13
13

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

More than 3 years have passed since last update.

学位論文のためのTeXサンプル

Last updated at Posted at 2019-11-15

この記事を読むとできるようになること
(見た目だけは)整った学位論文を書ける!

いわゆる理工系の大学を卒業するには,多くの場合「学位論文」を提出する必要があります(提出後に迫り来る発表のディフェンス…).

卒論などを書くツールとしては,Microsoft Word や TeX などがありますが,
多くの人はTeXを用いて執筆すると思います.

学位論文にはある程度のお作法があり,

  • 表紙
  • 概要 (abstract)
  • 目次 (contents)
  • 本文(目的,手法,結果,議論など)
  • 謝辞 (acknowledgement)
  • 参考文献 (reference)

は最低限含めなければいけません.

もちろん,指定のフォーマットがあればそれを使用してください.
指定フォーマットがない場合,一から自分でTeXファイルを組むのは面倒ですし,
体裁面で苦労して研究時間を削ってしまうのはもったいないです.

ということで,私が使っている学位論文用TeXの中身をここに置きます.
時間があれば,より詳しく追記しようと思います.

  • 環境
    • macOS mojave 10.14.6
    • TeXShop 4.44

tex ファイルを分割して書いてみよう

まず,学位論文は普通のレポートに比べるととても長くなります.
なので,全てを1つの.tex ファイルに書くと
修正するときに該当箇所を探すだけで非常に疲れます
(TeXShop ならば「タグ」を使えば,望みのセクションにすぐ飛べますが).
また,画像をたくさん貼り付けることになるので,いっぺんにコンパイルすると時間がかかって
(論文提出前の精神状態においては特に)ストレスになり得ます.
ですので,例えば「章 (chapter)ごとに別の.tex ファイルに書いて,それらを統合する」
やり方がオススメです.

ここまで書いておいてなんですが,私はchapterごとに分けて書いているだけで,
個別コンパイルできるようになっていません(ファイルをまたぐ参照に失敗しています).

以下に紹介するのは,texファイルを分割するだけで,個別コンパイルには対応していない方法です.

マスターファイル

まず,設定などを書くマスターファイルが必要です.
pdfを出力したい時は,これをコンパイルすればOKです.
必要なパッケージなどをプリアンブルに記入し,¥input{}で本文を書いた.texファイルを読み込みます.
それぞれのコマンドについて詳細な説明は省くので,各自でググってください.
英文用になっていますので,必要に応じて和文用にしてください.

master.tex
%学位論文くらいの長さなら,`book` が良いでしょう
¥documentclass[12pt,report,a4paper,oneside,english]{book}
¥pagestyle{plain}
¥usepackage{参考文献を出力するのに必要なコマンド集をinputする .sty ファイル}%*1
¥usepackage{times}
¥usepackage{natbib}
¥setcounter{tocdepth}{3}
¥bibliographystyle{参考文献のスタイルを書いた.bst ファイル}%*2
% 自分好みに章名や図表の表記を変える
¥renewcommand{¥appendixname}{Appendix}
¥renewcommand{¥figurename}{Fig.}
¥renewcommand{¥tablename}{Table~}
¥renewcommand{¥bibname}{References}
% 数式などの参照を便利にするコマンドを自分で定義すると楽
¥newcommand{¥pref}[1]{(¥ref{#1})}
¥newcommand{¥Secref}[1]{Section~¥ref{#1}}
¥newcommand{¥Eqref}[1]{Eq.~(¥ref{#1})}
¥newcommand{¥Eqpref}[1]{(Eq.~¥ref{#1})}
¥newcommand{¥Figref}[1]{Fig.~¥ref{#1}}
¥newcommand{¥Tabref}[1]{Table~¥ref{#1}}
% ハイパーリンク機能(地味に便利です)
¥usepackage[dvipdfmx]{hyperref}
¥usepackage{pxjahyper}
¥hypersetup{
setpagesize=false,
 colorlinks=true,
 linkcolor=blue,
 citecolor=blue,
 filecolor=blue,
 urlcolor=blue,
}
¥usepackage{ascmac,amsmath,amssymb,mathtools,siunitx}
¥usepackage{bm}
¥usepackage[version=3]{mhchem}
¥usepackage[dvipdfmx]{graphicx}
¥usepackage{array,float,textcomp,ulem}
¥usepackage{fancybox,multicol,longtable,tabularx,url}
¥usepackage[hang,small,bf]{caption}
¥usepackage[subrefformat=parens]{subcaption}
¥captionsetup{compatibility=false}
¥makeatletter
¥makeatother

% よく使う記号類の,自分好みの定義
¥def¥degree{^{¥circ}}
¥def¥Vec#1{¥mbox{¥boldmath $#1$}}
¥def¥p{¥partial }
¥def¥d{{¥rm d}}
% 和のシグマは普通に書くと小さくてカッコ悪いので,¥displaystyle を使うとよい
¥newcommand{¥dsum}{¥displaystyle¥sum}

¥begin{document}
%%%%%% 表紙の設定 %%%%%(この辺はお好みで変えてください)
¥begin{titlepage}
¥begin{center}
¥vspace*{30truept}
{¥LARGE Master's Thesis}¥¥
¥vspace{40truept}
{¥huge¥bf タイトル}¥¥
¥vspace*{60truept}
{¥Large 学籍番号}¥¥
¥vspace{10truept}
{¥LARGE 名前}¥¥
¥vspace{20truept}
{¥Large 所属}¥¥
¥vspace{30truept}
{¥Large 指導教員}¥¥
¥vspace{40truept}
{¥Large 提出日}
¥end{center}
¥end{titlepage}
%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%

%%%%% ここから本文 %%%%%
¥mainmatter
¥input{1_abstract.tex}
¥clearpage
% 目次を出力
¥tableofcontents
¥clearpage
¥input{2_introduction.tex}
¥clearpage
¥input{3_method.tex}
¥clearpage
¥input{4_result.tex}
¥clearpage
¥input{5_discussion}
¥clearpage
¥input{6_summary.tex}
¥clearpage
¥input{7_acknowledgement.tex}
¥clearpage
%%%%% 付録 %%%%%
¥appendix
¥setcounter{equation}{0}
¥def¥theequation{A.¥arabic{section}.¥arabic{equation}}
¥setcounter{figure}{0}
¥def¥thefigure{A.¥arabic{section}.¥arabic{figure}}
¥input{8_appendix}
¥clearpage
%%%%% 参考文献 %%%%%
¥backmatter
¥bibliography{.bib のパス}%*3
¥end{document}

*1¥usepackage{参考文献を出力するのに必要なコマンド集をinputする .sty ファイル}
*2¥bibliographystyle{参考文献のスタイルを書いた.bst ファイル}
*3¥bibliography{.bib のパス}

については,最後の**「参考文献のファイル」**で述べます.

本文のファイル

master.tex の\mainmatter 以下で,本文を書いた.tex ファイルを読み込んでいます.
例えば,論文概要を次のように書きます.

1_abstract.tex
¥chapter*{Abstract}

研究背景

先行研究の問題点

・・・

(最初の行の*は,章番号をつけないようにするためのものです)
これで,master.texに¥input{1_abstract.tex}と書いてコンパイルすると,
1_abstract.texの中身が出力されます.

いちいちmaster.tex を開いてコンパイルするのがめんどくさい場合は,
各.tex ファイルの先頭に %!TEX root = master.tex(のパス) と書くと,
子ファイルをタイプセットすることでmaster.tex がタイプセットされます.

他の章も同様に.texファイルに内容を書きます.

参考文献のファイル

BibTeXの使い方

参考文献の入れ方を紹介します.

論文を1つ1つ手打ちするのでもいいですが,それだとめんどくさすぎるので,便利なツールを使いましょう.
Bibdeskを使うと,HPから引っ張ってきた論文情報をまとめて学位論文に出力できます.

天文系の論文を例に紹介します.
ADSで論文を検索すると,左に''Export Citation''というタブが出てきます.
これをクリックすると,BibTeX用の情報が出てくるので,これをまるっとコピー.
スクリーンショット 2019-11-15 22.03.41.png

Bibdesk上で 貼り付け(Command + V) すると,論文情報が追加されます.
スクリーンショット 2019-11-15 22.04.51.png

Cite Key はTeXで論文を引用するときに使うキーワードになるので,自分でわかるように適当に編集すると良いです.

この.bibファイルを,適当なディレクトリに保存します.
そのディレクトリを,マスターファイルの*3¥bibliography{.bib のパス}に書きます.
パスを書くときに,拡張子.bib は書く必要がないです.

本文中で引用する際には,¥cite{CiteKey}などとします.
${\rm (hogehoge, 2020; Draemon \ et \ al., 2112)}$
のように複数列挙する場合など,オプションはググってください.

BibTeXを使う場合は,複数回のコンパイルが必要です.

  1. 普通にコンパイル
  2. Command + Shift + B でBibTeXのコンパイルをする
  3. 普通にコンパイル

とすると,参考文献が本文に引用されると同時に,論文の最後に出力されます.

参考文献の表示形式

さて,先ほどコピー&ペースとした論文情報には,まだ手元の環境で未定義のコマンドがあります.
例えば,Jornal 欄の\apj などは,論文誌名を表すコマンドです.
これらを定義したファイルを用意しないと,エラーになってしまいます.
天文系の論文誌に関するコマンドは,ここのページにあります.
これをコピーして,適用な名前で保存しましょう(例えば journal.sty ).
そのパスを,マスターファイルの
*1¥usepackage{参考文献を出力するのに必要なコマンド集をinputする .sty ファイル}
に書きます(これも拡張子.styはいらない).

次に,論文末尾に表示する際の表示形式を指定しましょう.
天文系であれば,The AASTeX Package for Manuscript Preparationにあるパッケージなどが使えます.
ダウンロードすると,aasjournal.bst というファイルがあるので,これを適当なディレクトリに置いておきましょう.
パスを,マスターファイルの
*2¥bibliographystyle{参考文献のスタイルを書いた.bst ファイル}
に書きます(これも拡張子.bstはいらない).

以上の準備をすると,綺麗に参考文献が表示されます.

13
13
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
13
13

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?