AIの進化の発想はどこから生まれる?
AIがどのように進化するのか、その発想はどこから出てくるのかを想像した時、複雑な数式や深層学習の理論を研究するハイスペックなエンジニアたちを思い浮かべる人も少なくないと思います。しかし、もしかしたらAIの未来を描く最大のインスピレーションはデスクから離れたところ、アニメや漫画の中にあるかも知れません。
アニメ・漫画でのAIの存在と現実のAIの進化
「えっ、それってどういうこと?」って思う方も多いと思います。少しアニメ界の昔話に話を戻してみましょう。
振り返ってみると、AIは実現される遥か昔から様々なアニメや漫画などの世界で登場してきました。「鉄腕アトム」や「ドラえもん」が代表として挙げられるでしょう。その当時、AIはまだ現実として存在していませんでしたが、これらのキャラクターはロボットとして寄り添い教えてくれる友達みたいな存在として登場しました。
それから時間が流れ、少しずつ技術が進むにあたり、このアニメや漫画でのAIもより現実味を帯び、かつ詳細な設定や役割まで持つようになってきます。例を挙げると、「ロックマンEXE」というコンテンツが2000年代に登場しました。ロックマンEXEでは、AIは単純な命令を実行するロボットから一歩進化し、人間と共感し合い、独自の情報を処理するWEB上のエージェントとして描かれています。面白いことに、このエージェントは現在のOpenAIのチャットボット、ChatGPTの機能によく似ているものとなっており、AIユーザーインターフェースの先駆けでもあると言えます。
(十数年も前からAIエージェントと人間の共存を描いていたクリエイターがすごいですね)
このように、AIの進化はアニメや漫画に登場するキャラクターやその役割を再現する形で進化してきた部分もあるのではないかと考えています。
ではアニメや漫画から今後のAIの進化を予測してみましょう。
私が特に気になってるのが、「ソードアートオンライン」で描かれた「プロジェクト・アリシゼーション」です。これは「ボトムアップ型AI」という新しいAIを開発するプロジェクトであり、現在の「トップダウン型AI」の様に人が指示した内容を学習するわけではなく、指示をすることなく、人と同じように体験や経験を通じて自ら学習していくタイプのAIを仮想世界(文明シミュレータ)上で自然学習させて成長させようというプロジェクトになります。
個人的には、この「ボトムアップ」AIという体験や経験から学ぶというコンセプトは、自己学習、自律性という新たなAIの誕生のヒントになるのではと考えています。
▼プロジェクト・アリシゼーション上で登場する仮想世界(文明シミュレータ)
まとめ
上記の様に、アニメや漫画はただのエンターテインメントではなく、AIの進化の道筋を示す道しるべであり、私たちが未来にどんなAIを想像するかのヒントを与えてくれる存在かもしれません。たまにはデスク上での議論を一休みして、最新のアニメや漫画を楽しむのも良いかも知れませんね。それが次のAI革新を生むきっかけになってくれるかもしれません。