1. はじめに
Oracle Cloud Infrastructure(以下、OCI)を使うエンジニアが、未経験の Amazon Web Service(以下、AWS)の認定資格取得に挑戦したときのゆるふわな記録です。
- Q: なんで挑戦したの?
- A: なんとなくです。人気があるらしいので。
2. スペック
OCI 歴は 3 年くらいです。保有資格は以下のとおりです。
- OCI Certified Architect Professional
- OCI Certified Security Professional
3. 試験結果
AWS Certified Solutions Architect – Professional(通称 SAP-C02)を受験し合格しました。
スコアは 799 点(750 点以上で合格)でした。
4. 認定資格の試験について
教材
以下の教材を購入して利用しました。価格はセール等で変動があります。
分類 | 教材リンク | 配信者 | 購入額 |
---|---|---|---|
動画教材(英語) | Ultimate AWS Certified Solutions Architect Professional 2023 | Stephane Maarek | 1200円 |
問題集(英語) | AWS Certified Solutions Architect Professional Practice Exams 2023 | Tutorials Dojo | 9.99ドル |
Kindle書籍 | AWS認定資格試験テキスト&問題集 | 山下光洋 | 2970円 |
なお、英語が苦手という場合、書籍や問題集に関しては、翻訳ツールを使うより最初から日本語の教材を探したほうが良いと思います。一方、動画は字幕機能で十分に理解できると思います。
勉強方法
以下のようにしました。
- 動画教材を視聴する(途中まで)
- 問題集を解く
- 問題集の解説を読みつつ、不明点に関して動画教材や書籍を参照して理解する
以降、2〜3を何回か繰り返しました。
動画教材や書籍は、いきなり最後まで通しても結局理解できず眠くなるので、まずは目次を読んで興味を持ったものだけに軽く目を通す程度で良いと思います。
その後、問題集をひたすら解きました。問題集に 5 回分(300 問)もあり、書籍の方にも 1 回分あるので、もうお腹いっぱいになります。
また、以下はよく推奨されていますが、私は結果的にあまり利用しませんでした。
- AWS サービス別資料(通称:Black Belt)
- AWS コンソール を利用したハンズオン
ただ、あくまで結果的にそうなっただけであり、普通は利用した方が良いと思います。
勉強期間・時間
全部で 150 〜 200 時間くらい、日々の業務の合間を縫って 1 年弱を費やしました。
よく「10 時間で AWS-SAP に合格しました」のような、短時間で効率よく合格を勝ち取ったことを表明する記事を見かけます。私もたくさん読んだのですが、誇張か天才のどちらかであり、凡人が真似できる領域ではないと思います。
(むしろ、そうした体験談を読む時間だけでも 10 時間くらい使ってしまった気がします)
受験
ピアソン VUE さんを経由して、自宅にほど近い試験センターで受験しました。仕組みとしては自宅受験も可能ですが、子供がいるため静かな受験環境の確保が難しく、回避しました。
身分証明書が 2 つ必要です。両方とも日本のもので大丈夫でした。私はマイナンバーカードと運転免許証にしました。
休憩なし 3 時間の試験です。試験前にお手洗いには行っておきましょう。全部で 75 問ですので 25 問で 1 時間というのがマイルストーンです。時間に余裕がありそうなら自分の中で小休止を設けるのも良いかもしれません。私は時間に余裕がなくギリギリのペースでしたので、ノンストップで駆け抜ける必要がありました。
5. 学習を通じて感じた AWS と OCI との違い
OCI と比較した AWS の印象をゆるく列挙します。
サービスが多い
OCI と比較して、AWS はサービスの絶対数がとても多いです。私は試験対策として 150 個程度に絞って暗記しました(つまり、サービス数は少なくともそれより多いということです)。
その中には互いに似ているものもあり、一体何が違うのかよく分からずに悩まされました。たとえば、パスワードなどの秘密情報を保管するサービスに Secrets Manager
と SSM Parameter Store
がありますが、違いを理解するのは一苦労です。1
サービス名がおしゃれ
AWS は、サービス名がおしゃれです。一方、その名称からどんなサービスであるかを推測できないことも多いです。以下に例を示します。
-
Elastic Beanstalk
2:Beanstalk は「ジャックと豆の木」で知られる雲の上まで伸びる豆の木のことです。 -
SageMaker
3:Sage は賢者という意味で、学習済みのモデルを賢者になぞらえているのでしょう。
その点、OCI は実直な名称であることがほとんどです。おしゃれ感はありませんが、サービスの中身を推測しやすいのはメリットです。
以下、参考程度に、私が特に推測しにくいと思う AWS のサービス名と、OCI における類似サービスの対応表です。
AWS 名称 | OCI 名称 | サービスの概要 |
---|---|---|
S3 Glacier | Archive Storage | 長期保管用のストレージ |
SageMaker | Data Science | 機械学習のプラットフォーム |
Lambda | Functions | サーバレスコンピューティング |
Route 53 | Domain Name System | DNS サービス |
Elastic MapReduce | Big Data Service | ビッグデータ分析 |
価格差
全体的に AWS の方が料金が高く、OCI の方が安いです。これは OCI がお得である、と考えるべきなのだと思います。特に、セキュリティ関係は AWS と OCI の間で価格差が大きいように思います。
たとえば、AWS と OCI の両方に NAT Gateway というサービスがあり、機能もほとんど同じです 4。AWS は有料であり、OCI は無料で利用できます。
データベース関連
データベースに関するサービスには、両者にかなりの差があります。
AWS のデータベースは、Aurora を外しては語れません。MySQL と PostgreSQL に対応しており、様々な便利機能が盛り沢山です。より多種類の DB を利用できる Amazon RDS というサービスもありますが、それより Aurora の方がおおむね優れており、MySQL と PostgreSQL が重要視されていることを感じ取れます。
OCI のイチオシ DB は、自社製品である Oracle DB です。そもそも Oracle と聞けば OCI より Oracle DB を想像する人が多いでしょう。RMAN(バックアップツール)や RAC(Active-Active 構成の冗長化)など、AWS の Amazon RDS サービスでは非対応の機能にも対応しています。利用者にある程度のコントロール権が委ねられたものから、全自動管理のものまで、色々な選択肢が用意されています。
6. 最後に
AWS も面白いし OCI も面白いです。