はじめに
この記事はSAP Advent Calendar 2024の12月3日分の記事として執筆しています。
そして、SAP Advent Calendarそのものに投稿するのは2020年以来じつに4年ぶり、夏の自由研究への投稿も2021年以来ということでした。ご無沙汰しております。4年間でSAP社のソリューションも徐々に変わり、最近ではタクシーに乗るたびGROW with SAPの広告を目にし中小向けで攻めてる印象。あの広告の「SAP導入した方のお前だよ」って好きです。
想定読者
いわゆるSAP BASISをお仕事とされている方を想定しています。
今後SAPテクノロジー知見の追いかけ方やスキルセットの方向性検討の一助となれば幸いです。
記事内容と目次
下記についてここ数年の筆者の肌感覚から記載します。
数年経ってこの記事を振り返ったらガラリと変わっているかもしれません・・・
- SAP BASISを取り巻くここ数年の動向と必要とされるスキル
- スキルを身につけるためどうしてきたか
- これからどうしていこうか
- おわりに
1. SAP BASISを取り巻くここ数年の動向と必要とされるスキル
ざっくり書きますが、ここ数年の動向をまとめるとこんな感じでしょうか。
技術面においてBTPは業務コンサルがとっつきにくい分野、インテグレーションも然り、仕事面では自分の普段遣いの言葉が伝わらないような方との丁寧なコミュニケーションが求められる印象です。
- 従来のいわゆるBASIS業務は減少傾向が見られる
- BTPやインテグレーションについては増加傾向が見られる
- 特にBTPは隅から隅まで出張っていって他チーム貢献した方が良い
- 他者・他社とのコミュニケーションがより求められる
上記について、新規インストレーションのみならず更改案件でもRISE with SAPはよく耳にします。ファーストチョイスなのでしょう。となるとSAP BTP + S/4HANA Cloud + othersとなります。また、昔でいうHECのようにSAP自身がクライアントのOS~S/4HANAオンプレまでをSaaSとして提供するモデルもあり、これも耳にします。
これまでBASISコンサルタント・エンジニアが主戦場としていたOS/DB/NetWeaverをSAP社が面倒見るよという場面が増えています。アプリケーションの価値を得るための間接的な機能であることと、任せられるなら任せてしまう方が楽ということが背景にあるかと思います。クラウドの浸透と同じですね。
主戦場が減りつつあるのですが、SAP BTPであったり他ソリューションとのインテグレーション部分など、まだまだ活躍の場があります。特にBTPは増えている印象。SAPの知見しかないような人がいきなりスクラッチ開発に突撃していくようなものですが、知ってるという人も一部しか知らないのが当たり前なので、いろいろなスキルセットの人を集めて業務機能を作り上げていくスクラッチ感が出ています。BTP現場にいると画面・ロジック・DBのこと知らないSAP界隈の人って本当に多いんだなってよくわかります。これはNetWeaverが優秀なことが悪いのですが、DBについてはBASISの得意分野でしょう。他にもロールや認証、機能リリース、SAP社との契約管理などBASISの活躍の場はたくさんあります。
S/4は業務データが集まってくる場所なので、インテグレーションが非常に重要です。昔から各所で言われていると思いますが本当に重要です。これができないとS/4導入しても能力を引き出せない。BTPとの連携もその一例ですが、銀行、自社の各システム、何ならグループ各社のシステムとも繋がるでしょうか。アプリケーション同士をつなげるところなのですが、S/4コア部分に軸足をおいている業務コンサルタントがまだまだ多い実情もあり、こういったところはBASISが出張っていくところです。うまくAPIでつながればよいですが、そもそもAPIの呼び方って?とか、泥臭いつなぎ方もありますし、セキュリティも絡みます。
上に契約管理という言葉を出しました。いわゆる金庫番としての役割です。BTPでは例えばCloud Foundryに代表される課金管理。アプリケーションごとのメモリサイズは各アプリチームでないと分からないが、それに支払っている費用は自社のSAP契約担当でないと分からない。その間にはBASISが金庫番として入り込んでいく必要があります。パフォーマンス話や可用性も絡んでくるのでBASISの知見とアプリチームを取りまとめ役回りの両方が必要となってきます。BASIS知見ならBASISの出番でしょう。まるでブリッジSEのような話です。これまでに掛かった費用や今後の費用予測を出すためのヒアリング・取りまとめ・実際の試算、そういった役回りは必ず求められます。
2. スキルを身につけるためどうしてきたか
面白みのない普通の結論で申し訳ないのですが、結局お勉強(最新情報を追いかけ"続ける"こと)なのです。
筆者はBASISコンサルトですので自身がここ数年やっていたことを書きます。並び順はこれまでの筆者の中での優先順位です。
テクノロジースキルだけに偏っては飯の種は種のままですので、花にするためのツールとして問題解決やドキュメントコミュニケーションのスキル伸ばし、そのほか色々勉強していました。特に自分でお金を出した場合とそうでない場合の吸収力の差はこの齢になって実感します。勉強には自分のお金をかけましょう。
ChatGPTのような便利ツールを使える環境であれば、自分が成長するための方法を聞いてみるのも良いと思います。
SAPに関すること
- SAP公式イベントに参加した人のブログやX投稿を読む
- SAPのホームページで概要チェック
- TechEd Virtualのreplayを探す
- SAP Learning Hub(会社が契約しているものを利用)
- SAP Learning(意外とLearning Hubにないものもあるため)
- SAP HELP(同上)
- SAP Inside Trackをグローバルで追いかける(日本ならTokyoがあります)
SAP以外のこと
- ファイナンス
- アカウンティング
- 問題解決
- ドキュメントコミュニケーション
3. これからどうしていこうか
日々限られた自分の時間の中で何を"続ける"か迫られる場面が多いです。家族や子どもの将来のことを考えることや、付随して先立つもののために資産形成の勉強のほうがSAPのお勉強より幾許優先度が高いです。
この記事を書く中で振り返ってみたところ、筆者がSAPの勉強に割り当てられる時間は平日・休日ともほぼ1時間でした。この時間の中でなにをするのか考える必要があったのです。
いま目をつけているJouleとNetWeaverについては継続しようと思っています。そのための手段としては追いかけ方を下記優先順位で絞ろうと考えています。
読者のみなさんも改めて自分で使える時間が日々どの程度あるのか、真剣に見つめ合うと仕事関連(SAP・それ以外)の勉強に使える時間が本当に少ないことに気づくかと思います。いまいちど算出してみてください。
これからのSAPに関することの追いかけ方(個人の感想ですよ)
- SAP公式イベントに参加した人のブログやX投稿を読む
- SAPのホームページで概要チェック
- SAP Inside Trackに賭ける
- SAP Learning Hub/SAP Learning
SAP以外のこと
- 来年のことは年始に向けてまた考えていきます
4. おわりに
実は書くことを思い立ったのが2024/12/1(日)14:00頃で、そこでCalendarにてエントリしました。書ききれるか心配でしたがやってみれば書けるものです。読んでいる方でSAP Advent Calendar 2024投稿を決めていない方がいらっしゃれば、まず投稿エントリしてみることをオススメします。
筆者は書きながら、「こういうふうに調べ物していたんだなぁ」「ヤバい時間ないじゃん」、と改めて気づかされました。気づけて、来年はこうしようと決心できたことが書いたことの最大の収穫です。
TechEd参加とか見たりとかしないの?と言われそうですが、必要になったときのための勉強なので、割ける時間はJouleに割きたいというのが今の考えです。2012年にHANAを学ぶためにopenHPIのIn-Memory Data Managementコースに空き時間を投入していたことを思い出します。
それでは!