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基本情報を飛ばして応用情報を受けた話

Last updated at Posted at 2021-04-14

はじめに

令和2年度10月の応用情報技術者試験に合格しました。 サンプル数は多い方がいいと思うので、今更ながら私の合格体験記を記します。

この記事は以下のような方々を想定して書きました。

  • 基本情報を飛ばして、いきなり応用情報から受けたい
  • 応用情報の午前試験の対策を知りたい
  • 応用情報の午後試験対策・大問の選び方を知りたい
  • 実際、応用情報で得た知識を現場で使うのか気になる
  • 就職(転職)で活きるのか気になる

目次

1.ブログ主について
2.使用した教材
3.午前試験
4.午後試験
5.実務に活きるか
6.就活に活きるか
7.まとめ

1. ブログ主について

試験合格時の私のプロフィールです。
(所属)京都大学 工学部 情報学科 4 回
(研究)システム制御理論
(備考)ベンチャー企業でエンジニアをしていました。ITパスポート、基本情報は未所持です。

2. 使用した教材

本試験を受けるに当たって利用した教材を挙げ、コメントします。

キタミ式イラストIT塾 応用情報技術者

(著:きたみりゅうじ)
非常にわかりやすいです。イラストが豊富で、基本情報を飛ばす方、非情報系の方でも十分に理解できると思います。800ページ越えとボリュームはありますが、1ヶ月あれば読了できます。私は試験までに3回ほど通読しました。

これ1冊を完璧に覚えるだけでも合格ラインには達するでしょうが、安定して合格点を狙うためには少し情報不足かもしれません。ただ、後述の『徹底攻略 応用情報技術者教科書』は内容も多く、字面での説明が主になるので、初見で読みこなすのは厳しいと思います。

したがって、まずこの参考書を読み、その後別の教材に進むのが良いかと思われます。

徹底攻略 応用情報技術者教科書

(著:株式会社わくわくスタディワールド 瀬戸美月)
上の『キタミ式イラストIT塾 応用情報技術者』を読んだ後、午後試験を解いてみたところ、初見の用語がぽろぽろ登場しました。要領の良い方なら、それを過去問で補いつつ合格できるでしょうが、私はもう少し知識を盤石にしたかったので使用しました。

午後で選択予定のテーマの章のみ熟読しました。そして、過去問演習をしながら辞書的に参照しました。結果として、午後試験でもわからない用語はかなり減りました。(時間に余裕があれば、通読したかったです。)

スッキリわかるSQL入門

(著:中山清喬,飯田理恵子 監修: 株式会社フレアリンク)
午後試験のデータベース対策で用いました。面倒な環境構築なしに、オンライン上で実際にコードを書きながら SQL を習得できます。しかも、練習問題が豊富なので理解度を都度確認できます。練習問題も含めて2~3週間ほどでこなせました。

3. 午前試験

午前試験は試験時間150分、選択式(四肢択一)の試験です。
出題数は80問で全問必答です。

対策としては、上の『キタミ式イラストIT塾 応用情報技術者』を読了後、応用情報技術者試験ドットコムでひたすら過去問を解きました。正直、午前対策はこれで十分だと思います。午前試験は4割が過去問の流用だと言われているので、過去問で間違えた問題は、解説や参考書をしっかり読んで理解しました。

4. 午後試験

午後試験は試験時間150分、記述式の試験です。
大問11題のうち1題(情報セキュリティ)必答、4題選択の計5題を解答します。
各大問のテーマは以下の通りです。

  • 情報セキュリティ(必答)
  • 経営戦略
  • プログラミング
  • システムアーキテクチャ
  • ネットワーク
  • データベース
  • 組み込みシステム開発
  • 情報システム開発
  • プロジェクトマネジメント
  • サービスマネジメント
  • システム監査

経営戦略、プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント、システム監査がいわゆる「国語系」の問題で、文章を読めば解けると言われています。これら以外はテクノロジ系の問題となります。

選択式であるという特徴から、大問選びによって合否が分かれるのは自明です。
なので、午後対策は選択する問題を決定するところから始めました。
ただし、勉強したテーマの問題が難しかったときの保険として、1つ余分に対策しました。
諸々を考慮して、私が勉強したテーマは次のようになりました。

  • 情報セキュリティ
  • 経営戦略
  • プログラミング
  • データベース
  • 組み込みシステム開発
  • システム監査 (保険)

実際に選択したのは、システム監査以外の5つでした。

午後試験の対策も、基本的に選択予定のテーマの過去問を応用情報技術者試験ドットコムで可能な限り解くだけです。以下、選択した各テーマについて

  • 概要
  • 選んだ理由
  • 対策

などを述べます。

情報セキュリティ

  • 概要

企業や個人のセキュリティインシデント(セキュリティ上の問題)の状況が説明され、関連する知識や脅威に対する対処について問われます。

  • 選んだ理由

必答なのでありません。

  • 対策

まず、参考書の該当箇所を熟読し、用語とその意味をしっかり暗記しました。そのまま得点になる選択問題も頻繁に出題されます。個人であったり、企業であったり、といったバリエーションはありますが、設定としてはパターン化されているので、状況を俯瞰的に整理しながら、過去問をこなし、同様の出題に対応できるようにしました。

経営戦略

  • 概要

レストランやホテルなどの企業の経営状況についての説明がなされ、それに対する改善案や関連する知識について問われます。

  • 選んだ理由

① 覚えていなければいけない内容が比較的少なく、文章を読めばある程度得点できた
② 題材が身近な場合が多く、他の「国語系」の問題に比べて、問題設定を素早く把握しやすい

  • 対策

参考所の該当箇所(経営戦略、ストラテジ)を一読しました。あとはひたすら過去問を解きました。
「国語系」問題の特徴でもあるのですが、難易度の波があり、決まったパターンのようなものがないので、過去問では過学習にならないように、「最低限、内容を組んで答える」という抽象的な力を養成することに努めました。

あと時々「財務諸表」が登場する回があるのですが、この場合、経営戦略は回避すると決めていました。そのときは代わりに、システム監査を解く予定でした。

プログラミング

  • 概要

なんらかのアルゴリズムを題材に、その処理や計算量、疑似コードを用いた実装について問われます。題材となるアルゴリズムを事前に知っておく必要はなく、問題文を読めば理解できる内容となっています。(そのアルゴリズムをたまたま知っていれば、かなり有利ではあります。)

  • 選んだ理由

① 競プロの経験から、プログラミングに耐性があった
② 問題文が比較的短い
③ 答えが一意に決まる問いが多い (重要)

  • 対策

趣味の競技プログラミングのおかげで、特に勉強しなくてもある程度得点できました。
過去問演習を通して、
・問題文と疑似コード内の対応する処理を素早く結び付けること
・ケアレスミスをなくすこと
を練習しました。特に、後者は注意しました。疑似言語なので、穴埋めの形式を周囲のものと合わせないといけません。(ex. 同コード内の他の箇所に「0 より大きい」という条件分岐の記述があれば、不等号を使い「> 0」のように解答しては不正解です。非本質的ですが。)この辺の注意力は、演習後に反省をExcelシートにまとめる等して、十分に鍛えました。

ここで言及しておきたいのは選んだ理由の③です。午後試験で難しいのは、記述式の問題で必要十分な解答をすることだと思います。模範解答と自らの答案のギャップを埋めることが主な勉強になるでしょうが、プログラミングは疑似コードの穴埋めがメインなので、このような勉強があまりいりません。

時間に余裕があれば、AtCoder 等でプログラミングやアルゴリズムの勉強するのはおすすめです。

データベース

  • 概要

旅館の顧客や飛行機の乗客等の情報管理に関する説明がなされ、ER図を用いて各エンティティ同士の関連が示されます。各要素(属性)の対応関係(1対多、1対1など)や主キー・外部キーの関係、各属性の管理方法などが問われます。

  • 選んだ理由

① 答えが一意に決まる問題が多い(プログラミングと同じ)
② SQL を勉強してみたかった

  • 対策

SQLさえ書ければ、プログラミングと同じ感覚で解くことができます。私の場合は試験の2ヶ月ほど前から スッキリわかるSQL入門 に取り組み始めました。基本的なコマンドを覚えられたら過去問に取り組み、とにかくSQLの読解に慣れました。属性間の関係は先入観を捨て、問題のみから読み取って整理する癖をつけました。

組み込みシステム開発

  • 概要

組み込みシステムの仕様について説明がなされた後に、動作のフローチャートが示され、システムの動作やシステムが正しく動作するための処理などが問われます。

  • 選んだ理由

① 事前知識がなくても解ける
② 解き方がワンパターン

  • 対策

題材となっているシステムの動作を素早く理解する練習を、過去問演習を通して行いました。与えられた仕様を手短にまとめ、メモするなどして、細かい仕様もしっかり把握できるようにしました。(不具合の処理の問題が頻繁に出題されますが、大抵の場合、細かい仕様に穴があります。)
余談ですが、この組み込みシステムを解いているときの感覚は、エンジニアとして働いていたときに取引先の企業さんから製品の要件を聞いているときの感覚に近かったです。

システム監査 (保険)

  • 概要

企業の監査(外部、内部双方)に関して、その監査手続、監査結果、改善・指摘事項についての説明がなされ、それらに関する問いが出題されます。

  • 選んだ理由

① 「国語系」の問題だった
② 他の合格体験記で解きやすいとの情報を得た

  • 対策

保険だったこともあり、過去問を数年分解いただけです。ここで、なぜ保険だったのかという点について。それは、内容になじみがなく、とっつきにくい問題が度々出題される印象があったからです。(私の国語力のなさが原因でしょうが。)

5. 実務に活きるか

ベンチャー企業で常勤として勤めていた立場から私見を述べます。

結論、そこまでがっつり活きる訳ではありません。時々、「あ、これ応用情報で勉強したな~。」ってなるくらいです。例えば、システム開発のV字モデルに関して、「今、自分がやってるのは単体テストで、プログラム設計と対応してるんだな~。」みたいなことを考えてました。

「応用情報に合格する⇒実務ができる」は真ではありません。別のスキル(開発技術、コミュ力、論理力等)が必要になると思います。ただし、エンジニアとして働くための下地を身に着けられるという意味で、応用情報技術者試験は非常に有意義だと思います。

6. 就活に活きるか

就職(転職)のために情報処理技術者試験を受けようとしている方は多いと思います。(私もそうでした。)絶賛インターンシップの選考中(2021年7月現在)の私の感じていることを述べたいと思います。

結論は、非情報系の方は活きると思います。私含め情報系の方は、情報系の素養をある程度持っていることが(肩書上)保証されています。なので「応用情報持ってます!」って言ってもインパクトとしては弱いと思います。逆に、非情報系の方がエンジニア系の求人に応募する際に資格取得をアピールすると、情報系の能力が保証されるのでプラスに働くと思います。

私は10社ほどエンジニア系インターンシップに応募しましたが、資格を記入させられたのは1,2社でした。自己PRでも開発経験を押したので、応用情報の話題は出しませんでした。なので、資格を持っていたとしても、推さなければその事実すら知られずに終わります。

以上より、就職のために応用情報の取得を考えている方は、アピールしたいことを明確にした上で受験をするのが良いと思います。情報系の素養がある、継続して勉強できる、etc.なんでもいいですが、応用情報は自らのアピールを裏付けるための資格だと思います。履歴書に書けば受かる紋所ではないのは確かです。

(追記)
昇進の基準として情報処理技術者試験を設けている企業や、合格するとお祝い金がもらえる企業もあるみたいですね。

7. まとめ

午前・午後試験共通で、応用情報合格の鍵は十分すぎるほどの過去問演習だと思います。初めのうちは暗記が追い付かなかったり、制限時間内に解くのが難しかったりすることでしょうが、量をこなすことで段々と適応できます。(私がそうでした。)参考書を一通り読了したら、どんどん過去問を解いてみて、抜けている知識を再度参考書で補う、といったサイクルで勉強を進めましょう。

この記事が読者様の試験合格の一助になれば幸いです。
ご意見・ご質問がございましたら、コメントまでお願いします。

本記事をお読みいただき、ありがとうございました。

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