記事の内容
「論理」
数学やコンピュータサイエンスの基礎に位置付けられるものが論理です。
そこで、この記事では論理学の初歩を確認します。
・論理学とは、いったい何を対象にする学問なのか?
・論理学とは、どのような方法をとる学問なのか?
こちらの本を参考にしています。
野矢茂樹 論理学
序文にて、こんな言葉からスタートします。
「論理的に正しい」とはどういうことなのだろうか。そしてそれは何と対比された概念なのだろうか。
それでは、論理学の入口について整理します。
言葉と論理
論理という言葉、「その言い方は論理的じゃないよね。」など、日常でもよく使います。それなら、論理学であつかう「論理」も同じようなものなのでしょうか。そして、「論理」とは厳密には何なのでしょう。分かっているようで、よく分からない言葉です。
ふつう、論理的であるかどうかは、言葉の意味に依存します。そのため、言語使用一般について、言葉の意味という観点から、正しいか正しくないか、が論理に関わってくることになります。
それでは、「論理」を言葉で説明してみるとどうなるか。
「論理的」ということを「言葉使いの正しさ」だけで説明しようとする。ところが、「言葉遣いの正しさ」は、再び「論理的」といいうことで説明されてしまう。
循環だ。
これは、「論理的」ということと、「言葉使いの正しさ」とが不可分だということを意味する。
うーん、なるほど。言葉と論理には、密接な関係があるということがわかります。
命題論理があつかう対象
では、論理学で扱い、対象とする領域とはなんでしょう。ここでは、論理学の基礎となる命題論理という分野について考えます。
命題論理という分野は、言語使用一般の論理を扱うわけではありません。言語をまるっと全て扱おうとすることは不可能です。あらゆる学問は対象を持ちます。限定が必要です。
命題論理の対象、本質とは形式です。
形式の例
PならばQではない
Q
それゆえ、Pではない
この形式がある限り、この推論は正しい。つまり、推論に関わるのは、**「ならば」「ではない」**という言葉の意味なのです。
命題論理が扱うのは、限られた言葉のみ。
「ではない」「ならば」などの、否定詞と接続詞のみです。
「命題論理」とは、否定詞と接続詞の論理学、と一言でいえるようです。
最も有名な推論こそ、三段論法でしょう。
AならばB
A
よって、B
この三段論法が正しい推論とされるのも、その「形式」が重要だからです。この形式の推論を正しい推論と定義するのです。
納得ですね。命題論理という学問は、言葉という広大な海の中で何を対象とするのか、どう構築しているのか。この基礎部分の考え方はとても大事です。日常言語の実践と、命題論理との間のギャップについて理解が深まりました。
様々な切り出し方がある
命題論理という方法は、あくまでも日常言語の使用から一部を切り出したものに過ぎません。つまり、切り出し方は他にも色々とあるのです。
命題論理が唯一絶対なものではない。
なので、基本的な概念の使い方や、それにともなう論理法則の決め方により、様々な「論理学」が研究されています。
論理と計算の行き着く先には
論理学は、計算論という分野の基礎になります。
論理と計算の行き着く先がどうなるのか?
数学と論理の関係はどうなっているのか?
いくつかのリンクをまとめておきます。どれも、最高に知的にスリリングな話題です。興味がある方はぜひ。
・【コンピュータは数学者になれるのか】 人工知能は数学できるか?数学の本質とは何か?
・証明=プログラム!? 【カリーハワード同型対応】 計算と論理の奥深い関係
・【論理の哲学】 論理と数学の関係、論理と哲学の関係に迫る
・線形代数の「背景と概念」をもっとよく分かりたい【数学弱者・凡人のための線形代数入門】