この記事では、Red Hatが2025年4月に発表した新しい認定資格についてご紹介します。
Red Hat AI Foundationsとは
Red HatはAIのためのインフラストラクチャ製品を提供していますが、
「そもそもAIってなんだろう」という方に向けた初学者向けのRed Hat認定資格です。
なんと、Red Hatが無償で取得可能なAIに関する基礎資格を出したそうです!
— Yamato@Red Hat, Senior Instructor (@lab8010) April 16, 2025
Red Hatアカウントの作成は必要となりますがもし良ければ皆様もいかがですか?
※リンクは引用元からご確認ください https://t.co/Xodle3tJIb pic.twitter.com/xh99AwCEi4
Red Hatは、上記以外にも多くの認定資格を提供していますが、このRed Hat AI Foundationsには次のような特徴があります。
- 技術レベルは初級者レベルである
- 試験はなく、指定されたトレーニングを受講すれば認定される
- デジタルバッジが発行される
- 無償で受講が可能である
Red Hatが提供する認定資格は、通常は実操作を持って回答していくいわゆるパフォーマンスベース形式試験ですが、この認定資格はそれとは異なるためRed Hatとしては非常に珍しく、思い切ったプログラムだと言えます。
このプログラムでは、AIに関わる2つの属性の人材に対して適したAI認定資格が提供されています。
Red Hat アカウントについて
本記事で取り上げている認定資格にご興味がある方は、Red Hatアカウントの作成が必須となります。Red Hatアカウントに関する一連の情報は以下のリンクからアクセスができます。
アカウント管理に関するよくある質問
Red Hat AI Foundations - Executive certificate
約7時間相当のオンデマンドラーニングを通じて、AIの基本とRed HatがどのようにAIに貢献しているかを学ぶことが出来ます。
Red Hat AI Foundations Executive Certificate
Red Hat AI Foundations - Technologist certificate
約13時間相当のオンデマンドラーニングを通じて、AIの基本とあなたがどのようにしてRed Hatの製品をAI環境向けに使えるかをを学ぶことが出来ます。
Red Hat AI Foundations Technologist Certificate
🏅 Red Hat AI Skills Certificate 取得要件一覧
学習項目 | Executive Certificate | Technologist Certificate |
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AI Fundamentals コースを修了する | ✅ | ✅ |
Introduction to Artificial Intelligence コースを修了する | ✅ | ✅ |
AI Ethics コースを修了する | ✅ | ✅ |
The Value of Open Source and AI コースを修了する | ✅ | ✅ |
Introduction to Large Language Models コースを修了する | ✅ | ✅ |
Introduction to Generative AI コースを修了する | ✅ | ✅ |
Red Hat Solutions for Generative AI コースを修了する | ✅ | ✅ |
Natural Language Processing and Computer Vision コースを修了する | ― | ✅ |
Machine Learning and Deep Learning コースを修了する | ― | ✅ |
Red Hat OpenShift AI (RHOAI) Technical Overview コースを修了する | ― | ✅ |
Red Hat Enterprise Linux AI (RHEL AI) Technical Overview コースを修了する | ― | ✅ |
Practical Approach to RHEL AI シリーズを修了する | ― | ✅ |
Practical Approach to RHOAI シリーズを修了する(※5月1日より利用可能) | ― | ✅ |
実際に受講をしている際の画面がこちらです。(AI Fundamentalsという学習コース)
2025年4月の時点では英語のみでの提供です。
なお、以下のようにブラウザが持つ翻訳機能を使用していただき日本語として受講することが可能です。
ブラウザ翻訳機能を使用する場合、ページの移動毎に英語表記に戻るため、”一度言語表記を原文に戻してから再度日本語に戻す”工程が必要な場合があります。
AI Fundamentalsコースの紹介
せっかくなので、この記事では両認定資格の前提となるコースの1つであるAI Fundamentalsについてどのようなコースであるかを紹介します。
- AIと深く関係のあるムーアの法則についての紹介
- 身近にあるAIを取り上げつつ、AIとは何かを定義する
- AIが具体的にどのような業界や業務で役に立つかの事例紹介
- AIを支える要素として、ML(機械学習)の概説とその種類の紹介
- 予測AIの概説と採用事例の紹介(文字入力の予測変換やEコマースにおけるユーザーに向けた商品の推奨など)
- 生成AIの概説と採用事例の紹介(ユーザーによる商品レビューからまとめを作るなど)
- データサイエンスとデータサイエンティストの紹介
- データサイエンティストが使用する主なツールの紹介
(Jupyter Notebook PyTorch, TensorFlow) - 大規模言語モデル(LLM), モデル, ファインチューニング, RAG, モデル推論など、AIを取り巻く用語の解説
受講してみた感想
業務の性質上、既にある程度AIの基本については知っているつもりだったが、非常に楽しめたオンデマンドコースでした。
Google翻訳を駆使して日本語で受講をしましたが、おかしな翻訳はほとんどなく、そのまま読むことができました。
これまで受講してきたAIに関する基礎トレーニングと異なり、次のような具体的な事例が多く登場していたので、よりAIが身近な存在であるということが伝わりやすいと思いました。
-
予測AIの例
- Googleでキーワード検索をする際の検索候補表示
- Amazonなどで買い物をする際に、おすすめの商品が自動で表示される
- Netflixにておすすめのビデオが表示される際には視聴時間、評価、好みのジャンル、視聴時間帯、視聴デバイスなどの情報をもとにAIが提案を行なっているという例
Foundation Model for Personalized Recommendation - Netflix TechBlogより - 上記以外にも物流や音楽配信でも顧客体験の向上のために幅広い分野でのAIの活用とそれによる効果が紹介されている
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生成AIの例
- Amazonでユーザーのレビューの要約をAIが行なっている例
- チャットボットにおける生成AIを活用したフレキシブルな応答
- ウィンブルドンテニス大会に関する選手や試合情報について生成AIを通じた情報配信
IBM、生成AIを活用してウィンブルドンのパーソナライズされたファンエンゲージメントを促進
どんな人に向けたトレーニングか?
このトレーニングは、次のような方にお勧めです。
- これからIT業界に入って活躍したい方
- AIに関連する基本を体系的に身につけたい方
- AIが活用されている具体的な事例を知りたい方
- これまでAIについて自己流で勉強してきた方
- AIを業務で活用する予定がある、または活用しているが取り扱い方について学んだことがない方
このトレーニングは、Red Hatが提供するものではありますが、本コースに関して言えば全くRed Hatのプロダクトが登場しないため、ベンダーに依存しない汎用的な知識が得られるという特徴があります。
(本コース以外には、Red Hatの特定プロダクトがどのようにAIに関わっているかを紹介するものも登場します)
もちろん、当社ではRed Hat AIというキーワードを掲げ、当社の製品上でAIインフラストラクチャを構築していただくための製品やそれらを活用するための様々なサービスも展開していますので、それらを活用いただく方にもお勧めをしたいです。
最後に
AIの活用がIT業界に限らず一般社会において常識となってきている現在では、その基礎力を身につけることでより一層AIを適切な形で活用し、価値を最大限に発揮することに繋がると言えます。
逆の見方で言えば、断片的な知識だけでのAIの活用はリスクを伴う可能性もあるという見方もできます。
どちらにせよ、基本を身につけることは自身や組織にとって良い効果をもたらすと言えます。
その上で、AIを学ぶ教材が世の中に溢れている現代では、適切で分かりやすい学習リソースに出会えるかどうかというのも重要なポイントです。
Red Hatは、多くの商用環境でのお客様のIT課題を解決するために動いており、今回の取り組みもその一環と考えていただけると幸いです。これまでRed Hatのプロダクトに関わってきた方も、そうでない方にとっても、この教材と学習カリキュラムが皆様のお役に立てば幸いです。