要領が悪く、地道にコツコツ努力できることが取り柄の職業エンジニアです。社員数20人足らずの日系中小企業の弊社ですが、外資部門を立ち上げるらしいので、英語を勉強してAクラス(860点以上)まで上げました。
まず初めに残念なお知らせですが、いまだに何ができるというわけではないです。商談の通訳を求められても困りますし、ネイティブが読んだら違和感だらけの英文しか書けません。正直TOEIC何点のマウント世界からマウントレベルが上がっただけでしたが、私にとってこの点数は、とても、とても、とてもとてもとても大変だったので、少しくらい自慢したいという下心で書いています。
きっかけ
時は2019年XX月、社長から相談を受けました。
社長「最近、日本経済のヤバさを感じるので、我が社も海外進出しようと思います。ということで英語勉強してくれない?」
🐿「東南アジアに進出して、オフショア開発でも始めるのですか? それならなんちゃって英語でいけそうですが」
社長「いや、最初は東南アジアでもいいけど、いずれはアメリカのきちんとした会社と取引するよ。」
🐿「......TOEIC何点くらいとればいいっすか?」
社長「とりあえず900点! よろ!」
というノリで、英語学習が始まりました。とりあえず英語学習にかかる費用は全額会社の経費にできるという言質をとり、英語学習のスタートです。
計画
当時自分の英語力は、大学受験を頑張った貯金でTOEIC600点ほど。どれくらい時間をかければいいのか計画を立てます。目標スコアまでどのくらい時間がかかるのか、早見表を見つけたので置いておきます。
参考:Oxford University Press『A Teacher’s Guide to TOEIC® Listening and Reading Test Preparing Your Students for Success』
この表によれば650点→950点になるまで825時間必要。
一日一時間 × 365日 × 2年半 = 約850時間ほど。仕事や他の勉強もあるし、これくらいが妥当かな🤔
調子がいい日は2~4時間頑張ってなんとか1年半くらいで到達したい。
*最終的に3年半以上かかりました。(2023年現在)
第一段階 ビジネス英語の語彙習得
大前提として、受験英語 ≠ ビジネス英語 です。 まず、使う語彙があまり被らない。極端なことを言うと、受験英語で「(花が)咲く= bloom」などを暗記しましたが、そんな語彙はビジネス英語では不要です。逆にビジネス英語で使う語彙や言い回しを覚える必要があります。「会計」や「(人を)雇う」などの語彙や、「去年と比べて20%ほど売り上げが落ちています」などのいかにもビジネスで使いそうなキーフレーズを暗記すればOKです。ちなみに受験英語を勉強している時は、単語を裏紙に3回書いて暗記する、なんてこともしていましたが、非効率なのでTOEIC勉強ではやってませんでした。文脈で覚える方が効果的です。例文を読み上げ、文と単語をセットで覚えていました。
TOEICのPART5やPART2を学習すれば基礎的な語彙が増えていきます。その際教材として使ったのがこちら。
- 英語1560問 TOEIC®テスト文法・単語・リスニング対策
- AI英語教材 abceed(エービーシード)
- TOEIC®テスト対策 - AI学習のSanta
英語1560問のアプリは買い切りです。ひたすら問題を解き続け、文法や語彙を強化します。音読できなかった単語はgoogle翻訳で発音をチェックです。恥ずかしながら最初は解説を読んでも理解できない問題も多かったのですが、そのうちわかるだろうとあまり気にしませんでした。
santaアプリでは無料のままでPART2と5が一日10問ずつ解けるので、どうしてもやる気が出ない日はこれだけでもやる、と決めて使っていました。santa,abceed共に課金すれば無制限で使えるのですが、PART2とPART5強化の段階で課金するのはちょっともったいないかもしれません。
正答率が8割を超えたら次の段階に進みます。
第二段階 リスニング強化
第一段階と並行でリスニングです。(ただし一度に課金するサブスクは一種類と決めておいた方がいいかも。)
色々と試してみましたが、一番効果があるのは音読でした。おすすめはスタディサプリです。
不思議なことに脳は自分が発音できた文だけ聞き取れるそうです。ディクテーション、音読、シャドーイングにより、リスニング力をあげます。同じ文章を最低5回、なんなら暗唱できるまでひたすら音読をしました。内容の脚本もよく練られており、すぐ使えるフレーズでいっぱいです。「新日常英会話コース」「Toeic対策コース」「ビジネス英会話コース」があるのですが、どれでも自分のレベルにあったものを選べばいいと思います。
第三段階 TOEIC対策
Part1、Part3,4のリスニング、Part6,7の対策をスタディサプリのtoeic対策で進めていきます。
Part3,4を解くコツは問題文の先読みです。会話のリスニングを聞く前に単語を頭に入れて会話の主題を想像します。というのが800点を取るまでの戦略で、最終的には先読みを全くせずとも全問正解できるまで数をこなします。問題を解いたら音読とシャドーイングをします。一つの問題で最低5回は繰り返し読みます。全問正解して当たり前になるまで解き続けます。
Part6の長文問題は、読解に見せかけてPart5と同じような文法問題です。7,8割は空欄前後の文を丁寧に読んで文法的に考えるだけで解けます。なので、空欄以外の部分は速読してざっと読みつつ、空欄前後だけ丁寧に読んでいきます。
Part7はひたすら読んで慣れます。慣れてきたら各セクションの冒頭を読むだけで何が書いてあるかわかって読み飛ばしできますし、逆に特定の文章を読むと「この部分は問題になっているはず」とわかるようになります。(「○○の人はクーポンがもらえます」など条件を表す文章があればチェック、などコツがあります。)問題を解き終わったらやっぱり音読です。ひたすら問題演習を繰り返します。
スタディサプリだけでもいいのですが、勉強方法が確立してかつ料金が気になる方は、abceedやsantaがセールをやっている時に購入するのもお勧めです。どちらも一長一短ありますが、個人的には国産のabceedを推してます。
第四段階 TOEIC対策(上級)
Toeicで840点を取り、スタディサプリのToeic対策でリスニング/リーリングともに全問正解できるようになってきたので、更なる高みを求めてabceedやsantaアプリに移行します。AIが自動診断してくれて、800点~900点の問題のみを出してくれます。語彙レベル、文法、読むスピードが跳ね上がりますが、やることは変わりません。語彙、文法をチェックして、ひたすら問題文を音読です。
ちなみにここにきてようやくPart5の文法が理解できるようになってきました。わかると頭の体操問題のようで面白かったです。
役に立たなかった英語学習
英語学習に疲れた時、休憩がてら遊んでいました。ほぼ役に立ってないですが、面白かったです。
-
映画
アマゾンプライムやディズニープラスで英語圏の映画を英語音声、英語字幕にしてみてました。慣用句や現地のローカルネタに時事ネタ、お笑いや下ネタ系が多いと難易度が上がって理解できませんでした。ディズニーやピクサーの映画は理解できて面白かったです。 -
アニメ
日本のアニメを英語音声、英語字幕で楽しんでいました。表現がシンプルなので理解しやすいです。あらかじめ日本語で内容を知っていたらさらに楽しめると思います。極道主夫やヴァイオレットエヴァーガーデン、スパイファミリーなどをみていました。ビジネス英語と語彙がかぶらないので、あくまで娯楽です。 -
漫画
Langakuというアプリで、集英社の人気漫画を英語で読んでいました。一コマずつワンタップで日本語/英語を切り替えられるので便利です。TOEICの点数には結びつきませんでしたが、表現の幅が広がりました。黒子のバスケやハイキューを読んで「上等だ」など少年漫画の登場人物が言いそうな語彙を増やし、バクマンやスパイファミリーで慣用表現などを学びました。(「ring a bell」で「ピンとくる」など)。 -
洋書
一度も留学経験がないのに英語ペラペラの東大卒の同僚に英語の秘訣を聞いたところ、「小学生のころにおばあちゃんにハリーポッターの原書を読み聞かせしてもらったんだー🤗」と返ってきたので、素直に実践してみました。が、3章で挫折しました。一ページの中に未知単語が大量に出てくるので、いちいち調べるのに体力を使いました。細かなニュアンスの違いを読み解くのが難しく、小説は大学生の時読んでた英語の学術論文よりずっと難解でした。Amazon unlimitedにて無料で読めるので気になる方はぜひ。 -
ゲーム
ゲームの語彙は大分特殊なので、違う意味で難しいです。「王国」や「侵略」、「ファイア」などの語彙を覚えても日常では使う場面がないですね。なので知らない単語が出てきても調べず雰囲気で流していました。FF-Xや聖剣伝説~レジェンドオブマナ~などは普通のゲームとして楽しかったです。知り合いの小学生なんてAPEXを外国人と会話しながら遊んでいるらしいですが、そこまでは手が出せなかったです。 -
ラジオ
NHKのラジオアプリを入れて、ランニングや散歩するときのお供にしていました。聞き流すだけなので、そこまで疲れないです。落語や偉人伝を英語で聞けるコースもあり、なかなかおもしろかったです。
また、定期的にアレクサにBBCニュースを流してもらい、聞き取れないのでもっと勉強しなきゃと思っていました。
ラジオではないですがTOEIC公式が出しているeラーニング教材も、語彙を増やすのにお世話になりました。 -
アプリ
英語の問題を解きながらゲームを進めるRPGのアプリなどを暇つぶしにやっていました。特に役に立ったという実感はなかったので、本当に暇つぶしです。「英語物語」というアプリをやっていましたが「best of luck! small fly (訳 せいぜいあがけよ雑魚ども!)」 みたいなスラングをゆるゆる楽しんでいました。
他にも色々と手を出してみましたが、結局はスタディサプリに戻ってました。 -
英会話
ネイティブキャンプでフィリピン人と喋っていました。が、教材の選定を間違えると天気と食べ物の話で終わるので注意です。
ビジネス英語のスキルを上げたい場合、ビジネスの場を想定した台本を講師と二人で代わる代わる音読するコースがあり、英文の読みがわからず音読できない人にとっては画期的だと思いました。しかし自主練で音読している方が個人的には好きでした。
スタディサプリで学んだビジネス会話のフレーズを使いつつ、その場面に関する英文を自由に英作文するコースもありました。時間をかけたら英文が作れる人が、その時間を短くする目的でやるなら効果はあると思います。
当たり障りのない雑談ができるレベルのコミュ力とボディランゲージがあれば、TOEIC200点レベルでも会話は成立すると思います。が、ビジネスで使う英会話となると、最低TOEIC800点は取らないとコスパが悪いと感じました。 -
単語帳
金のフレーズなども買ってみましたが、非効率だと感じました。PART2やPART5をやりながら文章の文脈で一緒に語彙を覚えるというやり方の方がよいかと。もちろん文章の半分以上の単語がわからない、という状態であれば単語の暗記からやった方がよいですが。
最後に
長らく勘違いをしていたのですが、英語にはコミュ力も地頭も関係ありませんでした。必要なのは音読と根気と体力です。いつでもどこでもひたすら音読し続けていたらなんとかなります。よってもはや一種の体育だと思った方がよいかと。
かけた時間なんていちいち記録していませんが、役に立たなかった英語学習の時間まで含めると、1200~1600時間前後だと思います。(ゲームやアニメなどせず、最初からスタディサプリだけやってればもっと短縮できたのでは?と今では思います。)時間だけ聞くと1日4時間の勉強を一年続けるだけで達成できると思えますが、年々体力と使える時間がなくなりつつあり、ダラダラと3年以上かかってしまいました。「若ければなんでもできる」という言葉がありますが、その意味は「若い時は自分だけに使える時間と体力が無限にあって、無限に努力できる」という意味でした。ほんとに、本当に、ほんっっっとうに、、、厳しかったです。。
決して楽な道ではありませんでしたが、コツコツ地味に努力できる人にとって参考になるといいなと思って書きました。ようやくスタートラインに立った感じですが、一つの区切りになりました。取れて嬉しかったです。
これからは商談の翻訳をしたり、英語のECサイトを作って日本商品を売ってみたり、いい感じの英文Eメールを書いたり、するために、、、何を勉強すればいいんでしょう。。。。努力のやり方がわからない。。ここからが本番のような気がします。。。