はじめに
自己紹介
Qittaでは初めての投稿になります、ひさふると申します。
今年の4月に、KDDIアジャイル開発センターに入社してから、現在まで様々な研修を受けている身です。今回は、研修を一緒に受けている新入社員メンバー内で勉強会を開いてみたので、同じように新卒で入社して勉強会を開いてみたいと思っている方が、同じように勉強会を開けるよう、ここでノウハウを共有しようと思い記事にしました!この記事が少しでも皆さんのお役に立てると幸いです!
概要
- この記事の対象者:勉強会を開きたいと思っている新入社員
- 説明すること:新入社員の勉強会の開き方、勉強会を開くためのマインド、開くときに役立つTips
- 説明しないこと:勉強会で扱った技術の詳しい話、社外も含めた大規模な勉強会の実施方法
勉強会を開くためのマインドセット
勉強会を開く上で最初の障壁になるのが、恐らく勉強会に対する不安感かと思います。例えば、
- 勉強会を開いても皆が来てくれるかわからない
- 上手く発表出来るかわからない
- 上司からどう思われるかわからない (考えすぎ...?)
なんて考えを持っている方、いらっしゃるんじゃないでしょうか...?
実際に開いてみればどうってことないんですが、最初の一歩を踏み出すのは勇気が要りますよね。ここでは、私がこの不安を払拭し、勉強会を開くに至ったマインドの持ち方をご紹介します。
必要なのは"最初の1人のバカ"
まずはこちらをご覧ください。(内容は研修で学んだことの受け売りですが...)
これは有名なTEDプレゼンで、社会運動はどうやって起こすか
というコミュニティ形成について語った動画です。この動画では、コミュニティ形成における登場人物を、主に次の3種類に分類しています。
- リーダー
- 1人目のフォロワー
- その他のフォロワー
リーダーは最初に先陣を切る役割です。TEDでは、このリーダーに続く1人目のフォロワーが重要であると言っています。このフォロワーが1人続くだけで、最初の1人のバカはコミュニティのリーダーとなり、ムーブメントの中心となります。その後は簡単で、2人、3人とフォロワーは増え、もはや参加していないほうが少数派になります。
ここから得られる教訓は2つあります。1つは先陣を切るのはバカでよいということです。少し言葉が乱暴なので言い換えると、最初はクオリティは求められておらず、先導する行動力が重要であるということです。上手く発表出来るかなんてことを過度に考える必要はありません(もちろん、最低限の準備は必要ですが)。誰もやっていないことをやり、前例を作るという事自体に価値があると考えましょう。
2つ目は、特にこれが重要なのですが、1人目のフォロワーになってくれそうな人を事前に見つけておくのが大切ということです。幸いにも、私の同期の中には何人も勉強会をやってみたいという人がいたので、きっと誰かは参加してくれると信じ安心して勉強会を開くことが出来ました。
社内で参加を募集しても、参加者目線では誰が参加するかわからない勉強会に行くのは正直ハードルが高いです。最初に参加してくれる人員を確保しておくことが、勉強会を開く側にとっても、勉強会に参加する側にとっても、劇的に実施ハードルを下げる要因になります。
私の場合は、同期メンバー全員とても向上心の高い方たちだったので、多数の参加やリアクションをいただくことが出来ました。このような環境に入れたことは非常に恵まれたことだと思いますし、私も最初の1人のバカになった甲斐があったなと感じています。
最初のフォロワーを見つけておくことがマインドセットに繋がる
勉強会実施の手順
では、次に実際に勉強会を実施したときの手順と、それぞれのステップにおける注意点について説明したいと思います。実施までの手順は以下の6ステップです。
1. 上司に相談
まずは勉強会を実施しても良いか、上司に相談しましょう。私の私の場合は研修期間中ということもあり、研修中の自主学習時間を利用しての実施となりました。
会社によって、勉強会が業務時間として扱われるか否かは異なるかと思います。(特に私のような新入社員の場合は)事前に実施の可否や業務扱いかどうかを確認しておきましょう。
また、私の場合は勉強会で使うミーティングURLの発行などを上司に手伝っていただきました。勉強会の実施を把握してもらっているだけでも今後の準備がスムーズに進む可能性があるので、実施の旨を一言伝えて置くことは重要です。
実施の可否と、業務扱いかどうかを上司に確認
2. 実施内容の選定
次に実施内容の選定です。勉強会を開くにあたって決めるべき事柄としては、以下のようなものがあるでしょう。
- 勉強テーマ
- ターゲット(どのような人を対象とするか)
- 勉強会の目的
- 実施場所(対面orオンライン)
- 勉強形式(講義、ライトニングトーク、ハンズオン、もくもく勉強会など)
まず、勉強テーマとターゲット、勉強会の目的は最も重要であり、それぞれが密接に関係しています。
例えば、私の場合、ターゲットは自ずと他の新入社員メンバー全員となりました。これは、勉強会で何かを身に付けたいという目的の他に、自主的に勉強会を開きやすい雰囲気を作るという目標が私の中であったため、全員が参加出来る勉強会を開くことが前提条件となりました。
そのため、必然的に勉強会のテーマはメンバー全員が今身に付けたい技術である必要が生じます。更に、今回は業務時間中に実施することが許されているため、あくまでも業務や研修中に使用する可能性がある技術をテーマとする必要もありました。
最終的に、私はこれらの条件に合致するテーマとして、Reactを選択しました。このように、勉強テーマを先に決めるよりも、ターゲットと目的を先に決めたほうが、テーマが選びやすくなるかもしれません。
他にも、実施場所や勉強形式も決める必要があります。私の会社はリモート勤務が可能なため、参加のしやすさを考えオンラインでの実施としましたが、オンラインは通信環境のトラブルも多いことを考えると、最初は会議室等で対面で実施した方が無難です。
また、勉強形式も様々なものがあります。私は講義+ハンズオンを選択しましたが、複数人が話せるときはライトニングトークを選択するのも良いでしょう。
勉強テーマがターゲットと実施目的に合うものか確認
3. テーマの勉強
選んだ勉強テーマを人前で説明出来るよう、理解が十分でない場合は先に勉強する必要があります。
もちろん他人に説明するわけですから、どのような質問が来ても答えられるくらい完璧に勉強する必要がある...というわけではなく、実はそこそこの理解のまま、勉強会を実施する裏技があります。
その技とは、既にその技術に詳しい人を呼んで補足してもらうというものです。
幸いにも、同期メンバーの中には既にReactの使用経験がある方が何人かいました。私の場合は、本番で難しい質問が来た場合、それらの詳しい人に質問を丸投げすることで、自分がわからない部分を補ってもらっていました笑(もちろん、最低限は勉強してから臨みましたが...)
これは、そのような詳しい人達に負担を強いてしまう一方で、既にその技術を知っている人が勉強会に参加する意義を作るというメリットもあります。自分の知っていることだけ聞いているのは正直ヒマですが、質疑に参加してもらうことで詳しい人達にとっても勉強になるため、人が集まって勉強するというメリットを最大限に活かすことができます。
人に教えられる理解度を目指して!でも詳しい人に頼るのもアリ
4. 教材の準備
勉強が終わったら、教材の選定と準備です。
時間がある場合は、自分でスライドを作って発表するのが一番良いと思います。私は今回スライドを準備する時間が無かったので、Reactのチュートリアルサイトを教材の代わりとしました。このようなサイトは共有もしやすく、わかりやすくまとまっていることも多いので、初回開催時の教材としてオススメです。
また、IT・プログラミング関連の勉強をする場合は実際に手を動かしてみるハンズオン形式が効果的です。しかし、ハンズオンで実施する場合は環境設定とハンズオン用のソースコードの準備が必要となります。
特に、環境設定は人によってはとても時間のかかる処理のため、
- Docker等の仮想環境で共通の環境をすぐに使えるようにしておく
- CodePen等、ブラウザ上で使える環境を用意しておく
- 環境設定が出来ない場合に備えて、自分が画面共有で見本を見せられるようにしておく
などの準備はしておいた方が良いでしょう。
教材は既存のものを活用しても良い!ハンズオン実施の場合は環境の用意を忘れずに
4. 日程の決定
さて、実施の目処が立ったら日程を決めましょう。
今回、私の場合は決め打ちで実施日時を指定してしまいましたが、研修チームによっては他の予定と被ってしまい参加出来ないということがありました。
全員に参加してもらい、勉強会実施のハードルを下げることを目標としていた私としてはこれは大変な失敗であり、今後に活かしたい反省点でもあります。
日程の決定は慎重に!
5. 実施当日
実施当日は、直前にリマインドを行うこともオススメです。
参加者の立場からすると勉強会は通常の業務中に差し込まれる、必須ではないタスクなので忘れている人も少なくありません。
また、オンラインで実施する場合は直前に通信環境や画面共有の確認を行っておきましょう。貸与されたばかりのPCだと、アプリケーションに対して画面共有の権限付与をしていないことも多いです。内容が良かったとしても、司会進行がグダると一気に印象が悪くなるので、事前に確認を怠らないことが大切です。
リマインドで参加を促そう
実際にやってみた
最後に、実際に私がやってみた勉強会の内容と結果についてご紹介します。まずは簡単な概要から。
- 勉強テーマ:Reactチュートリアル
- ターゲット:新入社員メンバー(同期)
- 勉強会の目的:今後の研修で使用する可能性が高いReactの基礎を学ぶ、勉強会のハードルを下げる
- 実施場所:オンライン(Slackハドルミーティング)
- 勉強形式:講義+ハンズオン
良かったこと
良かったことは本当にたくさんあります。Slack上でリアルタイムでコメントが出来るスレッドを立てたのですが、多くの人が質問や感想を投稿してくれました。
また、私がわからなかった質問を詳しい人が補足してくれましたし、次回以降勉強会を開いてみたいという意見も挙がりました。心の底からやって良かったと思いました。
反省点
一方で、反省点もたくさんあります。やってみないと気が付けないことも多いので、このあたりは次回以降の運営に活かしたいです。
ハドルミーティングだと録画が出来ない
今回は参加のしやすさを考慮しSlackのハドルミーティングで勉強会を実施しましたが、ハドルミーティングでは直接録画をする機能がありません。
参加出来なかった場合に後から見直せるよう録画をして欲しいという意見もあったため、2回目以降はGoogle Meetに切り替え録画を残すようにしました。
進捗の管理が難しい
事前にDocker等のファイルを準備してスムーズに環境準備が出来るようしたつもりですが、どうしてもハンズオンの進捗には人それぞれ差が生じてしまいます。そのような場合、どうケアするのかを考えておくのも、勉強会の難しいところかな、と思っています。一応、思いつく対応策としては以下のようなものがあるでしょうか。
- 他の詳しい人についてサポートしてもらう
- 後で勉強できるようソースコードを共有し、ハンズオンの解答を用意しておく
- 自分の画面を共有し、見ているだけでも勉強になるようにする
勉強会準備の負担が大きい
これは勉強会を開く以上仕方がない部分ではあるのですが、一方できちんと直視しなければいけない問題だと思っています。
テーマを勉強し、発表資料を作成し、発表練習をするのは莫大な時間がかかるので、正直かなり負担になります。自主的な勉強会において、準備はほとんどの場合業務外としての扱いになると思いますので、自分で準備時間を見つける必要があります。
定期的に勉強会を行いたい場合には、交代で発表してくれる登壇者を見つけたり、ライトニングトーク形式にして発表時間自体を短くするなどの工夫が必要です。
おわりに
色々とトラブルもあり、準備も大変で緊張しながら臨んだ初勉強会でしたが、たくさんの方にご参加いただき、大変有意義な会となりました。
この会がどれだけ影響したかはわかりませんが、この勉強会の後も自主的に勉強会を開く流れが出来たので、結果としては大成功だと思っています。
ただし、今回は新卒が最初に勉強会を開くノウハウに絞ってご紹介しましたが、2回目以降の実施や、社外での登壇の場合には更に入念に準備をする必要があります(詳しい人に頼ったり、多少の欠点に目をつぶってもらえるのも初回だけです。今回ご紹介した一部のノウハウが活かせるのも初回だけ...)。
今後もどこかで勉強会を開けるよう、今回の経験を活かしていきたいと思います。