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オフショアプロジェクトにおけるコミュニケーションの課題と解決策

Last updated at Posted at 2024-08-12

はじめに

 オフショアプロジェクト(以下、オフショアPJ)は、グローバルな市場で競争力を高めるための戦略として、多くの企業が採用しています。コスト削減やリソースの多様化を図るための手段として非常に有効である一方で、その成功にはコミュニケーションの質が大きく影響します。特に日本の顧客と海外の開発チームの間では、文化や言語の違いが大きな障壁となることが少なくありません。ここでは、オフショアPJにおけるコミュニケーションの課題について深掘りし、これらの課題を克服するための具体的なアプローチを探ります。

1. お客様の期待と現状のギャップ

初めてオフショア開発サービスを使用する顧客 オフショア開発サービスに慣れている顧客
コスト削減は大きな魅力ですが、同時にそのコストメリットが品質の低下を招くのではないかという懸念も持って、オフショアチームに対して、抵抗感があります ある程度オフショアPJに関する課題を理解しており、現実的な期待を持っています
海外のチームに対してどのように扱ったら良いか分からなく、日本の標準と同じくマナー、考え方、報・連・相を徹底することを強く求めます 資料の作り方、仕様の説明し方が丁寧です
高いレベルの日本語コミュニケーション能力を求めており、単に言葉の表面だけでなく、その言葉を通じて伝えたい真意を理解して行動することを期待しています オフショアチームに対して、日本のビジネスマナーや報・連・相を求めるものの、日本人ほど厳しくない対応をしてくれることが多いです。優しい顧客であれば、ミスを指摘したり、日本人の視点を教えてくれたりします
顧客の要望を正しく理解し、指示されたタスクをこなすだけでなく、プロダクトの品質を向上させるために力を注いでほしいです ゆっくり話したり、難しい専門用語を避けたりするなど、日本語でのコミュニケーションにも気を使ってくれます

2. 典型的なコミュニケーション課題

日本語能力と文化理解

 オフショアチームが直面する最も大きな課題の一つは、日本語能力と文化理解です。コミュニケーションを担当する多くのコミュニケーター・Brseは、自分の日本語スキルに自信が持てず、顧客とのミーティングで緊張しがちです。この緊張が原因で、言いたいことがうまく伝えられないことが頻繁に起こります。
 また、相手の発音や方言が理解しづらい場合もあり、内容が把握できないことがあります。さらに、表面的な言葉だけでなく、相手の本音や感情を読み取ることが難しく、コミュニケーションにおいて誤解が生じやすいです。

マナー

 日本のビジネスマナーに慣れていないオフショアチームにとって、何かの原因で時間になってもMTGに参加せず、スケジュールを守らないことや、ミーティングの前に設備をチェックしないことなど、基本的なマナーが欠けている場合があります。これにより、ミーティングがスムーズに進行せず、顧客に不信感を与えてしまうことがあります。

ソフトスキル

 コミュニケーター・Brseは、内容が理解できない時に質問をせず、曖昧に解釈してしまうことが多いです。このような状況では、顧客の要望を正しく把握できず、期待に応えることができません。また、どこまで伝えるべきかが分からず、開発チームと顧客の発言を略したり、自分の解釈でまとめたりしてしまうことがあり、結果として情報の伝達に誤りが生じることがあります。

プロジェクトマネージャー(PM)のスキル

 PMがプロジェクト全体のスケジュールや課題を把握できず、顧客からの質問に迅速に対応できないことが多いです。これは、先読み能力が不足しており、ミーティング内容の準備が不十分であるためです。その結果、ミーティング中に開発チームと確認する時間がかかり、顧客に対して迅速かつ適切な回答ができないことが問題となります。

3. お客様の期待と現状のギャップ

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顧客の視点

 顧客は、オフショアチームが本当に仕様を理解しているのか、納品期間が守られるのか、報・連・相が不足しているのではないか、同じミスが繰り返されるのではないかなど、多くの不安を抱えています。

コミュニケーターの視点

 コミュニケーターは、日本語や技術的なことが難しく、両側からのプレッシャーを感じることが多いです。顧客の期待に応えつつ、開発チームとのコミュニケーションを円滑に進めるためには、高度なスキルが求められます。

開発チームの視点

 開発チームは、提供できる範囲が限られている中で、顧客の要望に応えることが求められます。また、顧客の要求が過剰に感じられることがあり、コミュニケーターが常に顧客側に立っているように感じることもあります。

4. 信頼関係のあるコミュニケーションのために(コミュニケーター・Brseの役割を中心に)

No 項目 具体的なアクション
1 専門知識・用語の学習 プロジェクトに関連する専門用語や技術を積極的に学習し、日々の会話や仕様書で使いこなせるようにします。
2 日本語・会議のファシリテーター能力を向上させる 日本人のミーティングを録音し、後で繰り返し聞いて、日本語のニュアンスや進行の方法を学んだ上で、自分の発言や進行に対する改善点を見つけます
3 仕様・タスク内容確認 単に機械のように訳すのではなく、機能の本質を理解するように、機能を自ら操作し、実際に使用することで、ユーザー目線での理解します。MTG前に、MTG中で確認すべき内容について事前に担当開発者と確認し、内部で疑問点を解決することで、外国語でのやり取りを会議中に最小限に抑えます
4 アウトプットの品質確認 開発者から提供された成果物に対して、顧客に納品する前に、窓口担当者が最終確認を行い、要求が正しく満たされているかを確認します
5 クレーム対応 トラブル発生後は、調査完了を待たずに状況や進捗、対策を随時お客様に報告します。まずは迅速に対応し、影響を最小限に抑えることが最優先です。その後、恒久対策と再発防止策を報告し、顧客の信頼を維持します。
6 臨機応変な対応 お客様の個性や特徴を理解し、各お客様に最適な対応ができるようにソフトスキルを磨き、良好な関係を築きます。

まとめ

 オフショアプロジェクトにおける成功の鍵は、文化や言語の違いを乗り越え、信頼関係を築くための効果的なコミュニケーションにあります。
 今後IT業界だけでなくさまざまな業界において外国人とともに働く機会が増加し、当たり前の世の中になっていくということは想像に難くありません。そうしたなかで、外国人と円滑なコミュニケーションが取れるスキルは非常に有用であり、またそのスキルは日本人同士のコミュニケーションにも活きるものです。よりグローバル化が進む現代において、身に着けておいて損は無いスキルと言えるでしょう。
 コミュニケーションに不安を感じオフショア開発を避けるのではなく、むしろオフショア開発を通じて外国人とのコミュニケーションの経験を積むことで、個人や企業の競争力を強化していきましょう!

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