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ITILマスターになりそこねた話

Last updated at Posted at 2025-01-08

4か月ほどかけて、ITILというITサービスマネジメントの勉強をしていました。
お金、時間、体力をかなりかけたので、その記録を残しておきます。

目次

  1. ITILとは何か?
  2. ITILファウンデーション合格について
  3. ITIL中位資格のシステム紹介
  4. 中位資格の研修
  5. 中位資格の受験体験
  6. 最後に

ITILとは何か

 ITILとは、イギリスの政府がまとめた、ITサービスマネジメントに関するベストプラクティスです。特徴として、範囲がとても広いことが挙げられます。以下に具体例として軽く挙げてみますね。

1、私たちの会社はどんなITサービスを作るべきなのか
 ・世間のビジネスニーズの分析手法
 ・社内関係者や社外のサプライヤー、顧客、スポンサーとの意見調整
 ・社内の体制作り
 ・デジタル製品の定義や機能の優先項目の作成

2、品質とスピードを両立したプロダクトの開発手法
 ・チーム作成とメンバーの役割
 ・プログラミング、アーキテクチャ選定、テスト、デプロイなどの技術要素の紹介
 ・全体的な自動化の手法
 ・チーム内の心理的安全性など必要な文化醸成
 ・AIや機械学習など先端技術の用途紹介

3、製品完成後の保守と運用
 ・SRE(Site Reliability Engineer)の紹介
 (つまりサービスの安定稼働と新たな機能追加の両立を目指す)
 ・非機能要件の選定と可用性の安定
 (セキュリティ、サーバーの自動スケーリング、インシデント対策など)
 ・サービスデスクによるユーザーのサポートや、ユーザーのトレーニングによる顧客満足度の向上
 ・チーム内の働き方や文化向上を目指す、リーダー育成論
・多国籍にわたるサービスの運用

つまりITサービスに関わるもの「全部」です。エンジニアとしての技術的要素だけでなく、ビジネス分析や関係者との調整、さらにはチーム内の文化醸成までいろいろ入っています。
前もってAWSの資格やIPAの試験で技術的な概念について、応用情報の午前問題で技術以外の概念について履修していたので、私個人としてはそこまで目新しい概念はありませんでしたが、最初から学習しようとすると、学習量に圧倒されると思います。ITの教養を広く学びたい人におすすめです。

個人的には、そこそこ大きい規模のIT会社で、PJTに素人や新人が入っても一定の品質とスピードを確保するための手法を学んでいる感覚でした。一人のスーパーエンジニアがオレオレフレームワークを使ってワンマン開発していたり、あるいは上司に無駄な忖度をしてPJTの締め切りについて相談できない。みたいな会社があれば、ぜひITILを導入してほしいですね。

ITILファウンデーション合格について

ITILを学ぶ最初の一歩です。ITILの全体像について学びます。
教科書を買ってみましたが、当たり前のことをわざと小難しく書いている印象で、どうにも頭に入ってこないので1/3ほど読んで挫折しました。
代わりにその辺の適当な問題集を300問ほど回したら、3日で合格することができました。難易度としてはITパスポートと同じくらいなので、まともなITの実務経験があれば、それくらいのスピードで合格できると思います。
ちなみに一番必要なのは財力だったりします。海外の資格なので、円安もあり試験料がとても高いです。問題集で9割ほど正解できることを確認してから、一発合格を狙いました。
PeopleCertという公式サイトから申し込みましたが、日本企業経由で申し込んだほうが、割引もあり、便利だと思います。
https://www.peoplecert.org/browse-certifications/it-governance-and-service-management/ITIL-1/itil-4-foundation-2565

ちなみに後述する中位試験も含め、すべて自宅で受験することができます。必要なのは密室と運転免許など身分証明書のみです。たまに外国の試験官にあたって、指示がすべて英語になりますが、どうしてもだめだったら途中で日本人の試験官に交代してもらえました。

ITIL中位資格のシステム紹介

ファウンデーションに合格したら、上位の資格を狙います。

image.png
https://www.itpreneurs.co.jp/itil-4/

上記の画像を見ると、6つの中位試験があるので、そちらの試験合格を目指します。

・DITS
・DPI
・HVIT
・DSV
・CDS
・MSF(PIC、CAIでもよいが、2024年段階で日本語非対応)

6つすべての試験に合格すれば晴れてITILマスターを名乗ることができますが、全部取らなくとも所定の試験に合格すれば、それぞれリーダー、プロフェッショナル、マネージャーを名乗ることができます。(例えばマネージャーを目指すならばCDSとMSFに合格すればよい)
自分の職種を考えて、必要な試験を受ければよいと思われます。

中位資格の研修

中位試験をそれぞれ受講するためには条件が2つあります。一つ目は下位試験であるファウンデーションに合格していること。2つ目はITILが認定する専門機関・講師による3日間の講習を受講することです。
下の認定機関一覧から、好きな企業の講習に申し込みます。
https://peoplecert.jp/partner.html
講習代は企業によってさまざまなのですが、相場は一つの試験につき、25~30万です。6つすべて受けると150万以上軽く飛びます。私はコスパを重視して一つ16万で受講できる企業を探しましたが、個人的には満足度は低かったです。相場通りの高い研修を受けたら、また違った感想を抱くかもしれませんが、個人的にはテキストを読んで問題集を回すだけで十分の内容でした。

講習代には3日間(1日当たり8h)の研修用のテキストのほか、模擬試験2回分のテキスト、実際の資格試験料、万一落ちた時のチャレンジ代金が含まれます。基本的には3日間オンラインまたは対面の講習を聞き、模擬試験で自習して最後にPeopleCert公式サイトで試験を申し込むという流れです。

中位資格の受験体験

難易度自体はそこまで難しくありません。まともなIT企業での実務経験があれば6割程度は常識問題で解けます。(合格ラインは7割です。)よって、まじめに話を聞いて、模擬試験を回していれば、合格できるかと思われます。
が、たまに運転免許の問題を彷彿とさせる癖のある問題に出会います。それにあたってしまって一つの試験で2回落ちてしまい、そのあとが大変でした。

まず3回目チャレンジのために約7万、保険をかけて4回目チャレンジを受けられるように追加で約1万払いました。
そして対策のためにudemyで英語の問題集を買いました。(日本語の問題集はほぼ流通していない。)
が、英語の問題集をChromeの翻訳機能で訳すると、たとえば「ヘルメット」を「鉄兜」と訳すような過訳で地味にストレスがたまり、英語のまま240問ほど解いてました。そして試験に挑戦しましたが、なんとudemyの問題と本番の試験の内容や形式が違い、またもや不合格になってしまいました。やった意味がなかったです。日本語の勉強だとその辺の機微がわかるのですが、英語だと英文を理解するのが精いっぱいで、問題集の質の精査ができませんでした。
もう一度udemyでレビュー内容を吟味し、「実際にこの問題集を解いて合格できた」というレビューが多い最高評価の問題集を購入しました。そして変な日本語翻訳に我慢しながら500問ほど解き、なんとか合格することができました。正直問題文の意味がよくわからず、解説文も不十分なため、問題の暗記になってしまい、本質的な理解にはなっておらず、実質運で合格してしまった感覚はあります。英語「で」勉強する難しさを感じました。

最後に

最初は会社の経費として100万以上お金をつぎ込み、6つの中位資格をすべて取ってITILマスターになるつもりでしたが、ここに書ききれない大人の事情があり、3つだけとって終了となりました。
ITに関する幅広い教養や概念、用語を学べたのはよかったのですが、コスパを考えると、ほかの人におすすめできるかは微妙です。大企業の研修として受けられるなら、とてもよいと思います!
 全然ITILに関して情報がなかったので、まとめてみました。私は挫折しましたが、ITILマスターを目指して頑張ってください!

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