※2023年9月13日更新:目次がうまく反映されていなかったため修正しました。
また、退職に伴い、Organizationを外しました。
これは何?
私が数々の資格試験を突破することで身に着けた心構えのメモをまとめたものです。資格試験を受ける際に自分がするべき点を書いたメモが社内で好評だったことから公開することにしました。基本的にIT系の資格について記載していますが、ここに記載していることはほとんどの資格で共通して言えることだと思います。
事前調査
最重要の工程です。 ここでミスると勉強方法が間違ってしまい、合格が遠のきます。
最初に様々な媒体からどのように勉強すべきかを調査します。
- 公式情報を確認します。出題範囲、問題数、制限時間、回答方式、配点、その他注意点などです。まれに変更されることがあるので、勉強中、受験直前に再度確認します。
- 先人による受験記、勉強方法、合格ラインの目安、問題の傾向等を調べます。可能なら自分の同じレベルの人の受験記を探すと参考になると思います。
- 特に出題範囲、問題数、制限時間、回答方式、配点は重要で、これに応じた時間配分や勉強法を考えます。また、情報処理試験であれば過去問が公開されています。存分に活用しましょう。
- 難易度が自分にとって難しすぎないかもよく検討します。チャレンジ精神は大事ですが、難しすぎることを最初からやると心が折れます。CISSPクラスの高難易度かつ価値の高い資格であればチャレンジ精神も必要ですが、基本的にステップアップの方が良いです。
計画
- 勉強スケジュールを立てます。期日が決まっているならやむを得ませんが、受験費用が無駄にならないように、また時間を無駄にしないように基本的に無理のないスケジュールにすべきです。
- 平日も勉強できるのか、土日しか使えないのか
- 1日何時間使えるのか、隙間時間でできることはあるか
- 試験範囲すべてを網羅するのにどれくらいかかりそうか
- 実機を触らないとわからないものはあるか、実機を触るのにどれくらいかかりそうか
- 経験上、平日30分、土日2時間くらいでも積み上げによってかなりの時間を確保できます。必ずしもまとまった時間でやる必要はないです(実機を触る場合は別)
- 平日30分で暗記するものを行い、土日で問題を解くなど、生活スタイルに合わせて変えてみると良いと思います。
- 2つ以上の資格を並行して受験するのはオススメしません。よほど関連している試験でない限り混乱の元です。LPICの101と102、201と202のような関連性が高い試験であれば、並行しても問題ないと思います。
勉強方法
勉強は反復が基本です。繰り返し、理解できるまでやりましょう。一方で、理解するには時間がかかります。わからないところは後で振り返ることにして、先に進む方が効率的な場合があります。
- 最初に全体を眺めた方が良い傾向があります。(経験上は全体を理解した方が個々のトピックを理解しやすいことが多い)
- テキストがあるなら、わからない部分は飛ばして良いので全体を把握する。2回目はわかっている部分は読み飛ばし、わからない部分を重点的に理解する。
- もし知っている分野があるなら、先にその分野をマスターした方が良いです。全く知らない分野は後回しにした方が良いです。
- 模擬試験や練習問題があるなら必ず行います。問題を解く際は、間違っている選択肢がなぜ間違いなのかも理解するとベストです。
- 問題をこなす目安としては、試験の出題数の3倍以上です。これくらいやれば試験範囲を網羅できている可能性が高いです。ただし、試験範囲が極めて広いCISSP等では、5倍程度の問題をこなすことをお勧めします。
- 上記と矛盾しますが、多くの問題数をこなすよりも、限られた問題の理解度を上げた方が良い場合もあります。特に専門性が高く、狭い分野の試験の場合、作成できる問題数が限られてしまいます。GCFAやGREMのような試験では、理解度を上げることに集中した方が良いです。
- IPAの試験は過去問から出題される傾向があります。そういう場合は過去問丸暗記も検討してください。
- 出題範囲に偏りがある場合は、配点が大きい分野を重点的に学習することで、得点を稼げます。ただし、よほど問題数に偏りがない限りはあまりあてにしない方が良いと思います。
- GIACなど、専門性が高い試験は必ず実機で各ツールを使ってください。手を動かさないと得点できない問題も多数あります。
- 捨てる勇気を持ちましょう。満点でなければ合格できない資格はまずありません。苦手だと思う分野がある場合、思い切って捨てるのも1つの方法です。資格試験の合格ラインは試験によって異なりますが概ね7割前後ですので、多少は捨てても合格できます。
試験前
食事管理
- 受験3日前くらいから受験までの間は、可能な限り食あたりやお腹が下る食べ物を避けることが望ましいです。焼肉などの重い食事、寿司や刺身などの生ものは避けた方が無難です。普段からよく食べているもので、調理までに人の手がなるべく介在しないものの方がより安全と思われます。カロリーメイトやカップ麺、ファーストフードなどが比較的安全と思われます。ただし、普段から食べていないのであれば避けた方が良いかもしれません。基本的には普段通りの食事を行い、重い食事、生もの、飲酒は避けるくらいで十分だと思います。
- 脳は炭水化物を必要とします。当日の食事は炭水化物を必ず摂取します。ただし、必要以上に摂取すると眠くなりやすいので、普段の量か、それより若干多いくらいで十分です。試験中に食事がとれる場合は、カロリーメイトのような炭水化物を短時間でとれるものが良いと思います。また、必ず水分を補給しましょう。冬でも汗をかいています。
体調管理
- 体調管理に注意します。少しでも体調に問題がありそうなら延期を検討してください。情報処理試験のように延期できない場合は、発熱・咳が止まらないといったどうみても他人に迷惑がかかる場合を除いて受けるしかありません。(ただ、昨今の情勢を考えると、少しでも体調が悪い場合は受けない方が良いでしょう)
- 最近風邪をひいていないと思ったら要注意です。直前で風邪をひく可能性があります。うがい手洗いで自己防衛しましょう。
- 試験勉強のために遅くまで起きているのはオススメしません。受験の数日前からは普段通りの時間に寝ましょう。
持ち物チェック
- コンピュータで受験する試験の場合、免許証などの身分証明書が2点必要というケースが多いと思います。試験によって身分証明書として有効なものが異なるため公式サイトで確認しましょう。私はだいたいパスポート、免許証、マイナンバーカード、保険証、クレジットカードを持っていき、万が一NGを食らった場合でも対処できるようにしています。
- 試験によっては筆記用具や定規、コンパス等が必要になるかもしれません。公式サイトで確認しましょう。ただし、あまり不要なものを持ち込むのは止めた方が良いと思います。
- 昼食を挟む場合は、昼食を持参します。私はだいたいコンビニでおにぎりかパンを買って持ち込んでいます。匂いの強いもの、食べるのに時間がかかるものは避けましょう。
- ITの資格ではあまり聞きませんが、制服やスーツを着用する必要がある場合は、事前に用意しておきます。思った以上に人は見た目で判断してしまいます。面接がある場合は、クリーニングしたものを準備した方が良いでしょう。
会場到着まで
- 試験会場付近には、できれば1時間前に到着しておくと良いです。試験会場までの道のりで交通トラブルが起こる可能性も考えられます。私は基本的に1時間前くらいに会場付近に到着し、近くのカフェで最後の準備をしています。
- 遠方からの受験の場合は、前泊することもあると思います。可能なら会場まで徒歩で移動可能な範囲に宿泊した方が良いでしょう。徒歩圏内が厳しい場合は、タクシーを使って15分以内を目安にすると良いです。お金は多少かかりますが、遠方から受験しにきたのに遅刻して受験できないのは非常にもったいないです。
試験中
【最重要】問題をよく読む。国語の問題ですし、問題文が英語であればなおさらです。
- 誤読に注意。
- 「あてはまらないものを選んでください」の場合は特に注意が必要です。
- 「最も適切なものを選んでください」の場合は、通常正解と思われる選択肢が複数あります。そこから「最も適切なもの」を選択します。また、解答するための必要な前提条件も書かれているはずです。
- 問題例「情報セキュリティにおいて最も重要なものは次のうちどれですか?」
- 機密性
- 完全性
- 可用性
- 人命
- 解説:CIAはいずれも情報セキュリティにおいて間違いなく重要ですが、言うまでもなく人命が最優先です。この例は極端ですが、最も適切なものを選ぶイメージはつきやすいと思います。
- CIAのどれが最重要かは状況によって変わるので、問題文の中に前提条件が書かれているはずです。例えば「政府機関内の機密性の高いシステム」という前提であれば、機密性が最優先と考えられます。
- 問題例「情報セキュリティにおいて最も重要なものは次のうちどれですか?」
また、諦めたらそこで終わりです。わからなくても最後まで解答を埋めましょう。本当にわからなければ適当でも良いです。運が良ければ合格する可能性もあります。解答を埋めなければ合格する可能性はゼロです。
解答テクニック
- 問題文が長文であれば、選択肢から読む方が早いです。高校・大学受験のテクニックと同じです。
- 何を問われているのかを確認する(特に記述試験では注意)
- 問題「なぜ~なのか答えなさい」→「~だから」と答える必要がある
- 問題「~に当てはまるものを答えなさい」→きっちりと当てはまる単語にする必要がある。不要なものをつけない
- わからんものはわからんと諦める心が重要。1割くらいは全くわからない問題も出るものです。そういうものだと思って諦めましょう。
問題が英語の場合
- 5W1Hを最初に確認する。
- 翻訳するのではなく、文意を理解するように努める(翻訳する時間はない)。解答に必要なキーワードを拾うように読むと良いです。
- 問われているものが何か、解答の選択肢が何か、問題文の前提条件は何かさえわかれば良いので、文章ではなく単語で拾います。
- やや感覚的な話ですが、英語の問題文は雰囲気を掴むことが重要です。たぶんこういうことが問われているんだろうなと思ったらそれでOKです。7割理解できたら、7割の情報で回答しましょう。
- 見直せない試験も増えてきました(CISSP、GIAC等)。見直せる場合でも1問1問確実に。
- わからない問題はスキップやフラグを活用し、後から回答しましょう。他の問題を解くうちにヒントが出る可能性はゼロではありません。
- 全くわからない問題は、採点されない調査用の問題に違いありません。適当に一番上の選択肢を選んで回答しましょう。(一番上の選択肢が明らかに違うならその下)こういう問題で時間を使う必要はありません。1問間違えたくらいで落ちませんので気にしないこと。
読解の速度を上げる方法
速読までいかずとも、問題文から重要なキーワードだけを拾うようにした方が良いです。普段の読書でもこれを心掛けると良いと思います。
問題例:「ある組織において、マルウェアに感染したマシンが検出されました。経営層は他のマシンへの感染を強く懸念しています。次に何をすべきですか?」
上記の場合、重要キーワードは以下のとおりです。これ以外の部分は読む必要がありません
- マルウェアに感染したマシン
- 経営層(これが経営層ではなく、現場の判断であれば解答が変わってくる可能性があるため)
- 他のマシンへの感染を懸念(重要な前提条件です。他のマシンへの感染ではなく、被害範囲の把握だとLANの抜線が最適解とは限りません)
- 次に何をすべきか?(「すべきか?」であり、「すべきではないか?」ではない点を確認)
上記から、最初にLANを抜線した方が良いだろうと考えられます。問題文が英語であっても重要キーワードさえわかれば同じように解答できます。
試験後
合格した場合は祝杯をあげつつ、受験記を書きましょう。これから受験する人のためでもあり、自分のためでもあります。今回の試験の勝因はどこだったか振り返ってみましょう。その方法は他の試験でも応用できるはずです。
残念ながら不合格だった場合は、落ち込みましょう。ただし、落ち込むのは3日以内とし、4日目からは再起を図りましょう。
前述したどのステップに問題があったのかを振り返ります。単に勉強が足りないと思う人も多いですが、不合格の要因は必ずしもそれだけとは限りません。戦略を練り直すところからやってみましょう。
また、辛いかもしれませんが、できればどこが悪かったのかを書き出しておいた方が良いと思います。再受験に向けた勉強中や試験直前に読み直し、常に反省点を念頭に置いておくことは重要だと思います。
さいごに
色々書きましたが、基本的には受験テクニックとなんら変わらないと思います。事前の準備において、実績のある方法を試し、理解できるまで反復します。本番では、問題文をよく読み、1問1問確実に解答します。一方で、わからない問題は諦めることも必要です。
また、高校受験や大学受験は基本的に失敗した際のリカバリが難しいですが、資格試験は落ちても再受験が容易なものがほとんどです。あまり深刻に考えずに取り組むのが良いと思います。