合格体験記
AWSの最難関資格と言われるSAPに合格しました。
なので、カテゴリといえば合格体験記に入るのですが、SAPの合格体験記なんて、インターネットでググれば腐るほど出てくるので、勉強時間や方法についてはそれらとほぼ同じになります。
簡潔に書くと、1ヶ月間で50~100hほど使って、過去問を600問ほど解きました。最初のうちは問題の文章の中に聞いたことのない未知の語句が1~3個出てくるので、いちいちその語句をググって概要やハンズオン記事を、過去問全体が理解できるまでひたすら読みました。過去問は本、koiwaサイト、udemyを使えば十分かと思われます。
実務では主にswiftでiosアプリを書いているのでインフラ関係は未経験ですが、応用情報やネットワークスペシャリストの勉強を事前にしていたので、なんとかついていけた感じです。合格体験記の部分はこれで終わり。
SESのエンジニアが妊娠して子供を育てるには?
残したかった部分はこちらになります。中途未経験からキャリアを始め、SESのエンジニアとしては4年目。何もできない新人ではないけれど、一人前とみなしてお仕事を任せるにはちょっと頼りない。そんな、どこにでもいる普通のエンジニアの私です。しかしこの度妊娠が決まり産休/育休に入ることになりました。
我ながらおめでたいことなのですが、喜んでばかりじゃいられません。
このままだとキャリアが詰んでしまう。。。!
ということで色々と考えた結果、冒頭のAWS SAPに挑戦することになったのですが、こういう話は当事者になってみないとわからないことだらけだったので、これから産休/育休を目論む男女や、そういう部下を持つ管理職の方々の理解の一助になれば幸いです。
仕事を続けたいのに続けられない理由
共働きが増え、男性の育休も話題になってきたとはいえ、依然として女性は出産したら仕事を辞めるという選択肢が残されています。独身の時は、「そういうものかー」と思っていましたが、いざ当事者になってみると、違うものが見えてきます。ということでまずは辞めざるを得ない理由を書いていきます。
- 妊娠時の体調不良
- 保育園と子供の気質
- 二人目妊娠時の働き方
妊娠時の体調不良
いわゆるつわりですね。妊娠7週から15週目くらいにやってくるつわり。人によって症状が異なるのですが、これがインフルエンザなみにつらい。毎日吐いて、10分の通勤時間を途中コンビニに寄って吐きながらくるので通勤が40分になります。とか。食べづわりといって、常に何か食べていないと気持ち悪いので、睡眠中でも2時間ごとに起きて何か食べてまた寝ます。とか。歯ブラシを口に入れるだけで吐くので口内環境が悪くなって虫歯がひどい、お風呂に入るだけで一日の体力を9割を持っていかれるので風呂が3日に1回になります、とにかく眠たくて日中でも18時間寝てしまいます。水を飲むだけで気持ち悪いので、嘔吐と合わせて脱水症状や飢餓状態に陥り、入院する人も出る始末。とか、とか、とか!
人によってはこれだけ壮絶なのに、つわり中は普通に働くことを求められます。自分の場合は頭の働きが鈍くなり、コードどころか同僚の書く日本語が読めなくなりました。もし出勤していたら、「あの人朝から夕方まで机でウンウン唸ってるだけで成果0じゃんwww」と陰口を叩かれていたでしょう。そのくらいパフォーマンスが落ちます。最終的にドクターストップがかかり、いきなり二週間休職となりました。
つわりがひどいとそれだけで退職という文字が浮かびます。つわりは一般的には妊娠16週前後でおさまるとされていますが、産むまで続く人もいますし、安定期に入ってからもうっすら体調不良状態は続きます。切迫早産と診断されたら、家で絶対安静、あるいは急に入院にもなります。この時点で妊娠に理解のない職場であれば容赦無く切られます。「迷惑をかけたりサボったりするようなら子供のために辞めてくれ。君の代わりはいるのだから」
保育園と子供の気質
妊娠34週目までヘトヘトになりながら仕事を乗り切り、産休/育休に入れました。次の問題は保育園問題です。私の居住区では0歳時4月のタイミングを逃せば保育園に入るのが難しくなります。(居住区によって大分差があるので保活は妊娠がわかった瞬間から始めた方がよいです。)
私の居住区は9割が認可内保育園です。そしてそのほぼ全てが定員児童数ぎりぎりで運営されています。つまり、4月に役所が一斉に児童を割り振るタイミングでしか園に入れません。4月以外の月に入ろうとしても空いていません。駅近の園を申し込めば3歳の誕生日まで入れないとか、申請用の紙には第8希望までしか書けませんが別紙を用意して第20希望まで書きましょう、という保活ブログを読んで思わず笑ってしまいました。
そして保育園の料金が高い。住んでいる地域や世帯年収、認可/認可外など保育園の種類にもよって値段はピンキリですが、下手すると家賃なみの料金は持っていかれます。人によっては、無理に復帰するより、大人しく家で子供と過ごしていた方がお得かもしれません。
また、子供の気質によっても育児と仕事の両立の難易度は変わります。保育園に入れたら他の子から病気をもらいます(ひどい月には10日以上休むとか)。夜泣きがひどかったら徹夜で抱っこし続けた後、日中の仕事に向かうかもしれないです。アレルギーがひどい場合、朝早く起きて子供のお弁当やおやつを手作りしなきゃいけないかも。残業を全力で回避した後、子供を迎えに行って離乳食や沐浴、寝かしつけのお世話。大人のお世話なんて最初からやる気はありませんが、生きていくため、身だしなみのため、最低限の作業は必要です。そして子供が病気がちだったり障害を持った子供だったとしたら。
出産で体力が落ちた上に、のしかかる上記の問題。我ながら被害者意識っぽくてうんざりしますが、さすがにこの状況下で独身と同じレベルで働くには、鋼の体力が必要ですね。ここでも「普通」のワーママが脱落していきます。こわいこわいw
二人目妊娠時の働き方
一人目をなんとか乗り切りました。次の問題は二人目をいつ作るのか。妊娠には年齢というタイムリミットがあるため、早めに産みたい。そこで仮に2歳差くらいで産むことにします。その場合どんな働き方になるのか。
まず一人目が0歳児4月を迎え、保育園に入ったことで仕事に復帰します。
SESの働き方なので、もしかしたら全く新しい職場に派遣されて、そこで一から人間関係を築く必要があると仮定します。普通なら新しいことを覚え、適応し、当たりの人材だと思われるために、めちゃくちゃ頑張らなければいけません。必要なら残業までして、自分の人材価値を上げたいところ。
しかし、最初の時点で子供の体調不良が原因で勤怠が汚くなり、顰蹙を買うでしょう。それに加えて二人目を妊娠したとなると、つわりで勤怠がさらに荒れます。上の子のお世話もあるので、無理が祟って自分の体調不良も重なりさらに勤怠が荒れます。上の子の予防接種や下の子の妊婦健診の数もえげつないです。最終的に職場に慣れたと思ったら半年後〜1年後には産休でいなくなります。妊娠や育児についてよほど理解がないと「お前は何しに職場に来てんの????」と思われますね。俗にいうお妊婦様ってやつです。SESとして致命的です。私だってそんな部下を持つのは大分厳しいと思ってしまいます。。。
ここまでシミュレートして気づきました。あ、これ、会社と話し合わないといけないやつだわ。。。仮にリモートワークや時短、祖父母の協力があったとしても、大分厳しい。世の中もっと条件が厳しい家庭も死ぬほどあると言われても、無理なものは無理。(主題から少しずれますが、ここで仕事を辞める選択をすると、キャリアが詰んで復帰するとしてもパートで低年収? 収入が減ったら10年後20年後にくる子供の教育費や家のローンどうするの?などなど、どの道を選んでも地獄ですね)
育児後の働き方
私は思いました。
「独身時より短く働いて、独身時より多く給料をもらう。そんな働き方を構築しないと育児なんてやってられないわ」
マリーアントワネットもびっくりな考え方なんですが、実際そうです。子供を作ったら家計の出費が増えて白目剥きます。保育園の料金、将来の教育費のための貯金、子供がうるさくしたり暴れてもいいような持ち家のローン、(居住地によっては)保育園送迎や病院送迎のための車の維持費、純粋に子供の生活費(衣食住やおもちゃやベビーカーなど赤ちゃん用品)などなど。
それを考えると時短を選んで給料を下げられません。そもそも時短をとって年収を下げたら二人目の育休の額も下がるし、低い年収ではまともなローンも組めません。(ちなみに時短を取ったパパエンジニアと働いていた時の経験から、色々と考えるものがあり、自分が時短を取って働くのは難しいのではないかと思いました。)
働く時間は今より短くしたいが、金は今より欲しい。それが子育て世代の本音です。
そこで会社と相談しました。ありがたいことに弊社はホワイト企業w。「妊娠するにあたって、そういう働き方になってしまうのは、しょうがないことだと思います。そこはもう会社が割り切って予め対策を考えるしかないです。なので、障害とか考えず、好きに産んでいいよ」
😂 😂 😂
理解がありすぎて逆に怖いwww。いや、ありがたいけれど、大丈夫なんでしょうか弊社www。
実際にどうやって実現するのか
さて、実際どうすれば上記のような働き方を構築できるのでしょうか? 会社に聞いてみました。
「色々あるけれど、一つのやり方として、君が難しい資格を取得してくれれば、社内に資格持ちがいることをアピールして仕事をとってこれる。実務自体は他のベテランエンジニアに任せるから、君は資格持ちの名前と知識を貸してくれれば、短時間労働でも採算が取れるようにしておくよ。働き方に関しても一旦客先に出ず、会社内部でできる仕事を作っておくので、育児が落ち着くまではそこで無理なくキャリアを積めばいいよ」
🤔 🤔 🤔
まじか。。。そんなおいしい話があっていいのか。。育休復帰後は事務系などゆるい職種に回されて、元のキャリアが終わるなんて話も聞くけど、それもなくて自分のペースでエンジニアとしての経験を積めるのか...。
ということで指定された資格のうちの一つが冒頭のAWS SAPになります。本当は他にも取得して欲しいと言われた資格はあるのですが、割愛。そんなわけで産休直前に本気出しました。育休中も育児の合間を縫って、資格取得に励もうかと。昼夜関係なく3時間ごとに授乳/おむつ替え/寝かしつけのエンドレスループらしいですが、睡眠不足の中でもできることはやっておきたい。。
最後に
これだけシミュレートしてもおそらく計画通りにはいかないんだろうなーとも思います。どんな子供が生まれるか想像つきませんし、一人目はすぐできても二人目は不妊でしたなんてあるあるですし。一人目を母乳で育てていたら生理がなかなか復活せず、物理的に妊娠できなかったのでずるずる引き伸ばして二人目まで空いちゃった、なんてこともあるらしいですね。いや、そもそも出産で死にかけてるかもしれないですし。。
つわりなんてありませんでした! 子供は健康優良児で夜もぐっすり、育てやすいです! 祖父母が家にいて家事/育児を全面的に肩代わりしてくれます! 世帯年収に余裕があるので、金に任せて家事代行やベビーシッターで豪遊可能です! みたいな家庭だと、バリバリ残業ありで働いて経験を積みたいです。という希望になるかもしれませんし、一概に子育て世代にはこういう福利厚生をつけてあげよう。とはできないのが、難しいなあと思ったり。
そもそもこのシミュレートは子供を生かすだけです。子供の教育や一緒に遊ぶ時間、親の私のエンジニアとしての勉強はどうするんだ???とも思います。便利家電や時短家事、冷凍食品の選定、やらない家事を決める、義両親と交流を深めて育児を助けてもらうなど色々やってはいるけれど、限界はありそう。
弊社が最高のホワイト企業なのはいいことなんですが、、、
でも、ここまで頑張らないと育児できない現状って、それはそれで少子化になるのもしょうがないなと思ったり。。。
願わくば日本経済が再生したり、外貨をいい感じに稼いで、今より短時間労働かつ年収アップ!みたいな世の中にならないかなーと思っているのですが、なかなか厳しい現状ですね。
でも、まあ、色々と悩みは尽きないのですが、一日を終わらせて、夫と夜アイスを食べながら散歩していると、それだけで色々とお釣りがくるような気がしますし、そういうことなんだと思います。そして、子供が生まれるともっとそんな小さな幸福が増えるんじゃないかなと期待しています。結婚はいいぞ。
まとまらないのですが、育児と仕事を両立してキャリアを積むための一つの事例でした。子育てエンジニア、がんばりましょう。