心理的安全性のつくりかた
https://www.amazon.co.jp/dp/4820728245/ref=cm_sw_r_apan_glt_i_PAJXHWGYFAZJKBAWA8Y9
を読んだので読書メモ。
第1章 チームの心理的安全性
心理的安全性についての基本的な話。ぬるま湯チームな訳では無い。心理的安全性が高く、かつ仕事の基準が高い(目標ではなく、仕事の妥協点が高い)職場は「学習して成長する職場」となる。
「日本版『チームの心理的安全性』の4つの因子」が面白い。元々提唱された「心理的安全性を計測する7つの質問」は、日本では上手く機能しなかったらしい。
日本では①話しやすさ、②助け合い、③挑戦、④新奇歓迎の4つの因子があるとき、心理的安全性が感じられるようになる。
またそれぞれについて「構造・環境」「関係性・カルチャー」「行動・スキル」の3つの視点がある。本書は関係性・カルチャーを変えることが主なスコープとなっている。
第2章 リーダーシップとしての心理的柔軟性
リーダーシップには取引形(成果主義)、変革型(ビジョンを示す)、サーヴァント型(メンバーを支える)、オーセンティック型(己の強み弱みを活かす)の4つの型があるが、心理的安全性のためにはこれらを使い分ける必要があり、それが出来るのを心理的柔軟なリーダーシップと呼んでいる。
メンバーに影響を与える時は性格や心の中ではなく、行動にフォーカスした方が効果的。自信を引き出す、やる気を出させるといった意識ではなく、具体的な行動を取れるかどうかを論点にする。4つの因子も行動の集積として表現出来る。
心理的柔軟性のための3要素「必要な困難に直面し、変えられないものを受け入れる」「大切なことへ向かい、変えられるものに取り組む」「それら変えられないものと、変えられるものをマインドフルに見分ける」見分けるとはバイアスを取り除き、精神的なものと具体的な行動を区別し、因果を分解する訓練を行うこと。
第3章 行動分析で作る心理的安全性
行動分析の最も基本的なフレームワークは「きっかけ→行動→みかえり」。見返りには好子と嫌子があり、好子が増えるか嫌子が減ると行動が活性化する。逆だと行動が抑制される。基本的には好子を用いた方が効果的。みかえりは、中長期的なものより短期的なものの方が強く作用する。また受け身、否定、結果などは行動には含まず、能動的かつ自分から作りだすことが出来るもののみを行動として扱う。きっかけとみかえりを変えることで、行動を変えることが出来る。これにより心理的安全性の4要素を活性化させていく。
第4章 言葉で高める心理的安全性
言葉によって、従来気がつけなかったみかえりを行動と関係付け、行動をコントロールすることが出来る。これにより目の前の好子嫌子を超えて中長期的な視野での努力を促すことが出来る(ルール支配的行動)。
「言われた通り行動」は行動そのものからみかえりを得ていない状態、「確かにそうだな行動」は行動そのものからみかえりを実感できる状態であり、前者を減らして後者を増やすようなルール作りが必要。また「そんな気してきた行動」はみかえりの好子嫌子を増加減少させること。言葉によってこれらをコントロール出来る。
第5章 心理的安全性導入アイデア集
行動・スキルレベルで心理的安全性を作り出すテクニックと、関係性・カルチャーレベルで心理的安全性を作り出すテクニックがまとめられている。
ケーススタディもあり、チームをレベルアップさせたいなら実際に取り組んでみてもいいと思う。
ポエム
心理的安全性が重要なことは重々承知していたが、それを高める具体的な方法が理論建てて解説されているのが良い。メンバーでもリーダーでも管理職でも役に立つと思う。心理的安全性だけでなく、例えばチームの振り返りのアクションを考える時にも役に立ちそう。
この本を読んでおきながらなんだが、別に心理的安全性の低いチーム出働いている訳では無いと思う。ただ、さらに高い基準を目指すために、まずはチーム内で挑戦をもっと引き出せるようにした方がいいかもしれない。今は挑戦に対する嫌子が多いから、それを取り除くところからだろうか。
そういえば、部署レベルだと最近は自分の取り組んだことや改善的を発表して共有する場が盛んに設けられているけど、あれって別にみかえりが発生してない気もする(むしろ発表がコスト)。あれもひと工夫できないだろうか。