はじめに
年末年始にかけて、かなり自分的に良い技術同人誌と出会えたので、その紹介を兼ねて投稿します。
(当方AndroidエンジニアのためAndroidに話題が偏ります)
技術書典とは?
展ではなく典です。念のため。
「技術書典」は、主にIT系の技術者が技術系の同人誌を頒布するための即売会です。ざっくり言うと技術者向けのコミケ的なものです。
2016年から年2〜3回ペースで開催され、今までに全7回が開催されています。頒布された本はBOOTHで取り扱っているものも多いです。
技術同人誌の魅力
「技術書の同人誌? なにが良いの?」と思われる人も多いかと思います。私も半年ぐらい前まではその存在すら知りませんでした。
自分的に「いいね!」と思ったポイントを紹介していきます。
1. 最新の情報をキャッチアップできる
なんといっても技術同人誌の最大の魅力は、「(ほぼ)現役のエンジニアが、今の活きた知識をもとに書き上げた技術書である」という点です。
例えばこちらをご覧ください。
こちらの技術書には2019年の5月のGoogle I/O 2019で初めて発表されたJetpack Composeなどの技術が紹介されているほか、「第2章 忙しい人のための AAC 最新事情」では、2019年9月にリリースされたLiveData2.1.0の追加機能などが紹介されています。
※Androidの話がわからない人はごめんなさい
Googleの公式発表からこの技術書が執筆されるまでの速度は、商業誌では実現しえないスピードです。
商業誌は体系的に知識が網羅されているものが多く、それはそれで重宝します。
しかし、商業誌の執筆から出版までには、一年以上の時間が費やされているものが少なくないため、特に技術の進歩が早いWeb系やモバイル系の本は、**出版された時点で少し古い知識になってしまっている…**という事も往々にしてあります。
その点、技術同人誌は数ヶ月程度のスパンで執筆開始〜頒布までが行われるため、知識がかなり新しい場合が多いです。
知識の流行り廃りが激しいエンジニア業界では、相当のアドバンテージがあると言えます。
2. 商業では載せきれないマニアックな知識が紹介されている
商業誌は売り上げを上げることが第一です。
このため、技術書も色々な人をターゲットにできるように、知識を広く浅くおさえている場合が多いです。
しかし技術同人誌の場合、個人の経験値・趣向が反映されていたり、商業では載らないようなマニアックな知識を紹介されていたりして、思わぬ知識を得られるのが面白いです。
ここでは自分が興味を惹かれた技術同人誌を紹介します。
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チームでつくるRESTful API(kuluna 著)
Restful APIの基本の紹介から、同じ処理を「サーバーサイドから見た視点」と「クライアントアプリサイドから見た視点」とで分けて紹介されており、「チームで作る時にどういった点を意識すれば良いか」などの参考になります。 -
エンジニアアンチパターンNEXT 〜失敗に学ぶエンジニアリング〜(このすみ 著)
過小見積もりで炎上するプロジェクト、挫折するキャリア、放置される新人…など、エンジニアが陥りがちな失敗談と、その原因と改善策をご本人の経験をもとに紹介されています。
↑を読んで胸が痛くなった人におすすめです。書いていても胸が痛くなりました。 -
自分でつくるゲームボーイのカートリッジ(niccolli 著)
個人でゲームボーイのカートリッジを作った時の記録を紹介されています。知識的にはほぼ分からないのに応援の意味で買ってしまいました
Androidのおすすめ技術同人誌
こちらでは「これは!」と思ったAndroidの技術同人誌を紹介していきます。これが本題です。てくぶの回し者ではないです
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みんな気になるAndroid開発の最新事情
先ほど紹介しましたが良著なのでもう一度紹介します。以下のようなAndroidの最新情報が記載されています。- 第1章 in-app updates:アプリを使いながらアップデートしよう
- 第2章 忙しい人のための AAC 最新事情
- 第3章 あなたと Wi-Fi、今すぐサジェスト
- 第4章 Jetnews で使われている Composable をざっと見る
- 第5章 Jetpack Compose のグランドデザインを読み解く
- 第6章 君も幸せになれる SpreadSheet 使いこなし術 <-(!?)
- 第7章 First step of LiveData
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Androidプログラミング短編集:王女とカルテットの宝探し
比較的新しく追加された機能であるCoroutine Flow(RxのObservable的に使えるもの)の紹介や、Gesture Navigationなどが紹介されています。
「Android Q で外部ストレージに直接アクセスできなくなる件」は個人的にかなり参考になりました。 -
ていねいに学ぶAndroidアプリ開発 Android 10 Modern Functions
Camera2 APIよりも簡単にカメラを制御できるCameraXライブラリやコルーチンの紹介をされています。書籍タイトルどおり、丁寧に書かれていてわかりやすいです。 -
Master Of Dagger(あんざいゆき 著)
DaggerのDIについて書かれています。一から十までDaggerです。難しいですがためになります。
おわりに
ここまで偉そうに散々紹介しておいてなんですが、私自身は技術書典に参加した事は無いです。(地方民のつらみ…)
そんな自分みたいな人でも、技術同人誌はBOOTHでも通販しているので、さあ、あなたも今から技術同人誌デビュー!
2020/01/10 追記
2019年からは技術書同人誌博覧会(通称技書博)という新たな技術書即売会も開催されるようになりました!
技術同人誌の世界はこれからますます盛り上がりを見せそうです。