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Microsoft Teamsへメッセージを送るLooker Action

Last updated at Posted at 2020-12-18

こんにちは。株式会社電通国際情報サービスのkumakuraです。
今回はBIツールLookerの外部連携機能であるActionMicrosoft Teams(以下「Teams」)にメッセージを送る連携機能を作成してみました。

#目次
1. Action/Action Hubとは
2. Microsoft Teams APIのIncoming Webhookについて
3. 今回作成したActionについて
4. 利用イメージ
5. 終わりに

#1. はじめに
BIツールLookerでは分析して得た結果や条件に応じて、Action Hubと呼ばれるサーバを経由して
外部サービスにデータを連携することができます。
Looker内ではそれら外部サービス連携機能をAcitionと呼びます。

Looker公式でTwilioやSlackといったActionが数十種類公開されていますが、プログラミングをすることで独自にActionを開発することも可能です。

独自のActionを開発する場合、
①. 「公式Node.jsフレームワークを用いる」方法
②. 「Action APIを自前で実装する」方法
の2つ方法があるのですが、今回は①公式Node.jsフレームワークを採用して、Teamsへ簡単なアラートを送るActionを開発していきたいと思います。

#2. Microsoft Teams APIのIncoming Webhookについて
ソースコードの解説の前に、今回使用したMicrosoft Teams APIのIncoming Webhookについて少し解説します。

Teamsにサーバからメッセージを送りたい場合、アプリを登録してアクセストークンを取得して〜とフローを踏む方法もありますが、シンプルに「特定のチャネルに対してメッセージを送りたい」場合、Incoming Webhookをチャネルに設定するのが一番手軽な方法かと思います。

Incoming Webhook(受信Webhook)はチャネルに設定できるコネクタの1つで、生成されたエンドポイントに対してOffice 365 コネクタ カード形式またはアダプティブカード形式のJSONを送ることでbotライクなメッセージを投稿することができます。

Incoming Webhookの設定方法

  1. Incoming Webhook を追加したいチャネルの、上部のナビゲーションバーから [コネクタ] を選択
    1.png

  2. Incoming Webhook を検索し、[構成] ボタンを選択。(チームでIncoming Webhookが追加されていない場合、[追加]ボタンを押下してチームにアプリを追加してください。
    2.png

  3. 名前を入力し、オプションで Webhook 用の画像アバターをアップロードし、[作成]ボタンを押下します。
    3.png

  4. URLが生成されます。生成されたエンドポイントにOffice 365 コネクタ カード形式またはアダプティブカード形式のJSONを送ることでメッセージを送信できます。
    4.png

  5. [完了]ボタンを選択します。

#3. 今回作成したActionについて

今回、LookerからTeamsのIncoming Webhookに対してタイトルと本文、Lookerへのリンクを含んだメッセージを送るActionを作成していきます。
LookerではActionをスケジューリング機能を用いて日次で実行したり、フィルターを設定することで閾値を超えたデータが発生した場合に実行をすることができます。(勿論オンデマンドで実行もできます。)
今回のActionは「月初に特定のレポートを通知する」「異常値が発生した場合通知する」ユースケースを想定して作成しました。

また、今回はLooker公式のNode.jsフレームワークを用いてActionを作成したいと思います。
フレームワークはTypeScriptで書かれています。

##ディレクトリ構成
公式フレームワークを用いてActionを開発する場合、(root) > src > actions配下にフォルダを配置し、その中にTypeScriptのソースコードを配置します。
TeamsのActionを開発した場合ディレクトリ構成は次のようになります。(かなり省略しています)

actions/
 ├ bin/
 ├ ci/
 ├ docs/
 ├ public/
 ├ src/
 │ ├ actions/
 │ │ └ teams
 │ │   ├ README.md
 │ │   ├ teams.png (アイコン画像)
 │ │   ├ teams.ts  (ソースコード本体)
 │ │   └ test_teams.png (テストクラス)
 │ ├ api_types/
 │ ├ crypto/
 │ ├ hub/
 │ ├ server/
 │ ├ xpc/
 │ └ boot.ts
 ├ test/
 ~

 
 
 

ソースコード

Actionの定義情報を実装する

まずはActionの定義情報を実装していきます。

// teams.ts

import * as winston from "winston";
import * as Hub from "../../hub";
import * as httpRequest from "request-promise-native";

export class TeamsAction extends Hub.Action {
  name = "teams_incomingwebhook";
  label = "Teams - Incoming Webhook";
  iconName = "teams/teams.png";
  description = "Send data to Teams Incoming webhook";
  supportedActionTypes = [Hub.ActionType.Query, Hub.ActionType.Dashboard];
  supportedFormats = [Hub.ActionFormat.Csv, Hub.ActionFormat.WysiwygPng];
  supportedFormattings = [Hub.ActionFormatting.Unformatted];
  supported_visualization_formattings = [
    Hub.ActionVisualizationFormatting.Noapply,
  ];
  params = [];
    
  async execute() {
  }

}

Hub.addAction(new TeamsAction());

今回はアラートでレポートをTeamsに送るユースケースを想定しましたので、Actionを実行できるタイプはQuery(Explore,Look)とDashboardに限定しました。また、Teamsへはデータの送信ではなく、LookerのLook/Explore/DashboardのURLを添付するので(Incoming Webhookの場合データ送付が難しい)ため、データのフォーマットもCsv(queryの場合)とWysiwygPng(Dashboard)に限定しました。
なお、ここで何も選択しない場合、ユーザはLookerで使用できるフォーマットの全てを選択することができます。
今回、QueryとDashbordに対応したフォーマットを1つだけ選択することでユーザにフォーマットを意識させることなく指定のフォーマットでActionを実行させることができます。

それぞれ対応したデータのフォーマットは以下のようになります

  • Query : Txt,Csv,InlineJson,Json,JsonLabel,JsonDetail,JsonDetailLiteStream,Xlsx,Html
  • Dashboard : WysiwygPdf,AssembledPdf,WysiwygPng,CsvZip

 
 

form( )を実装する

次にTeamsへタイトルと本文を含んだメッセージをユーザへ入力させるフォームを作成していきます。
フォームの定義は上記クラスの中でformメソッドを用意し、その中で実装していきます。


// teams.ts

  async form() {
    const form = new Hub.ActionForm();
    form.fields = [];
    form.fields.push({
      label: "Webhook URL",
      name: "webhookUrl",
      required: true,
      type: "string",
    });
    form.fields.push({
      label: "Title",
      name: "title",
      required: true,
      type: "string",
    });
    form.fields.push({
      label: "Text",
      name: "text",
      required: false,
      type: "textarea",
    });
    form.fields.push({
      label: "Attach Meta Data",
      description: "attach meta data(type,title,model,view)",
      default: "false",
      name: "isAttached",
      required: false,
      type: "select",
      options: [
        { name: "false", label: "false" },
        { name: "true", label: "true" },
      ],
    });

    return form;
  }

ユーザに入力させるフォームとして①TeamsのIncoming Webhookのエンドポイント、②メッセージのタイトル、③メッセージの本文、④メタデータの送信の可否 を考えてみました。
テキスト形式の入力以外にもセレクトボックスからユーザに値を入力させることができます。(上記のAttach Meta Data

なお、Lookerインスタンス全体で1つのIncoming Webhookを利用する場合(1つのチャネルにだけ送信する場合)、Actionの定義の段階でparamを用意し、Actionを有効化する際にユーザにWebhookのURLを入力させることで、実行のたびに毎回URLを入力せずに済むのですが、Lookerインスタンス全体で複数のチャネルに対してメッセージを送るケースが多そうな事と、今回想定しているユースケースはアラート/スケジュール利用なので頻繁にフォームから実行されるケースが少なさそうな事を考えて、Actionを実行する際に毎回設定する方針を採用しました。

 
 

execute( )を実装する

 
最後に、Actionが実行された後の具体的な処理を実装していきましょう!
Actionが実行された後の処理はexecuteメソッド内で実装していきます。


// teams.ts

  async execute(req: Hub.ActionRequest) {
    let response = { success: true, message: "success" };

    if (!req.formParams.webhookUrl) throw new Error("Need a webhookUrl");
    if (!req.formParams.title) throw new Error("Need a title");
    if (!req.formParams.isAttached) throw new Error("Need a attach flag");
    if (!req.scheduledPlan)
      throw new Error("Couldn't get data from scheduledPlan");

    const webhookUrl = req.formParams.webhookUrl;
    const title: string = req.formParams.title;
    const text: string =
      req.formParams.text === undefined
        ? ""
        : req.formParams.text.replace(/\n/g, "\n\n");

    const resCard = {
      "@type": "MessageCard",
      "@context": "http://schema.org/extensions",
      themeColor: "5035b4",
      summary: "Looker Reports",
      title: title,
      text: text,
      sections: [] as any,
      potentialAction: [
        {
          "@type": "OpenUri",
          name: "View in Looker",
          targets: [{ os: "default", uri: req.scheduledPlan.url }],
        },
      ],
    };

    if (req.formParams.isAttached === "true") {
      const facts = [];
      facts.push({
        name: "Type :",
        value: req.scheduledPlan.type,
      });
      facts.push({
        name: "Title :",
        value: req.scheduledPlan.title,
      });
      if (req.type === Hub.ActionType.Query && req.scheduledPlan.query) {
        facts.push({
          name: "Model :",
          value: req.scheduledPlan.query.model,
        });
        facts.push({
          name: "View :",
          value: req.scheduledPlan.query.view,
        });
      }
      resCard.sections.push({
        facts: facts,
      });
    }

    const option = {
      url: webhookUrl,
      json: resCard,
    };

    try {
      const result = await httpRequest.post(option).promise();
      if (result !== 1) {
        throw new Error(result);
      }
    } catch (e) {
      response = { success: false, message: e.message };
      winston.error(e.message);
    }
    return new Hub.ActionResponse(response);
  }

ユーザにフォームで入力してもらった情報を元にIncoming Webhookに対してPOSTを送っております。
また、POSTで送るJSONの形式としてOffice365コネクタカードの形式を採用しました。

処理の内容は至ってシンプルで、ユーザに入力していただいたIncoming WebhookのURLに対して、タイトル・本文・Lookerへのリンク(・メタデータ)をOffice365コネクタカードの形式に整形を行いPOSTする、という内容になっています。

#4. 利用イメージ

Lookerでユーザに入力させるフォームは次のようになります。
image1.png

上の画像のようにユーザがフォームを入力した場合、Teamsには次のようなメッセージが投稿されます。
スクリーンショット 2020-12-18 3.41.49.png
今回、フォームの段階でAttach Meta Dataがtrueになっているので、Teams上のメッセージにメタデータが添付されています。

#5. 終わりに

今回のTeamsのActionは、Looker公式のリポジトリにプルリクエストを送ることを想定して、公式のフレームワークで作成しています。
プルリクエストが承認された場合、皆さんもLookerから利用できるようになりますので、(シンプルな機能ではありますが)是非利用してみてください。
今回の記事が皆さんのAction開発の一助になれれば幸いです。ここまで読んでいただきありがとうございました


追記(2021/12/10)

いつの間にかLooker公式サイトでも紹介されてました
https://looker.com/product/new-features
image.png

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