2
1

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

More than 3 years have passed since last update.

s=jωをする理由(制御工学)

Last updated at Posted at 2020-09-12

#s=jωはフーリエ変換しているのと同じ
まずは,ラプラス変換とフーリエ変換の式を見比べてみましょう。

フーリエ変換

  F(j\omega) = \mathcal{F}[f(t)] = \int^{\infty}_{-\infty}f(t)e^{-j\omega t}dt 

ラプラス変換

F(s) = \mathcal{L}[f(t)] = \int^{\infty}_{0}f(t)e^{-st}dt = \int^{\infty}_{0}f(t)e^{-(\sigma+j\omega)t}dt

どこが違うか分かりましたか?

$e$の指数部分と積分範囲ですね。ラプラス変換の$e$の指数部分で,$\sigma=0$ (つまり$s=j\omega$) とすると,下のようになります。

F(s=j\omega)  = \int^{\infty}_{0}f(t)e^{-j\omega t}dt

もうこれ,フーリエ変換ですね。
え? 積分範囲が$-\infty$~$\infty$じゃないって?
そうなんです。実は,"$s=j\omega$でフーリエ変換と同等になる" というのは,元の関数$f(t)$が次の条件式になっている場合に限られます。

f(t) = \left\{
\begin{array}{ll}
f(t) & (t \geq 0) \\
0 & (t \lt 0)
\end{array}
\right. 

もう一度,$s=j\omega$した式に戻りましょう。
$t<0$において$f(t)=0$であることを踏まえて,以下の変形をします。

\begin{align}
F(s=j\omega)  &= \int^{\infty}_{0}f(t)e^{-j\omega t}dt\\
&=\int^{0}_{-\infty}0・e^{-j\omega t}dt+\int^{\infty}_{0}f(t)e^{-j\omega t}dt\\
&=\int^{0}_{-\infty}f(t)・e^{-j\omega t}dt+\int^{\infty}_{0}f(t)e^{-j\omega t}dt\\
&=\int^{\infty}_{-\infty}f(t)e^{-j\omega t}dt\\
&=\mathcal{F}[f(t)]
\end{align}

以上から,$s=j\omega$としたとき,フーリエ変換と同等になることが分かりました。

まとめ

$s=j\omega$とすると,フーリエ変換と同等になると言いましたが,先程説明した通り$f(t)$に$t\lt 0$のとき$f(t)=0$になるという条件があることに注意してください。
また,$f(t)$がそもそもフーリエ変換可能な関数ではない場合も$s=j\omega$としてはいけません。 例えば,$f(t)=\sin(\omega t)$の場合,ラプラス変換すると$F(s)=\frac{\omega^2}{s^2+\omega^2}$になります。ここに,$s=j\omega$とすると分母が発散してトンチンカンなことになります。
そもそもラプラス変換は,このようなフーリエ変換できない関数をフーリエ変換するために,収束因子$e^{-\sigma t}$をかけたという経緯があります。ですので,フーリエ変換できない関数をラプラス変換したものに,$s=j\omega$(つまり,$\sigma=0$)としてフーリエ変換にするという行為は極めてナンセンスです。

※訂正:
$f(t)=\sin(\omega_0 t)$のフーリエ変換は存在しました。

F(\omega)=\mathcal{F}[f(t)]=\dfrac{\pi}{j}\{\delta(\omega-\omega_0)-\delta(\omega+\omega_0)\}
2
1
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
2
1

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?