この記事はニフクラ 等を提供している、富士通クラウドテクノロジーズ Advent Calendar 2022 の 16 日目の記事です。
前日はtoyo_muraさんの 「ブラウザからワンクリックでサーバ上にdockerコンテナを立ち上げる」 でした。
急いでdockerコンテナ立ち上げなきゃ!となった時にワンクリックで実行できるととても便利だなと感じました。
本日は、私の趣味兼特技であるレザークラフト(革工芸)を紹介します。スクリプトやコードはありませんので、箸休めくらいの気持ちで眺めていただけると幸いです。これを読んでレザークラフトに少しでも興味を持ってもらえるととても喜びます。
はじめに、自己紹介
レザークラフト歴は4年くらい。作品数は40点程度です。主にタンニンなめしのヌメ革からカバン、財布、ペンケースなど幅広く制作しています。誰かにレザークラフトを習ったことはなく書籍やyoutubeでの独学です。
レザークラフトの簡単な説明
レザークラフトは、恐らく誰もがやったことがあるペーパークラフトとそこまで変わりません。読んで字の通り、扱う素材がペーパーからレザー、接着剤の代わりに糸を使う程度が制作工程の違いです。
一つ大きな違いをあげるとすると、ペーパークラフトは主に鑑賞目的として行われますが、レザークラフトは実用的なものを制作することが多いです。「ペーパークラフトをする」といったら市販のペーパークラフトキットを購入することが多いですが、レザークラフトはキットを購入せず、キットを作るところからスタートします。
実際に作った作品
イメージをつかんでもらうために、実際に作った作品をご紹介します。
カバン
雫型
樽型、縦型 横型小物
左:小物入れ
真ん中上:財布
真ん中下、左からリップクリームケース、ミンティアケース、AirPods Proケース
右:ペンケース
財布
作品の制作手順
作品の制作は簡単に説明すると5ステップくらいです。レザークラフトにかぎらず作品を制作する時には、だいたい同じ手順を辿ることになるとは思います。
1. 作りたいものを考える
2. パターン(型紙)に落とし込む
3. レザーをパターン通りに裁断する
4. 組み立てるための下処理
5. 組み立てる(裁縫)
画像でどのようになるのかを紹介していきます。
設計図→型紙→パーツ→完成まで
①タバコケース
私はタバコを吸わないので、イメージつけるためにタバコとライターお借りして、どうやったら使いやすいかを考えました。
自分で日常的に触れていないものは、イメージがつきにくいので型紙から実際にモックを作って良し悪しを判断します。この時はライターを入れるポケット部分とタバコの入り具合があまりしっくりこなかったので、設計し直しています。
②財布
イラストレーターで書いた設計図に従ってレザーを切り抜き、組み立てています。この財布は組み立ての順序が大事で、順序を間違えると縫えない場所が出来てしまいます。組み立てを工夫すれば、財布はこれくらいのパーツ数で制作することも可能です。
③樽型カバン
カバンなどの立体物を制作する時にはテクニックがあります。樽型カバンを例にすると、底面(円)に沿って細長いパーツを縫い付け、その後、細長いパーツを介して本体と縫い合わせていきます。こうすることで、堅いレザーであっても円形に収めることが出来ます。細長いパーツが円周に沿ってぴったりと縫い付けられていますが、イラストレーターを使うことで円周の長さを図ることが出来ます。ウインドウ>ドキュメント情報を選択し、その後、オブジェクトを選択すると、「長さ」に円周の長さが表示されます。今回は円でしたが、円だけではなく角丸四角の長さを図りたいときなどに重宝します。
工具の紹介
レザークラフトに使用する工具を紹介していきます。
型紙を出力する
A4ロール紙が印刷できるプリンター(SC-PX7VII)を使っています。リュックなどの大きな作品を制作する時はA3、A4プリンタでは印刷できる面積が足りないため、オーバースペックなところはありますが大事なツールです。
切る
2種類の切り方ができれば基本的になんとかなります
まっすぐ切る
レザーをまっすぐ切るのは思ったよりも難しいです。レザーを裁断するのはおそらく一般的には革包丁を使いますが私は持っていません。結構お高いというのもあるのですが、片刃なので扱いが難しいのと切れ味が悪くなったら研ぐ必要があるからです。革包丁はなくても困りません。私は、OLFA別たちを使っています。切れ味が鋭いのと、替え刃式なので研ぐ必要がないからです。別たちも片刃ではあるのですが、カッターのように切断するのではなく、上から押し切る感じで進めていくとかなりまっすぐ綺麗に切れます。
角を丸く切る
円切りカッターを使っています。
レザーを角丸長方形として切り抜くことがあります。綺麗に切り落とすためにコンパスの形をしたカッターを使っています。入角の切り取りは、針を支点としたコンパス式のカッターを使います。針が刺さる部分は捨てレザーとなり使うことはありません。出角の場合に針を刺してしまうと、使用する部分に針の跡がついてしまいます。この際には支点が針になっていないものを使用することになります。穴をあける
糸を通すための穴
レザーは硬いため、布と同じように縫っていくことはできません。そのため下準備として事前に穴を開けておきます。通常はフォークの形状をしたレザーホールパンチャーをハンマー(ここでは木槌)で打ちつけて穴を開けます。
金属をハンマーで打ち付けていることと同じなので、結構な音と振動が出ます。レザークラフトを諦める要素になりやすいのですが、マンションでやると間違いなく苦情が来ます。私は来ました。そこで音と振動が出ないように、圧力をかけて穴を開ける機器を自作しています。マンション勢のレザークラフト界隈では一般的な代物だと思っています。
糸を通すための穴の場所を決める
ネジ稔(ねじねん)を使っています。レザーの端から何mmのところに穴を開けるかを決めます。小物は2mm、カバンなどの大きいものは3mmとするようにしています。
ボタンをつけるための穴
パッチボタンをつける際に穴を開けます。穴を開ける際にはポンチを使います。穴のサイズはボタンによって異なるため複数種類のポンチを持っています。
縫う
針
布を縫う針とあまり変わりません。レザーを縫う時は針を2本使います。
糸
私はビニモを愛用しています。蜜蝋を塗った麻糸を使うケースもあるようですが、ベタつくのであまりお勧めしません。
革の処理
私はトコノールを使っています。糊の成分が入っていて、磨くと輝きます。
裏地(床面)
トコノールをレザーの裏面(床面)に塗って、ガラス板で磨きます。
端(コバ)
まずは、レザーの表面(銀面)の端を削ぎ落とします。
ここでもトコノールを使います。適量塗り、木の棒を使って磨いていきます。
レザークラフトのおすすめポイント
誰も持っていない世界にひとつだけのものを使える
自分で作った作品ですので、大事に長い期間かけて使いたいという気持ちになります。レザーはエイジングを楽しむことも良さの一つですので、長い間使いたいという気持ちになれるモノを持つことはその第一歩です。
自分好みの形状にしたり、機能をつけることができる
市販の製品ではあと一歩足りないということがありますが、そういったことはありません。自分の望むようにカスタマイズすることができます。また壊れた時も仕組みを理解しているので、補修することも比較的容易です。
完成した時に達成感がある
カバンなどの大物を制作した時には50時間ほどかかりました。時間をかけて形になるモノを作り上げることで得られる達成感があります。平面のレザーが立体的になっていくと感動します。
さいごに
レザークラフトの紹介をさせていただきました。キットを使わずに制作するのは、手番がたくさんあって、工具も色々使うのでハードルが高いかもしれません。そんな時は、ハンズやユザワヤでレザークラフトのキットが売っているので気軽に始めることができます。もしこの記事を読んで興味を持った方がいれば挑戦してみてください。最後までお読みいただきありがとうございました。
この記事は富士通クラウドテクノロジーズ Advent Calendar 2022 の 16 日目の記事でした。
明日はtanopantaさんの「JavaでもVCRでHTTPテストのモックを生成したい [OkReplay]」です。
私としては使ったことがない技術のためどういった記事になるのか楽しみです!
おまけ
エイジング