大仰なタイトルをつけてしまいました。
Startup Weekend Advent Calendar 2017 の2日目の記事となります。
ブロックチェーンという技術で日本に革新が起こるかもしれない
プロックチェーンと聞いて、よく分からないという感想を持たれる方は多いのではないのでしょうか。
あるいは、投資やICO、違法取引に使われる技術で、自分には関係がないと思われているかもしれません。
私は、ブロックチェーンが日本の社会構造を変える力を持っているんじゃないかと最近思い始めました。
本やネット記事からの知識を、自分なりの気付きも含めてまとめたいと思います。
NOTE: ここでのブロックチェーンは、Bitcoin のような価値移転としてのブロックチェーンだけでなく、Ethereum のような「分散アプリケーション基盤としてのブロックチェーン」の意味合いを強く含んでいます。というか、かなりそちら寄りなので注意してください。
ブロックチェーンは中間者をなくす
ブロックチェーンは、取引における中間者業務を取り払います。
ブロックチェーンは自律化組織として側面を持ちます。
対象的なものが、ロボットによる自動化です。Ethereum 創設者のヴィタリックによると、ロボットは労働の代替となり、管理は人間が行います。ブロックチェーンは管理の代替であり、労働は人間が行います。
日本は、このままでは超高齢社会が確実に来ます。
ブロックチェーンや AI といった技術が革新的な変化をもたらすとき、よく「人間の仕事が奪われる」と言われます。
しかし日本では、人間の仕事が技術に奪われることを心配するよりも、仕事ができる人間が少なくなることを心配すべきと思います。
現在ですら、日本国民の3人に1人は60歳以上です。今後はさらに働ける人は減っていき、働けない人が増えていくはずです。だから今ある仕事を減らさなければならないのです。
ブロックチェーンによって契約の自動化が一般的になれば、複雑な契約の手順を人間が行う必要はなくなります。
フリマアプリでの取引を例として挙げてみます。
- Aさんが商品を送れば、Bさんはお金を払います
- ただし、発送の証明として送り状の控えを写真で送るまでは送金されません
- もし1週間以内に送り状の控えが送られなければ、取引がキャンセルされます
- もし送り状の控えに不備があることをBさんが申告すれば、取引がキャンセルされます
- もし送金後に商品の到着で不備があることをBさんが申告すれば、返金処理を行います
これらは例ですが、恐らく取引の中でこのような手順を踏んでいるはずです。複雑な手順を管理することは、人間よりもコンピュータが向いています。
ブロックチェーンでは、こういった手順を自動化できます。これにより、取引を仲介する人がいなくなる日がくるかもしれません。
取引の仲介者としての仕事がなくなったとき、人間はもっと本質的な仕事に取り組めるようになるはずです。
人間にしかできない、もっと知的な作業、創造的な作業です。
こうした知的作業、創造的作業こそ、高齢者に向いている仕事ではないかと私は思います。
ものを売ったり買ったり作ったりする仕事です。60歳、70歳を超えた人が体力や場所に関わらず続けられ、認知症予防になり、いつまでも社会との接点を持ちながら、若々しくいられる仕事です。
ブロックチェーンはフラットな社会を作る
日本人には自信を持って働いている人が少ないと、私は思います。
なぜ自信を持って働けていないのかというと、恐らく日本社会の階層構造です。
日本では経験を積んだ人や上に立つ人、有名な人が偉い。だからそういった立場になれないとダメだと思い込んでしまいやすいのです。誰もが初めは何もないところからスタートするにもかかわらず。
そして下の人は、創造的な仕事をさせてもらえない。正しくは、理由を持たない仕事が多いと思います。上からの命令だから、が理由として通じてしまうのが問題だと思います。
それでもイノベーションは海外からどんどん入ってくるし、その潮流に敏感な人はすぐ日本の階層構造から抜け出していくし、日本では大きな組織にいることが安定とも言われなくなるし、日本の多くの人はそういった悩みに晒されています。
組織の中では上からの命令を聞けることが良しとされ、社会の中では組織を抜け出すことが良しとされる。この矛盾を抱えながら、組織の中で苦しんでいる人は多いのではと考えています。
だから個人でも仕事ができる、働ける世の中にしていくべきだと思います。
一人一人が、自分でお金を稼ぐ力を身に付けられれば、自信を持っていきいきと働けるはずです。
インターネットは個人が強い社会を生み出してくれると思われましたが、実際は違いました。
インターネットが生まれたことで、誰にでも世界への情報流通が可能になり、ものを売り出せるようになりました。しかし、インターネットには信頼の概念がありません。今のインターネットでは、皆が Google の検索結果しか信用せず、Amazon か楽天でしかものを買いません。
Amazon や楽天はユーザにとっては便利ですが、ものを売る人にとっては、Amazon や楽天に店舗として登録しないとものが売れないことになります。Amazon や楽天に利益は集まりますが、個人での商売は成り立たなくなってしまいます。しかし Amazon や楽天に頼らなければ、決済や在庫管理、発送通知などを個人で行わなければならないかもしれません。そもそもユーザからすると、誰かも分からない個人にクレジットカードの情報を渡すのは抵抗があるでしょう。
ブロックチェーンは、相手を信頼しなくても安心に取引ができる技術です。
取引に信頼できる仲介者は必要ありません。取引における手順はすべて公開され、自動化されます。例え決済の専門家でなくとも、決められた手順を実行するだけで良くなります。
個人が階層社会に頼らずにお金を得られるようになる。
ブロックチェーンはその基盤になってくれるかもしれないと、私は期待しています。
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来年3月、ブロックチェーンをテーマにした Startup Weekend を初開催します。
日本の社会構造を変えるインパクトをもたらせるのは、やはりスタートアップだと私は信じています。
スタートアップの登竜門と言われる Startup Weekend で、日本のブロックチェーンスタートアップを増やしたいと考えています。
この記事を見て、少しでもブロックチェーンに興味を持っていただけたら幸いです。