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新しい「公用文作成の要領」(文化庁まとめ)

Last updated at Posted at 2024-05-26

はじめに

 文化庁発行の 新しい「公用文作成の要領」 (2021年3月)をもとに、「感じのよく意味のとおりやすい文」を書くためのポイントを抜粋した。

(1) 漢字使用の原則

ア 常用漢字表にある漢字や読み方(音訓)を用いる

 常用漢字表に使える漢字がある語は、その漢字を使って書き表す。ただし、例外は(3)常用漢字表に使える漢字があっても仮名で書く場合に示すとおり。また、常用漢字表にない漢字や読み方(音訓)は、原則として用いない
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イ 字体は常用漢字表に示された通用字体を用いる

 特別な事情のない限り常用漢字表に示された通用字体を用いる。
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ウ 固有名詞(地名・人名)は常用漢字表にない漢字も使うことができる

 固有名詞は、常用漢字表の適用対象ではない。

エ 読み手への配慮に基づき、原則と異なる書き方をすることもできる

 上記の原則にかかわらず、分かりやすさや読み手への配慮を優先しても問題ない。常用漢字表の字種・音訓を用いた語であっても、必要に応じて振り仮名等を用いたり仮名で書いたりするなどの工夫をする。
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(2) 常用漢字表の字種・音訓で書き表せない場合

常用漢字表の字種・音訓で書き表せない語は次のように書く。
(※ 以下、×印は常用漢字表にない漢字、△印は常用漢字表にない音訓)

ア 仮名で書く

(ア)訓による語は平仮名で書く。
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(イ)音による語でも、漢字を用いないで意味の通るものは、そのまま平仮名で書く。
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(ウ)動植物の名称を一般語として書くときには、常用漢字表にないものは仮名で、常用漢字表にあるものは漢字で書く。学術的な名称としては、慣用に従い片仮名で書くことが多い。
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イ 音訓が同じで、意味の通じる常用漢字を用いて書く

(ア)常用漢字表中の同じ訓を持つ漢字を用いて書く。
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(イ)常用漢字表中の、同じ音を持ち、意味の通じる漢字を用いて書く。
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ウ 常用漢字を用いた別の言葉で言い換える

(ア)常用漢字表にある漢字を用いた言葉で言い換える。
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(イ)同じ意味の分かりやすい言い方で言い換える
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注:(ア)、(イ)両方の処理ができるものもある。
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エ 表にない漢字だけを仮名書きにする、又は、振り仮名を付ける

 他に良い言い換えがない、又は、言い換えをしては不都合なものは、常用漢字表にない漢字だけを平仮名書きにする、又は、その漢字をそのまま用いてこれに振り仮名を付ける。
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注:化学用語など、片仮名を用いる場合もある。
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オ 振り仮名は、原則として表にない漢字・音訓のみに付ける

 常用漢字表にない漢字や音訓を用いるときには、必ず振り仮名を付けるなどする。原則として熟語のうち常用漢字表にない漢字と音訓にのみ振り仮名を付ける。ただし、読み手に配慮して、熟語全体に振り仮名を付すこともある。
 振り仮名は該当する漢字が現れる度に付ける必要はない。文書全体又は章ごとの初出に示すなどの基準を定め、文書内で統一して行うようにする。なお、振り仮名は見出しではなく本文部分に付すのが一般的である。
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カ 振り仮名が使えない場合には、括弧内に読み方を示すこともできる

 情報機器の設定等の関係で、振り仮名を用いることが難しい場合には、その漢字の後に括弧に入れて示すこともできる。その際、熟語についてはその全体の読み方を示す方が読み取りやすい。
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(3)常用漢字表に使える漢字があっても仮名で書く場合

 書き表そうとする語に使える漢字とその音訓が常用漢字表にある場合には、その漢字を用いて書くのが原則である。ただし、例外として仮名で書くものがある。

ア 仮名で書く

助詞
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助動詞
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動詞・形容詞などの補助的な用法
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ただし、実際の動作・状態等を表す場合は漢字を用いる。
例)「…街へ行く」「…賞状を頂く」「…贈物を下さる」「…東から来る」「しっかり見る」「資格が欲しい」「声が良い」

形式名詞
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ただし、具体的に特定できる対象がある場合には漢字で書く。
例)「事は重大である」「法律の定める年齢に達した時」「家を建てる所」「所持する物」「裁判所の指名した者」

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指示代名詞
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漢字の持つ実質的な意味が薄くなっているもの
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いわゆる当て字や熟字訓(常用漢字表の付表にある語を除く。)
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「明後日(あさって)」「十八番(おはこ)」など、熟字訓が付表に採られていないものは、音読み(「みょうごにち」「じゅうはちばん」)でのみ用いる。訓読みする場合には仮名で書くか振り仮名等を付ける。)

その他
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イ 仮名書きを基本とするが一部のものは漢字で書く

接続詞
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〔漢字を使って書く接続詞〕
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連体詞
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〔漢字を使って書く連体詞〕
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接頭辞・接尾辞
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ウ 動詞、副詞、形容詞は漢字で書くことを基本とするが一部のものは仮名で書く

動詞のうち仮名で書くもの
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副詞のうち仮名で書くもの
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ある(動詞)・ない(形容詞)
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「問題がある」「欠点がない」などは仮名で書く。「有無」の対照、「所在・存在」の意を強調するときは、「財産が有る」「有り・無し」「在り方」「在りし日」「日本はアジアの東に在る」など、漢字で書く。

エ 常用漢字表にあっても法令に倣い仮名で書く

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オ 読み手への配慮や社会の慣用に基づいて、仮名を使う場合もある

 公用文で用いる際には、漢字を用いて書くことになっているが、一般の社会生活では仮名で表記する場合も多い。解説・広報等においては、分かりやすさや親しみやすい表現を優先する観点から、必要に応じて仮名で書くことがある。
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(4)送り仮名の付け方

イ 読み間違えるおそれのない複合の語の名詞(186 語)は、送り仮名を省く

 公用文では、活用のない複合の語 186 語に関しては、「許容」とされている表記(誤読等のおそれがない場合は送り仮名を省く)をあえて用いることとなっている。
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同様の漢字を使う複合の語でも、動詞については、送り仮名の付け方の「本則」に従って書く。
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ウ 文書の性格や読み手に配慮し、送り仮名を省かずに書くこともできる

 広く一般の人に向けた解説・広報等においては、読み手に配慮して、多くの人が理解している学校教育で学ぶ表記を用いた方が良い場合がある。社会では、学校教育で学んだ表記が広く用いられており、公用文で使われる送り仮名を省く表記を見慣れていない人も多い。
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 また、「送り仮名の付け方」の通則7に従い、特定の領域の語で慣用が固定している名詞(「取締役」「書留」等)、一般に慣用が固定している名詞(「子守」「献立」「日付」等)は送り仮名を省いて書くこととなっている。これに当たる語であるかどうかは、通則7や「法令における漢字使用等について」の「2 送り仮名について」の(2)のイに挙げられた例によって確認できる。これらの例になく、慣用が固定しているかどうか判断できないときや、読み手が読みにくいと考えられるときには、送り仮名を省かずに書くこともできる。

(5)外来語の表記

エ 長音は、原則として長音符号を使って書く

長音は、長音符号を使って書く。
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ただし、次のようなものは慣用に従い、長音符号を用いずに書く。
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英語の語末の-er、-or、-ar などに当たるものは、ア列の長音とし、長音符号を用いて書くのが原則である。そのほか、-ty、-ry など、y で終わる語も長音符号を用いて書く。
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(6)数字の使い方

ア 横書きでは算用数字を使う

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イ 大きな数は、三桁ごとにコンマで区切る

四桁以上の数は三桁ごとにコンマで区切って書く。
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ウ 兆・億・万の単位は漢字を使う

「5兆、100 億、30 万円」のような場合には、兆・億・万を漢字で書くが、千・百は、例えば「5千」「3百」としないで、「5,000」「300」と書く。
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エ 全角・半角を文書内で統一して使い分ける

 算用数字に全角を用いるか半角を用いるかについて、特に定めはないが、文書内で用法を統一する。例えば、原則として一桁の場合には全角数字を用い、二桁以上の場合には半角数字を用いている。
 また一般的に、データや金額等の数値を示す場合には半角数字を用いる。

オ 概数は漢数字を使う

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算用数字で統一したい場合は、「20 人余り」「40~50 人」などと書き方を工夫する。

カ 語の構成用語として用いられる数などは、漢数字を使う

(ア) 熟語、成語、ことわざを構成する数
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(イ) 常用漢字表の訓、付表の語を用いた数え方(( )内は読み方)
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(「ひとつ、ふたつ、みっつ…」は和語であり、常用漢字表で漢字の訓として整理されていることに従い「一つ、二つ、三つ…」と書く。

 ただし、一般の社会生活において、横書きでは算用数字を使った「1つ、2つ、3つ…」という表記が広く使われている。広報等で明確に数を数えているような場合などに限って、算用数字を用いて表記することがある。このことは「一人、二人、三人…」「一日、二日、三日…」などでも同様である。

(ウ) 他の数字と置き換えられない数
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(エ) 歴史、伝統文化、宗教等の用語
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キ 縦書きする場合には漢数字を使う

告示や質問主意書等の縦書きでは、原則として次のように漢数字を省略せず用いる。
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広報等の縦書きでは、次のような書き方をすることがある。
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ク 縦書きされた漢数字を横書きで引用する場合には、算用数字にする

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ただし、元の表記を示すために、漢数字を用いる場合もある。

ケ 算用数字を使う横書きでは「○か所」「○か月」と書く

 常用漢字表には「箇」が採られているが、横書きで算用数字を用いる場合には「3か所」「7か月」と平仮名を用いて書く。一般の社会生活でよく使われる「3ヶ所」「7カ月」といった表記はしない。
 なお、概数を示すために漢数字を用いる場合には、「数箇所」「数十箇所」のように「箇」を使って書く。また、「何箇所」「何箇月」なども「箇」を用いる。同様に、縦書きで漢数字を用いる場合には「三箇所」「七箇月」と書く。これを横書きで引用するときには、「3か所」「7か月」のように直す。(必要に応じて、元の縦書きにおける表記と同じにすることもある。)

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