応用情報技術者平成29年秋期 午後2
ファイル:2017h29a_ap_pm_qs.pdf
参照:
https://www.ap-siken.com/kakomon/29_aki/pm02.html
メモも簡単に記載します。
詳細の分析は、上記リンクをご参照くだいますようよろしくお願いします。
1、本文中の下線①について,"買い手の交渉力"の変化によって,A社のP事業が受ける影響を,本文中の内容に沿って,35字以内で述べよ。
「買い手の交渉力」の変化によって、A社のP事業が受ける影響について、顧客の変改ですね:
・顧客企業である電機メーカ大手が事業統合し … 今後は寡占市場への部品供給となる
・顧客企業からの値下げ要求 …
外部環境の変化により、A社の買い手の交渉力が悪化する想定(私の答え)
→
顧客企業の市場寡占化によって,値下げ要求が強まる(参考答え)
やっぱり直接に顧客。。。を答えに入れないと、答えにならないかなですね。
※ファイブフォース分析は、
業界の収益性を決める次の5つの競争要因から、業界の構造分析をおこなう手法のことです。
・売り手の交渉力(売り手≒本問では原材料供給元)
・買い手の交渉力(買い手≒本問では顧客)
・競争企業間の敵対関係(競合他社との関係など)
・新規参入業者の脅威(新規参入しやすい業界か)
・代替品の脅威(自社製品の代替品の存在)
2、〔財務分析〕について,(1)~(3)に答えよ。
(1)、表3中のaに入れる適切な数値を答えよ。
キャッシュフローの計算問題です。
営業活動によるキャッシュフローとは、本業でのキャッシュインとキャッシュアウトの差を表しています。キャッシュ(現金)の出入りですので、一般的には、プラスであれば経営状態が良好であると言えます。
キャッシュフロー計算書は、Ⅰ~Ⅲまでの合計であるⅣに期首残高のⅤを足すことで、Ⅵの期末残高が計算できる仕組みになっています。当期の企業活動を通じたキャッシュ増減は「Ⅳ.現金及び現金同等物の増減額」に示されているので、この金額から営業活動によるキャッシュフローを逆算します。
I+II+III=IV ですね。
a+▲45+▲100=40
a=185
なお、
IV+V=VIです。
40 + 260 = 300
(2)、表4中のbに入れる適切な数値を答えよ。答えは,小数第1位を四捨五入し,整数で求めよ。
bは、当期見込みの固定長期適合率です。
固定資産 … 1500
固定負債 … 1300
自己(株主)資本 … 550
したがって、当期(見込み)の固定長期適合率は、
1500÷(1300+550)×100=81(%)
※固定長期適合率とは、固定資産が、長期資金でどれだけまかなわれているかを表す指標です。計算式は以下の通りです。
固定長期適合率(%)=固定資産÷(固定負債+自己資本)×100
固定長期適合率は、100%を下回ることが好ましいとされています。つまり、長期の借金と自己資本を足した額が、固定資産よりも多ければよいということになります。仮に固定資産が上回っている場合、自分で調達可能な金額を超えた投資を行っているということになり、資金繰りが悪化することが考えられます。
(3)、本文中の下線②について,来期にA社が損益分岐点を下げるためにとるべき最も有効な方策を解答群の中から選び,記号で答えよ。
一つずつ計算しないと分からないですね。
損益分岐点売上高=固定費÷(1-変動費率)
ア)、固定費を120(百万円)減少させ、変動費率を50%に増加させる。
(1650-120)÷(1-0.5)=1530÷0.5=3060(百万円)
イ)、固定費を60(百万円)増加させ、変動費率を43%に減少させる。
(1650+60)÷(1-0.43)=1710÷0.57=3000(百万円)
ウ)、固定費を90(百万円)減少させ、変動費率を40%に減少させる。
(1650+90)÷(1-0.4)=1740÷0.6=2900(百万円)
現状よりも低い損益分岐点となるため、これが正解です。
3、〔経営戦略〕について,(1),(2)に答えよ。
(1)、本文中のc,dに入れる最も適切な字句を解答群の中から選び,記号で答えよ。
製品のライフサイクルは、順番です。
選択肢には、アに成熟期がスキップされ、ウに成長期がスキップされ、誤りですね。
cはA社の主力事業、国内3位として、成長期から成熟期になるでしょう。
dはA社のまだ新しい市場であり、これからの急速な伸びが予測されて、導入期から成長期になるでしょう。
※製品ライフサイクルとは、
製品を市場に投入してから販売活動によって普及、成熟し、やがて落ち込んでその製品寿命が終わるまでの過程を「導入期→成長期→成熟期→衰退期」の4段階で表現した概念です。
・導入期
先進的な消費者に対し製品を販売する時期。製品の認知度を高める戦略が採られる。この時期は費用が多くかかり、利益が出にくいため投資のキャッシュフローはマイナス状態である。
・成長期
市場が活性化し、売上が急激に増加する時期。新規参入企業によって競争が激化してくる。成長性を高めるため広告宣伝費の増大が必要になる。
・成熟期
需要の伸びが鈍化してくる時期。他社からのマーケット参入が相次ぎ、競争が激しくなるので製品の品質改良などによって、シェアの維持、利益の確保が行われる。
・衰退期
需要が少なくなり売上と利益が徐々に減少する時期。追加投資を控えて市場から撤退することが検討される。
(2)、本文中の下線③について,どのような市場ニーズに対してどのようにD社との差別化を図るかを40字以内で述べよ。
差別化とは、自分の強みと競合他社の強みを差別化するのこと。
当該問には、
・自分の強み:「小型化・軽量化に関してはA社が先行し、独自の微細加工技術と特許をもっている」
・競合他社の強み:D社は短納期対応が強みである
外部環境要因として
・「今後は医療機器向けが最大になる」、
・「医療機器は短納期要求は少なく、小型化が求められる」などとあります。
よって、A社は自社の強みである小型化・軽量化に特化した戦略を立てれば良いということになります。
医療機器の小型化ニーズに対して、強みの微細加工技術で差別化する。
4、〔設備投資計画〕について,(1),(2)に答えよ。
(1)、本文中のeに入れる最も適切な字句を解答群の中から選び,記号で答えよ。
設備投資する際のキャッシュフローの変化について:
・営業活動によるキャッシュフロー
商品販売による収入や仕入や管理による支出など企業の営業活動についての項目を記載する区分
・投資活動によるキャッシュフロー
固定資産の取得・売却、有価証券の取得売却など企業が行った投資活動についての項目を記載する区分
・財務活動によるキャッシュフロー
株式や社債の発行、または自己株式の取得、社債の償還および借入金の返済、支払利息など資金調達や返済に係る項目を記載する区分
大きな設備投資をした場合、多くのキャッシュが組織外に流れるので、特別なキャッシュインがない限り"投資活動によるキャッシュフロー"はマイナスになります。
"投資活動によるキャッシュフロー"をプラスに保ったまま大きな設備投資を行うのは難しいのですが、本文中では「マイナスにならない範囲で」とありますので、"投資活動による"は除外できます。
そして、営業活動によるキャッシュフローと財務活動によるキャッシュフローは、設備投資で増減しませんので、選択肢から除くことができます。よってeには「フリー」が入ります。
なお、フリーキャッシュフローとは、
"営業活動によるキャッシュフロー"から"投資活動によるキャッシュフロー"を差し引いたもので、事業活動によって生み出されたキャッシュを表しています。これがプラスであれば、営業状態は良好であると判断できますので、設備投資を行うときでもマイナスにならないようにコントロールする必要があります。
(2)、本文中の下線④について,三つの案の中から案2が最も妥当と判断した理由を,財務の観点から40字以内で述べよ。
内部利益率 > 資本コスト だとすると、投資が妥当と判断されるでしょう。
・内部利益率(IRR/内部収益率ともいう)
ある設備を導入することによって、その設備に投資した額に対してどれだけ利益を生むか示す指標です。高ければ高いほど、その投資が魅力的であると言えます。
・資本コスト
資本(自己資本や借金)に対する、配当金や利息の費用を指します。低ければ低いほど出費が少ないので、経営上は有利です。