Scratch Advent Calendar の 1日目 の 記事です。
何回かに分けて、 「Mindstorms: Children, Computers, And Powerful Ideas by Seymour A. Papert」、という、シーモア パパート によって書かれた本について紹介していきます。
Mindstoms と言えば、LEGO の Mindstroms が有名です。 なので、 プログラミング言語Scratch の Advent Calendar の 記事としてはふさわしくない気がするかもしれません。
今回、取り上げるMindstorms は、 "シーモア パパート" の 本の方の MindStorms です。おもちゃの話ではないです。ただ、"シーモア パパート" は LOGOプログラミングで動くロボットおもちゃマインドストームを開発したものなので、まったく関係のない話でもありません。from:wikipedia, about:シーモアパパート
それでも、なお、Mindstorms について、Scratch言語の Advent Calendar の中で取り上げるのは、この本には、Scratchの元になった、考え方や発想が書かれているからです。
- Creativity とは 何なのでしょうか?
- 偏差値の高くすることによって、Creativity は 育つのでしょうか?
- 教室で講義を受ける方法で知識を得る事に疑問を感じた事はありませんか?
そんな方は、 「Mindstorms」 は オススメです。
はじめに
Mindstormsの紹介をすると決めた時に、この本の紹介ということで、本の要約をしていました。 しかし、それは、やめて、破棄しました。
なぜなら、短い本なので、ここで、要約する必要もなく、本を読んでもらえれば、良いと考えました。 Advent Calender では、 「本筋と関係ないので、深掘りされないだろうなぁー」と、思われるところを、解説してみます。
歯車と差動装置と九九と同化
私が数学に啓発されたのは,小学校で教わったことの何よりも差勁装皿を
学んだ経験に負うところが大きかったと思う。歯車がモデルになって多くの
抽象概念を私の頭に持ち込んだのである。学校で教わった数学のうちで二つ
の例をはっきり覚えている。掛け算の九九表を歯車として考えたこと,
数方程式(例, 3x+4y=10) に初めて出合った時,即座に差動装置を連
想したことなどである。xとyの関係をあらわした歯車を頭に描き,歯車の
歯がそれぞれ幾つあったらよいかなどと考えているうちに,その方程式にす
っかり親しんでいたのである。
Mindstorms より
※ "gears.ja 歯車 子供" とかで Googleすると、今回、取り上げている章が引っかかるので..興味のある方は、検索してみてください。
シーモア パパート の 経験を元に、ピアジェの同化について、書かれたものです。
※ 同化とは
* 「すでに身につけている概念(シェマ)」を利用して、「認識した概念を理解する」ことを同化と言います。*
「歯車の概念(シェマ)」を利用して、九九を把握しようとした(同化)わけです。
歯車
今回は、同化の例でし紹介されている、歯車について、解説してみます。
- 掛け算の九九が、歯車と同化したこと
- ax+by=c が、差動装置と同化したこと
『「車と歯車に詳しい子」が、数学を考える時に、歯車をイメージしたんだなぁー 』といったイメージで終わってしまうところです。
しかし、正直なところ、私には、「歯車と九九」、「歯車と方程式」を同化できません。
探ってみました。
歯車の回転数と九九
シーモア パパート が、どのように、歯車と九九を同化したかは、私には解りません。
九九表を歯車として関係付ける方法を思いつかなかったので、想像してみました。
まずは、具体的に2つの歯車について考えてみます。
-
赤色の歯車
-
12個の歯を持つ
-
青色の歯車
-
6個の歯を持つ
回転数で九九を表てみる..
まず、歯車で掛け算と言えば「回転数」です。回転数で九九を表すことができないでしょうか?
具体的に、赤色の歯車が一回転する間に、青色の歯車は、何回転するのかを考えてみましょう。
赤色の歯車の回転数 * (12/6) = 青色の歯車の回転数
という関係が成り立ちます。
赤色の歯車が一回転する間に、青色の歯車は2回転するわけです。
一般化すると、以下のように書けるでしょう。
赤色の歯車の回転数 * 青色の歯車の歯の数 = 青色の歯車の回転数 * 赤色の歯車の歯の数
もう一つ、歯車の歯の形が同じ場合、歯車の大きさが変わります。
2倍の大きさを持つ歯車は、2倍の歯をもつます。
赤色の歯車の数 * 青色の歯車の直径 = 青色の歯車の数 * 赤色の歯車の直径
これを、合わせると、
3倍大きな赤色の歯車を繋げて、赤色の歯車を3回転させる、 = 青色の歯車は、9回転 する
4倍大きな赤色の歯車を繋げて、赤色の歯車を3回転させる、 = 青色の歯車は、12回転 する
5倍大きな赤色の歯車を繋げて、赤色の歯車を3回転させる、 = 青色の歯車は、5回転 する
...
..
.
と、九九っぽい!!
うーむ、でも、微妙かも。
差動装置と方程式
時間内に、書ききれなかったので、
次回、3x+4y=10 を 歯車で表現する方法にフォーカスします。
PS
一応、年内-来年始までには、以下を取り上げる予定です
- プログラム言語LOGO を作ってみよう
- Creativity と 学校教育 : プログラミング言語 LOGO について、当時の学校教育でも利用された時の結末とか
- 子供の2/3が、現在生まれていない職業に就く Now You See It
- 教育とゲームとテクノロジーの融合をどう見るか? ソーンダイク vs ダニエルピンク
- Scratch の 中の人の本とか Lifelong Kindergarten: Cultivating Creativity through Projects, Passion, Peer and Play
- ソクラテス式問答法と暗示 vs Creativity
※ Mindstorm とは離れていますが
REF
歯車について、参考にしたもの
小原歯車工業株式会社 歯車技術資料
https://www.khkgears.co.jp/gear_technology/guide_info.html