具体例にみてみましょう。
記載した文面のみだと、考えられる原因としては、
- PC本体に問題がある
- 席に設置してある有線LANケーブルに問題がある
- 特定エリアのネットワークに障害が発生している
- オフィス全体のネットワークに障害が発生している
などが考えられます。
自分の席から有線LAN接続でインターネットに繋がる場合は、4.オフィス全体のネットワークに障害が発生している可能性はかなり低くなります。
また、複数の社員から同様の問い合わせが寄せられていない場合は、3.特定エリアでの問題発生も可能性が低いでしょう。
結果、1または2のどちらかまでは絞り込めました。
もう少し詳しく状況をヒアリングすると、「昨日席替えをする前までは問題なく使えていた」といった追加情報がありました。
その場合、席替えがきっかけで発生した可能性が高いため、PC本体に問題がある可能性も低く、移動先の席に設置してある有線LANケーブルまわりを確認する、といった対応が適切です。
最初の依頼文面「オフィスの自席にある有線LANでインターネットに繋がらない」だけでも、ある程度原因は想定できます。
ただ、トラブルの原因は、何かしらのきっかけによって発生していることが多いです。
そのため、トラブル前後の状況/発生した経緯を確認・把握することで、原因の候補をより絞り込むことができ、早期の問題解決に役立ちます。
2.整理する
同様の事象が複数発生したり、時系列が複雑だったりする場合は表などを使ったで情報整理が有効です。
例えば、複数のPCで似たような事象が発生しているが、関連性が見つからず、調査が難航しているケースなどが該当します。
集めた情報や試したことを可視化することで違いを視覚的に捉えやすくなり、思考を整理することができます。
例えば以下のような感じです。
No | ステータス | 対象者 | 拠点 | PC番号 | PCメーカー | 試したこと | 依頼URL |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 対応中 | Aさん | 東京 | 00001 | hoge | キャッシュクリア→効果なし 再ログイン→効果なし 再インストール→依頼中 |
https://〜 |
2 | 新規 | Bさん | リモート | 00002 | fuga | https://〜 |
頭の中のみで情報整理を行うと、考慮にヌケモレが発生する可能性もあります。
情報整理には時間がかかるため、急ぎの問い合わせ対応では作成がおろそかになりがちですが、対応に詰まったと感じたら一度立ち止まって整理するのがオススメです。
3.代替案を検討する
ときにはすぐに解消できない/原因がわからない問い合わせもあるかと思います。
そういった場面においては、業務を継続できる代替案がないかを常に検討しながら対応しています。
例えば「PCの電源が入らない」という問い合わせがあった場合の対応において、
【to 依頼者】電源ボタンの長押しと放電の依頼
【チーム内】問題が解消しなかった場合に備えて交換用のPCを準備
のように並行して進めます。
問題解消する方が好ましいですが、業務できない時間が可能な限り発生しないよう、代替策を含めた複数の解決案を検討・提示しながら、依頼者の状況に合わせて柔軟に対応できるよう意識しています。
常に次のステップを意識し、様々な可能性を想定することで、想定外の事態にも慌てずに対応できるようになります。
4.本質的な問題を捉える
基本的には従業員からの問い合わせをそのまま受け取り、その事象を解決すべく動くことになります。
しかし、実際にヒアリングしてみると、当初の依頼内容とは異なる解決策が最適なケースも少なくありません。
例えば、「新しいツールを使いたい」という問い合わせがあったとします。
ヒアリングを進めていくと、既存の社内ツールで十分な機能が提供できることが分かり、結局ツールのマニュアルをお渡しするだけで済む、といったケースも起こりえます。
このように、依頼者が解決したい課題は、必ずしも当初の依頼内容と一致するとは限りません。
そのため、依頼内容から読み取れる課題と、ヒアリングを通じて明らかになる課題の両方を考慮し、最適な解決策を提案することが重要です。
5.人に頼る
自分で調査・検討した上で、解消しない場合は、周りに相談しましょう。
実際に経験した事例ですが、ソフトフォンの音声が途切れるという問い合わせが複数件寄せられました。
ヘッドセットの交換、PCの交換、各種設定の確認など、様々な検証を行いました。しかし、一部の端末では改善が見られず、解決まで時間がかかりました。
そこで、他のメンバーに相談したところ、原因はメーカーがデフォルトでインストールしていたアプリケーションにあることが判明しました。
その当時は、デフォルトアプリケーションを疑うという発想がなかったため、自分一人で解決することは難しかったと思います。
また、相談する際は、具体的に質問をすることも心がけましょう。そのほうが相手も状況を把握できて的確なアドバイスをしやすいです。
良い例:ここまで調べて、この部分が怪しいと考えているのですが、他に確認すべき点はありますか?
良くない例:この問い合わせどうすればいいですか?
試行錯誤した過程で得た知識は、(人に頼って解決したものであっても、)自分の中で定着しやすいと感じます。
そのため、自身で対応が難しい問い合わせであっても、どこが分かった/分からなかった・今回どうすればよかったかを都度振り返ることで、次回以降の問い合わせ対応に生きてきます。
終わりに
社内ヘルプデスクを例にとって、どのような考え方で問題解決をしているか、を書かせていただきました。
ヘルプデスクを経験したことがある方は、「あるある」と思っていただける内容もあったのではないでしょうか。
コーポIT(情シス)以外の方においても、なにかの問題解決の際の参考になれば幸いです。
メドレーのコーポレートIT室では、いろいろなプロジェクトが絶賛進行中です!
「ルールを作らず、仕組み/仕掛けで解決する」などの価値観に基づき行動し、ヘルプデスクも含め現場の業務効率を高めながら、中長期的な改善施策にも取り組んでいます。
コーポレートITで一緒に働いているメンバーのnote記事もご覧ください。
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以上です。
次回は、 @shiromie さんです。お楽しみに!