ここでは微分方程式の中でも特に変数分離形について書く。
○変数分離形の形
$\hspace{5mm}$ $y'=f(x)g(x)$
このように右辺を(xの関数)×(yの関数)と表すことのできるもの。
○解法
さっき示した変数分離形の形は次のようにも表せる。
$\hspace{5mm}$$\displaystyle \frac{dy}{dx}=f(x)g(x)$
さらにx関係を右に、y関係を左に整理して、積分してあげた形は
$\hspace{5mm}$$\displaystyle \int\displaystyle \frac{1}{g(y)}dy=\int f(x)dx$
となり、最後はこれを解くだけである。
このように途中、y,xをそれぞれ左辺、右辺へと分離するのが変数分離形の解法の特徴である。
○例1
次の微分方程式を解け。(μ≠0の定数)
$\hspace{5mm}$$y’=-\mu y$
解法:
$\hspace{5mm}$$y’=-\mu y$
$\hspace{5mm}$$\displaystyle\frac{dy}{dx}=-\mu y$
両辺を積分すると
$\hspace{5mm}$$\displaystyle\int\frac{1}{y}dy=\displaystyle\int -\mu dx$
$\hspace{5mm}$$\log{y}=-\mu x+C$
$\hspace{5mm}$$\log{y}=\log{e^{-\mu x+C}}$
$\hspace{5mm}$$y=e^{-\mu x+C}$
$\hspace{5mm}$よって$y=Ce^{-\mu x}$となる。
○例2
質量mの物体が空気中を運動するとき速度vに比例する空気抵抗-kvを受けるものとする。この物体が落下している時の速度vを求めよ。ただし、重力加速度をgとし、t=0ではv=0である。
解法:
運動方程式F=maより
$\hspace{5mm}$$\displaystyle m\frac{d\upsilon}{dt}=mg-k\upsilon $
$\hspace{5mm}$$\displaystyle\frac{d\upsilon}{dt}=g-\frac{k}{m}\upsilon$
$\hspace{5mm}$$\displaystyle\frac{d\upsilon}{dt}=-\frac{k}{m}\left(\upsilon -\frac{mg}{k}\right)$
両辺を積分して
$\hspace{5mm}$$\displaystyle\int\frac{1}{\upsilon-\frac{mg}{k}}d\upsilon=\int-\frac{k}{m}dt$
$\hspace{5mm}$$\displaystyle\log|\upsilon-\frac{mg}{k}|=-\frac{k}{m}t+C$
$\hspace{5mm}$$\displaystyle\upsilon-\frac{mg}{k}=e^{C_{1}}e^{-\frac{k}{m}t}$
よって$\hspace{5mm}$$e^{C_{1}}=C$$\hspace{5mm}$とすると
$\hspace{5mm}$$\displaystyle\upsilon=C e^{-\frac{k}{m}t}+\frac{mg}{k}$
となる。ここで初期条件$t=0$で$\upsilon=0$より答えは、
$\hspace{5mm}$$\displaystyle\upsilon=-\frac{mg}{k}e^{-\frac{k}{m}t}+\frac{mg}{k}$
となる。