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ベイカー・ヘーグナー・スタークの定理(ご紹介)

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こんにちは|こんばんは。カエルのアイコンで活動しております @kyamaz :frog: です。

はじめに

Wikipedia に「ほとんど整数」という項が存在しているのをご存知でしょうか。

整数ではないが、整数に非常に近い数のことだそうです。
$22\pi^{4} \approx 2143$や黄金比を $\varphi = 1.618 \dots$ とすると$\varphi^{17} \approx 3571,$ $\varphi^{18} \approx 5778,$ $\varphi^{19} \approx 9349$ が ほとんど整数 になる数だそうです。ほかの例では、$e^{\pi} - \pi \approx 20$ のような数も紹介されています。

ラマヌジャンの定数

さて、ラマヌジャンの定数と呼ばれる数 $e^{\pi\sqrt{163}}$ $(\approx 262,537,412,640,768,744)$ も ほとんど整数 になる数です。 この背景には、虚2次体 $\mathbb{Q}(\sqrt{-163})$ の類数が $1$ であるという事実が関係しているそうです。
ちなみに、この数の名前はあのラマヌジャンの名前を冠していますが、直接に彼が関与していたわけではないようで、ただラマヌジャンなら見つけていそうな事実ということから名づけられているそうです。

ベイカー・ヘーグナー・スタークの定理

虚2次体の類数に関係するという記述がWikipediaにはありますが、この虚2次体の類数に関しては次の『ベイカー・ヘーグナー・スタークの定理』という定理があります。

ベイカー・ヘーグナー・スタークの定理
平方因子を含まない負の整数 $m$ に対して,虚2次体 $\mathbb{Q}(\sqrt{m})$の類数が $1$ であるのは,$m=−1,−2,−3,−7,−11,−19,−43,−67,−163$ の $9$ 個に限る.

:frog: はこの定理の証明や深い意味を理解するための知識を持ち合わせていませんが、負の整数のなかで9個という有限の個数である点だけでも何とも不思議に感じて、この定理をとても気に入っています。このあたりの数学的な知識をより深めたい方には書籍『素数と2次体の整数論』をお薦めします。

ただし、このテキストにも「残念ながら,その証明は本書の範囲を超えている.」と脚注にもあり、なかなか難しい定理のようです。情報が少ないなかで、:frog: が尊敬する @tsujimotter さんのブログに定理の証明の概要が書かれています。書いてある内容は高度ですが丁寧に解説されています。

また、この定理の $\mathbb{Q}(\sqrt{-163})$ の類数が $1$ であることと、$n=0,1,\dots,39$ のとき $f(n) = n^2 + n + 41$ が全て素数を表すというオイラーの多項式との関係が、必要十分条件であることも示されています。このことからも、この定理が魅力的な定理だと感じて頂けると嬉しいです。

おわりに

本稿では、Wikipedia等にもある情報を取り上げたにすぎませんが、魅力的な定理についてご紹介させて頂きました。

ご一読いただきまして有り難うございます。
(●)(●) Happy Hacking!
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