主題
楽天ひかりでIPv6(IPoE)接続を利用するための注意事項
→特に適切なルータを選択しないと意味が無いということをこの記事では伝えたいと思います。
※今回は「楽天ひかり」に限定しているため、記事中に掲載したルータと読者様のプロバイダが推奨しているルータが異なる場合があります。その点には十分に注意してください。基本的には(記事中でも紹介しますが)ELECOMの対応表をご覧ください。
※記事中ではELECOM製品のみ紹介していますが、もちろんその他のメーカ様でも対応しているルータもあります。
なぜIPv6を利用しようと思ったのか
集合住宅で楽天ひかりを利用しているのですが、夕方以降は劇的に回線速度が遅くなり、非常に困っていました。「どうにか通信速度が改善しないかな~」と思い、楽天ひかりのマイページに久々にログインしてみると、「IPv6接続(IPoE)利用中」との表示が見えて、、、利用中!?(いつの間に!?)
噂ではIPv6はIPv4よりも早いと言われているので、「まぁお試しでやってみますか」ということで利用してみると、、、トラップがいくつかあったので記事にしてみました。
※IPv4とは「172.217.31.163」などのように、IPアドレスを32ビットで表現したプロトコルです。つまり、IPv4のアドレス総数は2の32乗個(42億9496万7296個)です。すごい大きな数のように見えますが、近年の世界人口は77億人を超えているということで、IPアドレスが足りない(枯渇)問題が生じました。そこで登場したのがIPv6で、「2404:6800:4004:80c::2003」などのように、IPアドレスを128ビットで表現したプロトコルです。つまり、IPv6のアドレス総数は約340澗個です。もう二度と枯渇問題に直面したくないという意思が見えますね。
IPv6ブリッジ機能
IPv6を利用するために、数年前から利用していたELECOM「WRC-1167GHBK-S」の設定を変更します。
※コチラの製品では全体的な速度改善には繋がりません。後述しますが、先走ってポチらないようにしてください。
元々はIPv4を利用していたので、WAN設定では以下のように「PPPoE接続」かつ「IPv6ブリッジは無効」という設定になっていました。この「IPv6ブリッジを有効」にチェックして適用すると、IPv6で通信することができます。ただし、接続先のサイトがIPv6に対応していることが条件になります。
※IPv6に対応していないサイトには、今まで通り、IPv4での接続になります。つまり、利用するサイトがIPv6に対応していない場合には通信速度が遅いままだということです。
普段利用しているサイトがIPv6に対応していないと意味がないので、IPv6に対応しているサイトを調べてみました。(なお、下記表は2021年4月19日の対応状況)
検索エンジン | IPv6 | コメント |
---|---|---|
〇 | 流石グーグル! | |
Yahoo | × | 対応してないんかい!「検索は力になる」で利用しますよね |
ストリーミング | IPv6 | コメント |
---|---|---|
YouTube | 〇 | 流石YouTube! |
Netflix | 〇 | もうちょっと安くならないかな~ |
AmazonPrimeVideo | × | 対応していないとは思わなかった |
ニコニコ動画 | × | ライブとかストレス無く観たいので対応してくれないかな~ |
SPWN | × | ライブとかストレス無く観たいので対応してくれないかな~ |
VARK | × | ライブとかストレス無く観たいので対応してくれないかな~ |
SNS | IPv6 | コメント |
---|---|---|
× | 暇つぶしに使いたいけど、対応していない | |
〇 | あまり使わないけど、名刺代わり | |
LINE | × | 連絡手段!対応して欲しい! |
こうして見ると、普段利用するサイトのほとんどがまだまだIPv6に対応していないことが分かります。つまり、現状では通信速度がほとんど改善していないということになります。(YouTubeはマジで助かる)
ちなみに、現時点での通信速度は最も遅い時間帯でIPv6:400M程度、IPv4:1M未満です。「じゃあ、IPv6って意味無いの?」と思うんですが、まだ諦めません。
余談:測定するサイトに注意
インターネット回線速度をテストするサイトとして「Fast.com」が有名ですが、コチラのサイトは「Powered by Netflix」です。つまり、現状のままコチラのサイトで回線速度を測定すると、IPv6接続での計測結果のみ得ることができます。決してIPv4接続での通信結果ではありませんので、注意が必要です!
私はIPv4接続とIPv6接続の両方を測定できるサイト「みんなのネット回線速度」様を利用しました。コチラのサイトを利用すると、現時点でのIPv4接続がPPPoEなのかIPoEなのかまで確認することができます。
IPv4 over IPv6
タイトルにある「IPv4 over IPv6」という技術は何なのかとザックリ言うと、IPv4アドレスをIPv6アドレスでパッケージしてIPv6として通信するという技術です。つまり、IPv4のみに対応しているサイトに対してIPv6を利用したような通信を実現できるということです。
※本来はPPPoEとIPoEについて解説した方が良いと思いますが、記事が長くなるため割愛します。
ここで注意して欲しいのは、プロバイダーによって様々な方式が採用されており、その方式に対応したルータを利用しないといけないという点です。楽天ひかりは「クロスパス」なので、それに対応したルータを利用しましょう。ELECOM製品の対応表はコチラのサイトで確認することができます。表を確認すると、クロスパスに対応したIPv6(IPoE)対応ルータがかなり少ないことが分かります。何もわからずに取り合えずIPv6対応ルータを買うと、失敗してしまうことが何となく想像できますね。
私はWi-Fi6対応機器を持っておらず、2年以内に引っ越すことが決定しているため、クロスパスに対応している最も廉価なモデル「WRC-1167GS2-B」を購入しました。(コチラの製品は楽天ひかりの対応ルータ一覧にも掲載されています。安心ですね。2020年8月更新)ちなみに、2021年4月22日発売予定の「WRC-X1800GS-B」もクロスパスに対応しているため、発売を待つか迷いました。
ルータ(WRC-1167GS2-B)の設定
設定は簡単で、LANケーブルと電源を挿せば自動的に繋がります(楽天ひかりの場合)。その理由はWAN設定がデフォルトで自動判定になっているため、楽天ひかりの場合には自動的にIPoE接続が開始されます。
※付属LANケーブルはカテゴリー5eでしたので、そのケーブルは用いずに、別途カテゴリー6AのLANケーブルを利用することをおススメします。これによって通信品質が大きく変わります。
※バンドステアリングが上手く動作しなかったため、無効にしています。これはWi-Fi接続に関する話なので今回は省略します。さらに、Apple製品のWi-Fi設定項目中にあるプライベートアドレスの影響により、初回Wi-Fi接続に時間が掛かる・上手く接続できない場合がありますが、結果的には接続できました。
結果
快適だああああああああああああああ!!!
最終的な通信速度は以下のようになりました。(ただし、本来は何度も測定して平均を取るべきです。ちなみにこの結果は、Wi-Fi接続時の結果です。)
通信速度測定は「みんなのネット回線速度」様にて行いました。
IPv4の接続方式がIPoE + IPv4 over IPv6(クロスパス) になっていることが分かります。(ちなみに、以前のルータでIPv6ブリッジ機能を利用していた際には接続方式がPPPoEと認識されていました。しっかり測定できていることが分かりますね。)
まとめ
※今回は以前のルータがIPv6ブリッジ機能に対応していたため、IPv6でどの程度の速度が出るのかが分かった状態で移行しました。注意点としては、必ずしもIPv6にすることで速度が向上するわけではありません。
IPv6を利用するためには、プロバイダとルータがIPv6に対応している必要があります。さらに、手法が様々あるため、適切なルータを選択しなければ望んだ結果を得ることができません。
一度設定してしまえば、あまり触る必要が無いので、初期設定を頑張って快適でストレスフリーな日常を過ごしましょう!