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社会人博士よもやま話(仮)

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ごあいさつ

 こんにちは。
 超遅刻してますが、本記事は社会人学生 Advent Calendar 2022の12/23の記事です。いまは12/23 54時56分ですね、クリスマスなんてものはないのです。初アドカレでして、大遅刻・内容ともども大目に見て頂けると嬉しいです。
 ここでは社会人博士(以下社D)になった経緯や所感を述べたいと思います。

自己紹介

 材料系のメーカーで研究~製品開発あたりを数年やっていたら、たまたま社Dに行ける機会があったので行きました。
研究テーマは学部、修士、博士で異なり、以下のような変遷をしています。

  • 学部 真空中での有機物薄膜の表面構造解析
  • 修士 導電性材料の合成とデバイスとしての物性評価
  • 博士 会社でやってる内容を拡張して挑戦中

 なお社Dの学費は社内制度を使って色を付けてもらっているので生活水準を変えることなく捻出できています。今から考えると、こういう制度があったのはラッキーでした。計画的にやるなら予め調べておくべきですね。

まとめ

 内容を簡単に言うと、僕の社Dって以下の3点ですね!という記事です。

  • 順調ではないが実りが多い経験である(学びの宝庫、学生のままD進 or ずっと会社だと絶対にできなかった)
  • 研究テーマは会社方針に強く依存する+限定されるので覚悟が必要になる
  • 社Dはめちゃくちゃ時間がないので、私生活も研究のクオリティもあきらめる必要がある

経緯

  • 入学まで

    • 研究室との縁
       共同研究先の研究室に頼み込んでとってもらいました。そういったツテがないとことから社Dに進むのはかなり厳しいと思うので、その場合はお目当ての学会なりに顔を出したりで、伝手を作る必要があると思います。
       また何の研究をするのかについて、入学試験までにある程度のタネ銭が必要です。共同研究をある程度やっているか、会社側の理解があるかというのも必要になってきます。
      さらに、後述の通りゼミに出れないことも多いので、そういうのへの理解も必要です。Mから他大へD進しようとするときよりも気にするべき項目は多いと思います。

    • 入試
       働きながら院試勉強の時間を捻出するのがかなりきつかったです。現役の時やっていたことは働いてると忘れるもので、それを掘り起こすところからのスタートでした。
       勉強時間の少なさがネックで、そういった意味では大学受験よりも厳しさがあります。ただやることは普通の院試と同じで「過去問をみつつ試験範囲を復習→過去問とく→ヤバイところは参考書で補正」という皆がやっているだろうパターンで勉強していました。英語についてはTOEFLでもTOEICでも3回くらいは受けておくべき(そのくらい受ける時間的余裕を作っておくべき)です。

  • 入学してから

    • 授業
       卒業までに必要な単位が案外多い上に、きになるやつをモグラする余裕はないです。社Dには研究がしたいから行くべきで、学びなおしの場合は学部に行くべきだと思います(単位取得のみ、という手もありますし)。
       終業後はすぐに授業かつ、たまに日中時間も授業が入るときがあるので会社側の理解も必要になります。集中講座に合わせてがっつり有休をとったりして工夫する必要があります。できれば半年、遅くとも1年で必要単位はとりつくしておくべきです。なので最初の半年~1年は授業で消えます。研究している暇はないです。
       ただ、B~Mとは分野が変わったこともあり、ここで学んだことがそのまま研究にも業務にも活きているという実感がありました。とても有意義でした。

    • 研究報告会・雑誌会
       仕事があるので毎回は出れないです。受け入れ先の研究室と齟齬が無いように話をするか、会社に理解を求めるかが必要です。自分は研究室側に配慮いただきましたが、今考えるとこれはめちゃめちゃもったいないことでした。普段は職場にいるため、指導教官や研究室メンバーとの接触機会がもともと少なくなりがちで、こういった機会は積極的に活かしていくべきです。

    • 仕事
       就業環境としてはコアタイム制かつ軽いリモートワークは可で、やることやってればうるさく言われない感じです。ただしメーカーなので実験室には絶対に行く必要あります。リモート:客先:実験室=1:1:2 くらいのバランスで進めています。
       自分の場合は業務内容と研究内容のリンクが強く、会社で研究・開発業務を進めることが社Dの研究実験を進めることに直結しています。一方で、すべてひとりだとできない分野なのでチームで進める必要があり、後述の面倒くさいポイントを生んでいます。

      • 研究
         普通に企業の中で開発をするよりもその技術について深堀出来るが、State of the art の追求やまったく新しい発見みたいなのはできないです。銅鉄研究から一歩抜け出せたら御の字といった具合の研究で、他分野に応用することで新規性を出すという論調が多いです。また本当に時間がないので、研究計画は全然役にたっていないです。

困っていること

  • 知財と利害

    • 会社の知財戦略や、客先を含むステークホルダーの利害を調整する必要がある
       チームでの研究であること、雇われの身であることから研究テーマは限定されています。なおかつ、その先の商売ができるように、自社の知財戦略上オープンにできないことや、NDAに引っかかったりでオープンにできない研究になってしまうことが良く起こります。これを防ぐには何らかの助成金と紐付いたモノが必要なのかもしれないです。
       また、ピボットする時はそこそこ力を入れかつ成功していた研究内容でもおじゃんになる場合もあります。
       一方で、ふつうに製品を作っただけで論文化できる内容になるわけもなく、ここの利害調整がめちゃめちゃ難しいです。会社に相談しつつなんとか協力体制を作って、という工程が必要になるため、時間が倍ドンでかかってきます。 これは自分の経験不足が大きいのですが、本当に研究計画通りには全く進まないです。生殺与奪の権は自分で握れるようになりたいですね。

    • 論文用の実験をする時間がとりにくい
       会社は基本的に「動けばOK」なので、原理の深堀に多くの時間を割く余力がないです。細かいところを追求したいのですが、人と金のリソースがマジでないのでできません。丁度いま、査読付き雑誌に出す用の論文を書いているのですが、ここがネックになっていて書くのが遅々として進んでいないです。

  • サーベイの時間がとれない
     Readableがないと詰んでましたが、それでも詰みがちなのがサーベイです。サーベイに使う時間はお仕事とみなされにくい空気があり、研究の位置づけをきちんと調べつくして最新研究も追って、となるとやり切るのは難しいです。

休息について

 何かしらの方法を作って休まないと身が持たないです。人によって最適な稼働時間があるので、「よく食って、よく動いて、よく寝る」+趣味を少々というのを基本に良い塩梅を見つける必要があります。自分の場合は毎日6時間以上の睡眠+毎週土曜の16時までは何もしない、というルールで休憩の時間をとると死なないことがわかってきました(平日50-60時間+休日15時間以上は稼働できない)。
 またストレス発散の趣味をどうするかも加害で、今までは旅行したり友人と集まったりしていましたが、コロナのせいで軒並み封印されてしまいました。ここらへんはソーシャルVRを代替にしているおかげでなんとか人間の形を保てています。

おわりに

 拙い文章でしたが、ここまでお読みいただきありがとうございます。文章校正とかできてない、勢いのまま生まれた文章なので、あとで手直しするかもしれません。改めて自分の社Dってどんな感じかを自省する良い機会となりました、アドカレ企画いただきありがとうございます。これから社Dになるのでこれも聞きたいな、みたいなのがあれば可能な範囲で答えられるかもしれないのでコメント等々いただけると嬉しいです。
 自分押しては入学~現在まででなんとか論文を書いていく下地を整えられたよいうような状態で、あんまりちゃんと研究できている方ではないのでどれだけできるかなぁという感じです。やることが累積していますが、なんとか捌いて修了までこぎつけていきます。

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