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SAP HANA XSAで動くFiori Launchpadを作ってみた

Last updated at Posted at 2018-12-07

はじめに

SAP HANAのXS Advanced (XSA)で動くSAP Fiori Launchpadを作ってみました。はじめは、「え?HANAでFioriって作れるの?」と思いましたが、Multi-Target Application (MTA)には、SAP Fiori Launchpad Site Modulesというものが用意されており、SAP HANAのXSAにデプロイして動かすことができます。

もちろん、すでにあるSAPUI5アプリを組み込んでタイルから呼び出したり、テーマをカスタマイズしたり、ロールでタイルの制御をしたりと、基本的な機能はゴリゴリ作り込めるようになっています。

技術ブログなるものを書いたことがない私ですが、今年はSAPアドベントカレンダーが企画されていることを知り、SAP HANA版Fioriについて書きたいなぁと思って参加させていただきました!奇しくも2018年12月31日をもってSAP Web IDE for Cloudがなくなり、来年からはFull-Stackオンリーとなります。

MTA? Full-Stack?? よく分からないけど、ムズカシそう・・・(´・ω・`)

そう思っている方に、是非チャレンジしていただきたいです。SAP HANA版Fioriを作りながら、MTA独特のおもしろさ、奥深さを共有していけたらと思います。

前提条件

作り始める前に、**HANA, Express Edition (Server + XSA Applications)**を用意する必要があります。
Express Editionである必要はありませんが、個人で自由に使える環境は少ないと思いますので、こちらを記載しています。

なお、このブログでは具体的な手順に触れていませんので、公式チュートリアルをご参照ください。
AWSアカウントをお持ちの方は、AWS MarketplaceにAMIがあります。設定も含めて30分程度で環境が作れると思います。

今回使用したバージョンは、以下の通りです。

  • HANA, Express Edition (Server + XSA Application): 2.0 SPS 03
  • SAP Web IDE for HANA 2: SPS 03 Patch 2 ( Build 4.3.25 )
hxeadm@hxehost:/usr/sap/HXE/HDB90> HDB version
HDB version info:
  version:             2.00.031.00.1528768600
  branch:              fa/hana2sp03
  machine config:      linuxx86_64
  git hash:            0d29bcd47c52b9ec46d38c93a44d168fdac79164
  git merge time:      2018-06-12 03:56:40
  weekstone:           0000.00.0
  cloud edition:       0000.00.00
  compile date:        2018-06-12 03:58:34
  compile host:        ld4552
  compile type:        rel

hxeadm@hxehost:/usr/sap/HXE/HDB90> xs version

Client version: xs v1.0.85

Server version information:
   name                    = XS Controller
   support                 = http://service.sap.com/message
   build                   = v1.0.85
   version                 = 1
   softwareVersion         = 1.0.85.12485
   contentVersion          = 1.0.85.12485
   overallState            = READY
   user                    = <not set>
   description             = SAP HANA XS Advanced Runtime
   controllerEndpoint      = https://hxehost:39030
   authorizationEndpoint   = https://hxehost:39032/uaa-security
   loggingEndpoint         = <not set>
   allowDebug              = true
   acceptEncoding          = gzip, x-gzip
   limits                  = memory: <not set>, apps: <not set>, app uris: <not set>, services: <not set>
   usage                   = memory: <not set>, apps: 48, app uris: 44, services: 42
   databaseType            = HANA_MULTI
   databaseInfo            = HDB 2.00.031.00.1528768600

ざっくりした作り方

全部で4ステップです。では、SAP Web IDEにログインして早速作っていきます!
flow.png

Step1. MTA Projectの生成

Workspaceで右クリック > New > Project from Templateを選択します。
mta-01.png
Multi-Target Application Projectを選択して、Nextをクリックします。
mta-02.png
Projectの名前を入力して、Nextをクリックします。
mta-03.png
以下を入力して、Finishをクリックします。

  • Application ID
  • Application Version
  • Space
    mta-04.png

Step2. SAP Fiori Launchpad Site Modulesの追加

先ほど作成したMTAプロジェクトの中に、SAP Fiori Launchpad Site Modulesを追加します。
MTAプロジェクトを選択して右クリック > New > SAP Fiori Launchpad Site Modulesを選択します。
flsm-01.png
SAP Fiori Launchpad Site Modulesが見つからない場合は、機能を有効化する必要があります。
設定 > Featuresを選択し、SAP Fiori Launchpad SiteをONにしてください。
flsm-00.png
モジュールが追加できたら、Siteの名前を入力して、Nextをクリックします。
flsm-02.png
Site Contentの名前を入力して、Finishをクリックします。
flsm-03.png
MTAプロジェクトの中に、さきほど指定した名前で「Site」と「Site Content」が作られています。
これが、SAP Fiori Launchpad Site Modulesの実体です。
flsm-04.png
それぞれ、簡単にいうと次のような役割です。

モジュール 役割
Site Fioriのエントリポイント。
実際のWebリソースを置くところ。
Site Content Fiori Launchpadのサイト構成を定義するところ。

現時点では、Siteの中にJSONファイルしかなく、Webリソースらしきものは見当たりません。つまり、ここまでの手順で**「アプリを抱え込んでいない、空っぽのSAP Fiori Launchpadを作った」**ということになります。

さて、本当に空っぽのLaunchpadでしょうか?
よく見ると、Site Contentに中にapplicationsというフォルダもありますね??

実は、SAP Fiori Launchpad Site Modulesには、最初からタイルが2枚くっついてきます。タイルの中身が外部サイトのリンクであれば、Webリソースを自分自身で抱え込む必要はありませんが、タイルに表示する文言やリンク先のような設定(定義)は必要なので、それらをSite Contentに抱えているというワケです。

もし自分で作ったSAPUI5アプリをタイルから呼び出したい!と思ったときは、Siteの中にWebリソースを抱え込む必要があります。もう少し正確に言うと、SAP Fiori Launchpadからシングルページアプリケーション(SPA)としてSAPUI5を呼び出したい場合になります。

このあたりについては、続編としてまとめたいと思います。では、ビルドしてみましょう。

Step3. Build

MTAプロジェクトを選択して右クリック > Buildを選択します。
build-01.png
Buildが成功したことを確認します。
build-02.png
Buildに成功すると、mta_archivesというフォルダに*.mtarが作成されます。フォルダが見つからない場合は、SAP Web IDEをリロードしてみてください。
build-03.png

Step4. Deploy

先ほど作成された*.mtarを選択して右クリック > Deploy > Deploy to XS Advancedを選択します。
deploy-01.png
OrganizationとSpaceを選択して、Deployをクリックします。
deploy-02.png
Deployに成功したことを確認します。
deploy-03.png
Consoleに出ているログから、次のようなフレーズを探します。

Application "XXX" started and available at "http://hostname:port"

このURLでSAP Fiori Launchpadが動いているようです。


↓↓↓実際にアクセスした結果がこちらです↓↓↓


deploy-04.png
deploy-05.png
deploy-06.png

できちゃったので、コマンド編

私が作っていたころは、SAP Web IDEから直接XSAにデプロイができませんでした。。。
どうやっていたかというと、こんな感じです。

  1. *.mtarファイルをローカルPCにダウンロード
  2. *.mtarファイルをSAP HANAに転送
  3. sshでサーバに接続
  4. SAP HANAにログインして、xs deployコマンドの実行

せっかくなので、こちらの方法もご紹介します。
コマンドは、自分の環境に応じて適宜変更してお使いください。

まず、*.mtarファイルを選択して右クリック > Exportを選択してファイルをダウンロードします。
export-01.png

次に、SCPコマンドを実行して*.mtarファイルをSAP HANAに転送します。

$scp -i .ssh/key-file.pem Downloads/hana_flp_0.0.1.mtar ec2-user@hxehost:work

sshでSAP HANAのサーバに接続します。

$ssh -i .ssh/key-file.pem ec2-user@hxehost

ec2-user (root)でログインしているので、hxeadmに切り替えて、xs loginでログインします。
-s オプション(Spaceの指定)は必須ではありませんが、デプロイ先がターゲットになっていることをご確認ください。

$ssh -i .ssh/key-file.pem ec2-user@hxehost
ec2-user@hxehost:~> sudo su -l hxeadm
hxeadm@hxehost:/usr/sap/HXE/HDB90> xs login -u xsa_admin -p password -s development

hxeadm@hxehost:/usr/sap/HXE/HDB90> xs target

API endpoint:   https://hxehost:39030 (API version: 1)
User:           xsa_admin
Org:            HANAExpress
Space:          development

xs deployを実行して、しばらく見守ります。このログを見ていると、デプロイの詳細なフローが分かって結構おもしろいです。

hxeadm@hxehost:/usr/sap/HXE/HDB90> xs deploy /home/ec2-user/work/hana_flp_0.0.1.mtar 


Uploading 1 files:
 /home/ec2-user/work/hana_flp_0.0.1.mtar
File upload finished

Starting process xs2-deploy...
Monitoring process 17501...
 Validating parameters...
 Processing MTA archive...
・・・
 Unregistering discontinued service URLs...
 Creating service brokers...
 Updating subscribers...
Process finished.
Use "xs dmol -i 17501" to download the logs of the process.

xs appsでデプロイされたアプリを確認できます。

hxeadm@hxehost:/usr/sap/HXE/HDB90> xs apps | grep hana
home-hana_flp           STARTED           1/1         64.0 MB   <unlimited>   https://hxehost:51006
home-Content-hana_flp   STOPPED           0/1         32.0 MB   <unlimited>   <none>

以上です。

さいごに

今回は、SAP HANA版Fioriの作り方をご紹介しました。環境面では、いろんな意味でハードルが低いので、勉強用として、デモサイトとして、社内のトレーニング用として、などなど、使いどころは多そうな気がしています。

今後は、今回作ったSAP Fiori Launchpadへの機能追加を題材に、MTAのもっとディープな内容(アプリルートやモジュールの依存関係、認証の仕組みなど)を解き明かしていきたいと思います。

参考情報

Creating a New Launchpad Site
Fiori Launchpad in SAP HANA 2.0 SP01

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