この記事はコインチェック株式会社(以下、コインチェック)のアドベントカレンダー11日目(シリーズ1)の記事です。コインチェック Advent Calendar 2024
はじめに
私は文系出身で、
「情報系の学位が欲しい。体系的な知識を学びたい」
と思っていました。
でも、
「仕事も子育てもあるし…無理か…」
と諦めていました。
ところが、現在は情報系の大学院で学んでおり、あと3ヶ月で卒業できるところまで来ました(!)
↑入学式のとき
そんな目標を叶えた私が、
「情報系の大学院に興味があるけど、実際どうなの?」
という人に向けて、以下を紹介します。
- 働きながら通える情報系大学院の選び方
- 受験の準備
- 在学中のスケジュール
- 授業
- 働きながら、子育てしながら、大学院に通うこと
- 学費や休暇
働きながら通える情報系大学院の選び方
平日の昼間に働いている場合、授業が平日夜や土日に開講されている大学院を選ぶ必要があります。
多くの場合、以下の2校に絞られると思います。
ただし、修士ではなく学士であれば、UoPeopleなど選択肢が広がります。東京近郊でフルタイム勤務しつつ情報系の修士号が取れる大学院を調べてみたには、各大学院の特徴が非常によくまとめられているので、一読をおすすめします。
→ 私も例にもれず、JAISTとAIITに受験校を絞ることにしました。
受験の準備
1. 大学院の説明会に参加した
大学院がどういうものかすらわかっていなかったので、説明会に参加しました。AIITでは、定期的にオンラインの説明会が開催されています。
※なにを血迷ったのか、私は説明会に2回参加しました。普通に同じ内容だったので1回で大丈夫です。
2. 教授や卒業生に連絡を取った
教授に連絡を取ったり、卒業生のつながりを探し、相談させて頂きました。(皆様、本当にありがとうございました!)
→ 最終的にAIITを受験することに決めました。理由は以下の2つです。
- AIITは実践的な知識を学ぶことを重視しており、実務に活かしやすいと感じたため
- JAISTは研究が中心であり、育児をしながらでは学位取得が難しい可能性があると判断したため
3. 書類を準備して、出願した(大変だった)
AIITの場合、募集要項に基づいて出願書類を準備します。
この書類の準備が本当に大変でした。
提出の1ヶ月ほど前からは、毎晩深夜まで書類をうんうん唸りながら作成していました。仕事の忙しい時期とも重なり、一度本当に諦めかけましたが、
「ここで諦めたら、また1年待つことになるぞ…」
と思い、半分泣きながら書類を完成させて、締切前日に速達で出しました。
→ その後、試験なども経て、無事に合格することができました
↑実際の合格通知書
在学中のスケジュール
1年生
3〜4科目を常に履修していました。1つの授業は週に3時間で、合計すると9〜12時間の授業を毎週受けていました。
授業は平日夜と土曜日に行われ、毎回小テストや課題を出されるのが一般的です。
多くの科目では約1ヶ月ごとに中間試験や最終試験があり、その時期はより忙しくなります。
また、年度の後半になると応用的な科目が増え、難易度が上がりました。実際、授業についていけず、泣く泣く落とした科目もありました。
↑課題が終わらないとき。こんな時間まで泣きながら演習をしている。機械学習特論難しい。
— Yohei Tsubuku (@y_tsubuku) October 10, 2023
また、個人的に助けられたのは録画機能です。
ほぼすべての授業について、学生はオンラインでいつでも視聴可能です。
これにより、通勤中や昼休みに授業を倍速視聴することで、何とか履修をこなすことができました。
なんとか大学院は続いていて、平日は電車の中とかお昼食べたりしながら授業を受けている。
— Yohei Tsubuku (@y_tsubuku) December 15, 2023
→ 結果として、1年生のうちに必要な単位をギリギリ取り切ることができました。
2年生
最初の頃は特に忙殺されていました。
AIITの2年次には、PBL(Project-Based Learning)という研究室的なチームに配属されます。
ここでは、週18時間の活動が義務付けられます。
基本的に土曜日は丸一日、話し合いや作業に費やしました。私のPBLは毎週土曜の朝8:00から開始して、作業も含めて夕方に終わることが多いです。
さらに、平日も話し合いや作業をしつつ、何とか18時間を確保する日々が続きました。
※実はこの記事を書いている直前も、PBLの話し合いをしていました。
↑「あ、これ本当に無理かも」と思っていたとき。大学院の春休みが終わり、研究室的なものが始まった。すでに忙しさの限界を迎える気がしている。1年後、卒業できていますように…。
— Yohei Tsubuku (@y_tsubuku) April 2, 2024
しかし、徐々に時間配分に慣れ、チームビルディングも進み、現在は楽しく活動しています。教授やメンバーも素敵な方が多く、改めて入学して良かったと感じます。
授業
特に印象に残った科目たちです。もっと気になる方はシラバスを読むとイメージが湧きます。
- システムプログラミング特論
- 計算量(この関数はO(n^2)だよね、みたいなこと)について基礎から理解したり、LinuxのコマンドをPythonで実装する、というような授業です。これぞ大学院で学びたかったことだ!と思いました
- 機械学習特論
- 理論を学びながら実践を通して理解し、機械学習の知識を深めることができる授業です。しかし、前提となる数学の知識が不足していたため、キャッチアップするのが凄く大変でした。多分まだできていないです
- IoT開発特論
- Arduino開発キットを使って様々な回路を組む授業です。元々ラズパイのGPIOで遊んでいた私にはとんでもなく楽しく、遊んでいるような間隔で1日中没頭していました
- リーダーシップ特論
- 非情報系の授業ですが、AIITに入って良かったと心から思える授業でした。特に、教授の熱意は圧倒的でした。毎回全員の前で発言することが求められるため、精神的なタフさも鍛えられました
- フレームワーク開発特論
- Railsチュートリアルを進める授業で、講師はその作者である安川先生です。すごい。業務でRailsを利用しており(コインチェックはRailsでできているのです)、授業についていくのに支障はありませんでしたが、安川先生の授業を受けられることは非常に貴重な経験でした
働きながら、子育てしながら、大学院に通うこと
仕事や家庭に支障は出なかったの?という部分です。
仕事
コインチェックでは、12時〜15時がコアタイムとして設定されています。
それ以外の時間は柔軟に調整が可能なため、大学院の活動に合わせて時間をやりくりしています。このような働き方をさせてもらえる会社には本当に感謝しています。
入社時の面接で大学院に通いたい意志を伝えたところ、当時の役員の方々から
「ぜひ通いなよ!会社もできる限りサポートするよ!」
という主旨の言葉をいただきました。これは、私がコインチェックに入社を決めた理由の一つとなりました。
そして、コインチェックには実際に大学や大学院に通いながら働いている人が一定数いて、学びに対する意欲が高い組織だと思います。(ちなみに、AIITの同学年にコインチェックの方がいることを入学後に知りました。嬉しい。)
家庭
家族にはだいぶ多くの負担をかけてしまっています。特に、土曜日は家事や育児のほぼすべてを妻が担ってくれています。
平日夜も授業がある日は、保育園のお迎え、夕食、シャワー、寝かしつけまで全てお願いしています。
また、妻や自分の両親に子どもを見てもらうなど、周囲の人々の協力がなければ、私の社会人大学院は成り立ちませんでした。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。卒業したら恩返しをしたいと思います。いまが成り立っているのは間違いなく妻のお陰です。
学費や休暇
学費
AIITは教育訓練給付制度の対象となっています。この制度を利用すれば学費負担を大幅に軽減することが可能です。修士号を約40万円程度で取得できる可能性がありますので、ぜひ活用を検討してみてください。※給付対象となるには条件があるため、早めに調べることをおすすめします。
休暇
通常の学校と同じく、夏休みと春休みがあります。この間に、家族で旅行にも何度か行きました。入学してからずっと忙しいというわけではなく、休暇を楽しめたのは嬉しい誤算でした。
おわりに
もう少し詳しく知りたいよ!という方は連絡をいただければ、私のできる範囲で相談に乗ります。なぜなら、これまで他の方が私にそうしてくれたからです。ペイ・フォワードの精神です。
ご覧頂きありがとうございました!