はじめに
くりなみです。リンクアンドモチベーションで、
モチベーションクラウドシリーズのヘルプサイトをつくっています。
みなさんの周りにも、「ヘルプサイトをつくっている人」がいるのではないでしょうか。
この記事を読んでくださっている方はエンジニアの方が多いと思うので、
今回は、「ヘルプサイトをつくっている人」が誰で、何をしているのか、
エンジニアが協働できるポイント、そんなことを紹介していきます。
この記事でわかること
- 「ヘルプサイトをつくっている人」って何者?何してるの?
- ヘルプサイトって何のためにあるの?
- エンジニアやデザイナーが使える観点
ヘルプサイトをつくっている人って何者?
業界に限らず、サービスや製品の仕様書やトリセツをつくっている人をテクニカルライターといいます。
そんなニッチな職種あるんですね〜。
IT系のサービスだとUXライターと言ったりします。
ただ書くのではなく、より良いUXを提供し、ユーザーに役立ててはじめて意味があるため、
わたしたちのチームでは、UXライター、UXライティングという言葉をつかうようにしています。
UXライティング専門のチームがあるところは、ある程度規模の大きな開発組織です。
はじめは何となく、誰かが兼務でつくってみて、運用して、
規模が大きくなると専門のチームが発足する、ということが多い印象です。
弊社でもそうなのですが、UXライティングチームは
カスタマーサポート、カスタマーサクセスから派生していることが他社でもあるようです。
エンジニアがつくっているケースもあるようです。
そもそもヘルプサイトってなんであるの?
ヘルプサイトは、ユーザーが疑問をリアルタイムで自己解決するためにあります。
カスタマーサポートに問い合わせる場合、営業時間などの縛りが発生しますが、
ヘルプサイトはいつでも見られて、いつでも自分で解決できストレスなくプロダクトを使えます。
ユーザーが自己解決できるということは、
カスタマーサポートへの問い合わせも減り、社内の工数削減にもなります。
また、ヘルプサイトで疑問を解決しきれなくても、
「ここまではわかったんだけど、うちの会社の場合はこれで良いのかよくわからなくて」と、
カスタマーサポートとユーザーが認識を揃える材料になることもあります。
UXライターの役割・業務・スキル
UXライターの役割
私たちのミッションは、ユーザーにプロダクトの価値を届けるということです。
操作マニュアルやリリースノート、リリースメールをつくっているときは、
いかにユーザーにわかりやすく、喜んでもらえるように伝えられるかにこだわっています。
開発チームの限られたリソースの中で、全てをプロダクトで機能化できるわけではないので、
プロダクトの機能を補完することもあります。
プロダクトのリリースとは関係ない、改善系のプロジェクトの場合は、
KPIは、問い合わせ数か、カスタマーサポートの工数が多いです。
問い合わせが減ったり、カスタマーサポートの工数が減るということは
それだけユーザーがつまづくことが減るということなので、
ユーザビリティ向上のため、そのようなKPIを設定します。
問い合わせやヘルプサイトのデータの傾向から、
プロダクトの改善提案をすることもあります。
UXライターの業務・スキル
業務 | 求められるスキル |
---|---|
機能リリースに伴う記事の作成・更新 | ユーザー目線でのコンテンツ設計 |
ヘルプサイトの構成設計 | 情報設計 |
記事の作成
ヘルプサイトの記事の作成は、細かいことを言うと、めちゃくちゃ多くの観点がありますが、
大事になことはユーザー目線で、簡潔に書くそれだけです。
余談ですが、どれくらい細かいかと言うと、
例えば、先日、新人ライターさんが、
あるリリースノートのタイトルを「〇〇機能が英語に対応します」と書きました。
社内でよく「英語対応」と口にしていたため、そう書いたようです。
フィードバックした内容は、「リリースノートは開発物の価値を伝えるメディアなので、
『対応』という、問題に対処するという意味を含む言葉ではなく、
価値を提供している、新しいことができるようになる、という伝え方をしよう」でした。
それくらい細かいです。
他にも、ここは漢字よりひらがなが読みやすいかな、なんてことも考えます。
開発チームが頑張ってつくったものは、100%、120%でユーザーに届けたいんです。
情報設計
意外かもしれませんが、UXライターにとって、情報設計がすごく大事です。
どれだけわかりやすい記事を書いても、見られなかったら意味がないからです。
IA(インフォメーションアーキテクト)なんて言ったりするらしい。かっこいい。
情報設計がまずいとどうなるかというと、
「ニンジンについて知りたい!」と思っても、
サイトの構成が「春・夏・秋・冬」や「赤・白・黄」という情報の分類をしていると、
「え、ニンジンってどこ?」と知りたい情報にたどり着きにくくなってしまいます。
「肉・魚・野菜・果物」という分類だと、多くの人が迷わず「野菜」を選べますよね。
その下に「葉野菜・根菜・実物」と分類します。
一方で、「牛肉・豚肉・鶏肉・鹿肉・羊肉・・・葉野菜・根菜・実物・・・」と
多くの情報が並んでいても、選びにくくなってしまいます。
情報をどの軸で、どの粒度で分類するかが情報設計では重要です。
粒度についてはマジカルナンバーを参考に、
ひとつの階層の選択肢は7±2になるようにしています。
他にも、ユーザーの情報探索プロセスについて調べてみたり。
顧客規模によって、ユーザーの動きも違ったりして、面白いですよ。
専門の人がつくるヘルプサイトってどんなもの?
UXライティングという仕事は非常にシンプルです。
必要な情報を、わかりやすく伝える。それだけです。
人の気持ちがわかり、会話、筆談できれば誰にでも素養はあります。
一方で、他社のヘルプサイトを参考に拝見すると、
ヘルプサイトを専門の人がつくっているのか、そうでないかはすぐにわかります。
専門の知見がある人がつくっているものは、情報設計のわかりやすさであったり、
文章が独りよがりではない、だれが読んでも簡単に、同じ意味に理解できるなど、
とにかく、つまづくことが少ないヘルプサイトです。
どんなときにUXライターを頼れる?
社内にUXライターがいる場合、エンジニアのみなさんはどう協働できるでしょうか。
わかりやすいところでは、プロダクトの改善点を聞いてみることです。
UXライターはユーザーから日常的に
プロダクトやヘルプサイトに対して、フィードバックを受けている可能性が高いです。
つまり、ユーザーのつまづきポイントへのアンテナが高くなり、
よりユーザーの目線に近づくということです。
「フィードバック」はユーザーインタビューやユーザーから頂いた苦言以外にも、
日々の問い合わせやヘルプサイトのGAでの分析から得られるものが大きいです。
問い合わせ件数やヘルプサイトのPV数、滞在時間が多い機能は
わかりにくい、使いづらい、ということです。
UXライターはユーザーの感覚を理解している可能性が高いので、
「ユーザーインタビューをするほどでもないんだけど」とか、
「カスタマーサポートの人には聞きにくいなあ」というときは
フラットに聞いてみると良い答えが返ってくるかもしれません。
UXライティングをプロダクトに活かすなら
プロダクトのユーザビリティはプロダクトに関わる方ならみんな良くしたいですよね。
UXライターは言葉のプロなので、
限定的ですが、プロダクト上の文言を考えるときに役立つ観点を紹介します。
プロダクトに書いている説明文が、これで良いのか迷ったら、参考にしてください。
- 結論から書く
- 簡潔に書く
- 一文一義で書く
- 具体的な行動、操作を示す
具体例
NG🙅♀️
トマトにはリコピンが含まれていて、抗酸化作用があり、メラニンの生成を抑制するため、シミの予防に効果があります。
OK🙆♀️
トマトはシミの予防に効果があります。トマトのリコピンが、メラニンの生成を抑制するからです。
NG🙅♀️
削除の操作をすると、〇〇の場合は、データが全て消去され、△△の場合は一部が消去され、一度消去されたデータを復元することはできません。
OK🙆♀️
「削除」ボタンを押すと、データ消去される可能性があります。一度消去されたデータは復元できません。〇〇の場合は全て消去されます。△△の場合は一部が消去されます。
今回は、UXライターやヘルプサイトに関して、基本的な内容を紹介させていただきました。
エンジニアのみなさんがヘルプサイトをつくることもあるかもしれないので、
今度は実際につくる際のポイントなんかもお伝えできればな〜と思います!
ありがとうございました!