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X68000シリーズ電源の部品面から見た抵抗配置図

Last updated at Posted at 2020-10-10

X68000シリーズの電源の故障箇所を特定しやすくするために、基板の半田面から見た抵抗やトランスのの配置図を起こしてみました。

部品面は大型のコンデンサなどが密集していて、テスターを当てづらいため、半田面からみた配置がわかるとチェックしやすいと思います。

ただし、まだ読み間違いなどあるかもしれませんので、過信しないようご注意ください。ミスが見つかり次第修正します!

電源の種類

X68000シリーズは以下のように機種によって使用している電源の型番が異なります。こちらの表は Poeさんのサイト から引用させていただきました。

機種 機種名 電源ユニット名
CZ-600C 初代 初代機専用
CZ-601C ACE SH2
CZ-611C ACE-HD SH3
CZ-602C, 612C EXPERT, -HD SH4
CZ-603C, 613C EXPERT II, -HD SH4
CZ-604C, 623C SUPER, -HD SH4
CZ-634C, 644C XVI, -HD SH4
CZ-500C, 510C X68030, -HD SH4
CZ-652C, 662C PRO, -HD PRO-BOX
CZ-653C, 663C PRO II, -HD SH5
CZ-674C Compact SH7
CZ-300C, 310C X68030 Compact, -HD SH7

また、上記の通り、いわゆるツインタワー型の多くの機種が SH4という電源を使用しています。

私は、このうち以下の3つの電源を所有しているので、そちらの実測値をまとめました。

  • X68000 ACE用 SH3電源
  • X68030用 SH4電源
  • X68000 PRO II用 SH5電源

実測値

SH4電源ユニットの抵抗値

X68030-SH4-Resistor1.jpg

SH4電源ユニットの抵抗値(部品実装状態での実測値)

X68030-SH4-Resistor2.jpg

SH5電源ユニットの抵抗値

以下PDF参照

SH5電源ユニットの抵抗値(部品実装状態での実測値)

以下PDF参照

高解像度(PDF)のダウンロード

文字が読みづらい場合は、PDF版もこちらからDLできます。

使い方

うまく動かない電源があった場合、まずは液漏れしている電解コンデンサの交換から入ると思います。その際に、半田不良を直したり、焦げたり割れたりしている部品を交換しますが、それだけでは直らないことが多々あります。

見た目ではわからない不良としては、

  • トランスの故障(断線)
  • トランジスタの破壊

などがあります。慣れている方はどのあたりがおかしそうか目星をつけて部品を取り外し、テスターなどを当てて呼称を特定することができますが、慣れていないとなかなか難しいです(私もわかりません)。

そこで、部品が全て実装された状態で電源ユニットの基板裏側(ハンダ面)にデジタルテスターを当て、抵抗やトランスの抵抗値を測り私の実測値と比べてみることで、故障箇所を特定しやすくなると思い、こちらの資料を作成しました。

部品が実装された状態で抵抗値を測ると、本来の抵抗の値ではなく、合成抵抗の値が表示されます。そのため、たとえばトランジスタが破壊されていたり、トランスが断線していたりすると、その合成値が変化するため、私の実測値とは違った値が読めるということになります。

もちろん部品の誤差がありますので、「300Ωのところが 305Ωになっていた」というような数%の誤差はあまり気にする必要はありません。しかし、300Ωが200Ωになっていたりした場合、明らかに何か異なる状態になっていることが推測されます。もちろん、機種によって少しずつ仕様がことなるため、それだけで故障が判断できるわけではありませんが、とっかかりとして使っていただければ幸いです。

なお、SH4電源の回路図はSHARPの電子書籍サイト「COCORO BOOKS」にあるXVIやX68030のサービスマニュアルにありますので、抵抗値がおかしいところを見つけたら回路図を読んでみてください。

実例

SH5電源修理

X68000 PRO IIの SH5電源を修理した時の一連のツイートです。焦げたZD31周辺にあるR31の両端で測った抵抗値が期待と異なることから原因を探っていきました。

R31の抵抗値は220kΩなのですが、正常な電源の場合、両端で測った合成抵抗地は175kΩほどありました。それが 10Ωくらいしかない、という状態です。
https://twitter.com/kunichiko/status/1423941872632745990?s=20

可能性としては以下の2つが考えられます

  • R31そのものが壊れ、短絡に近い状態になった
  • 周辺部品が壊れて、短絡に近い状態になった

前者の抵抗の故障ですが、以下のサイトによると故障モードには「断線・抵抗値高化」、「短絡・抵抗値低下」、「抵抗値不安定 」の3つがあります。

もしR31のせいで、175kΩくらいあるはずところが 10Ωになったとしたら、「短絡・抵抗値低下」が起こったと考えられます。ですが、今回のように過電流で焦げたようなケースだと「断線・抵抗値高化」のほうが可能性が高いです。どちらなのか確認する方法としては一度半田ごてを当てて R31を取り外し、直接抵抗値を測るのが簡単です。実際R31は問題ありませんでした。

となると後者の「周辺部品が壊れた」というケースになると思いますが、合成抵抗値が下がったということは、この抵抗と並列に繋がっている部品が短絡に近い状態になったと考えられます。

合成抵抗値.png

今回テスターを当てた R31の両端は、回路図でいうと以下の場所になります。

image.png

このケースで、R31に並列につながっている部品は以下のものがあります。

  • T2トランス
  • Q31トランジスタ
  • Q32トランジスタ
    • C32,R36,R34を介してつながっている

まず、T2はトランスなので、テスターのような直流電流に対してはほぼ電線と同じで、1Ω以下の抵抗値になります。T2が故障しても断線して抵抗が無限大になるだけなので、今回のように値が小さくなった場合はちょっと考えづらいです。

となると、その先にあるQ31、もしくはQ32のトランジスタが短絡状態になったと考えられます。まずは近い方のQ31を取り外して各端子感の抵抗値を測ってみると、見事に短絡していました……。

念のためQ31をマルチファンクションテスターでも見てみましたが、トランジスタとして認識してくれなくなっています。

これでQ31の故障が確定しました。同様にQ32も見てみましたが、そちらも故障していました。

Q31とQ32が故障して短絡モードになるとここに過電流が流れるため、最終的に保護用のフューズが焼き切れて止まったようです。

T2トランスにも過電流が流れてしますので、運が悪いとT2トランスが焼き切れてしまいます。その場合はT2トランスも交換が必要になります。その場合はR31の抵抗値はほぼ無限大になるのではないかと思います(T2が断線するため)。T2トランスも念のため取り外して抵抗値を測ってみましたが、一応大丈夫そうでした。

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