この記事の概要
私はそれなりの頻度で登壇しています。
外部向けの登壇だけでなく、社内向けに勉強会を開くこともあり、よく人前で話しています。
何度もやっているうちに、自分なりの原稿の作り方のコツが掴めてきたので記事にしました。
最初にまとめ
- イベント概要や参加者の属性を理解する
- 結論や要点は多めに伝える
- 修飾語を削る
- 実際に声に出してみる
- ページ送りのタイミングと文章の切れ目を揃える
要約すると、誰向けにどんな話をするのか、全体の構成はどうするのか、と大きな単位から考えます。
そして、方向性が定ったら細かな表現や話し方をブラッシュアップしていきます。
イベント概要や参加者の属性を理解する
同じようなトピックを話すにしても、イベントの雰囲気によって適切な話し方は変わってきます。
例えば初心者向けであれば分かりやすい言葉を使い、日常のものごとに例えると導入がスムーズです。
しかし玄人が多い場合に上記のような説明をすると、親切ではなく冗長な話として受け取られやすいです。
正しい専門用語を使い、最初から核心を話す方がウケは良いです。
社内だけとか、仲のいいメンバーでのクローズな勉強会の場合も、また違った雰囲気があります。
背景を細かく話すよりは「いつものやつ」といったハイコンテクストさで「気になったら後から聞いてよ」くらいの方が面白い話にしやすいです。
このように、まずは誰が参加するのかを理解し、そこにあわせた方針を定めるのを重要視しています。
結論や要点は多めに伝える
ビジネスの現場だとよく「結論から話せ」と言われます。
登壇の場合は、最初に言うのも重要ですが、随所に散りばめるのもまた重要です。
特に、難しめの話題や、長丁場の発表の際は殊更です。
時間が長いと「で、今話しているものが最後にはどうなるの?」と不安がる聴衆も多いです。
ひと段落ついたタイミングで「ここまでが、結論の 3 要素のうち 1 つ目に繋がってくるんですよ」なんて補足を入れると、分かりやすかったと言っていただきやすいです。
一例として、こんな構成を挙げます。
- 最初に結論を伝える
- 細かな話をする
- 間で一度結論に触れ、後半の方向性を示す
- 細かな話をする
- 最後にまとめで結論
LT くらい短い時間の場合、ここまですると冗長かもしれません。
ただ、その場合でも最初と最後に結論を伝えるのは効果的です。
修飾語を削る
修飾語が増えると一文が長くなって、聴衆は「結局何の話?」と困惑してしまいます。
どれだけ綿密に仕上げても、現場では「ちょっと」「割と」「どちらかと言えば」みたいな言葉を付け足してしまうものです。
ですから、原稿を考える時点ではバッサリと削るくらいが丁度良いのでしょう。
特に、予防線を張るための修飾語は減らします。
以下のようなフレーズを聞いたことはありませんか?
「今回のアプローチは、すべてとは言いませんが、XX など結構たくさんの場面で、ある一定は効果的だと思います。」
何か言っているようで言っておらず、ストレートに伝わりづらいです。
次のように変えた方が理解してもらいやすいです。
「今回のアプローチは特に XX の場面で効果的です。」
ただ言い切れば良いという訳ではなく、簡潔に言い切れるよう内容を整理するのが重要です。
副次的な話ですが、修飾語の少ない発表ができていると、強調したい箇所を伝えやすくなります。
デフォルトでは修飾語なし、強調したいときは十分に間をとって「とっっっても」などと表現すると、緩急がつきます。
SNS などでは「ある程度知識がつき、ジャンルに精通してくると、どんなものごとも言い切れない。あからさまに言い切っている人は怪しいと思え。」といった意見をよく見ます。
1 つの正しさだとは思いますが、登壇者としては明快に言い切れるよう心がけるのも、また 1 つの正しさだと思います。
「歯切れの悪い言い方しかできないから話すトピックや構成を見直そう」という心構えは、より良い発表を作る手助けになります。
実際に声に出してみる
テキストやスライドの内容を発表当日初めて声に出した(と思われる)人はよくいます。
話しながら「いや違うな、こっちじゃなくて……先に……」なんて独り言を言っている人、いますよね。
あれはきっと、初めて声に出している人です。
文章としてはよく整理できたと思っても、声に出すとしっくり来ない場合は多いです。
原稿を作りながら、ときどき声に出してみて推敲すると防ぎやすいので、毎回行っています。
関連して、できるだけ録音もした方が良いです。
文章の最後の方は毎回モゴモゴ言っているとか、セクションによって声量が違いすぎるとか、ほぼ間違いなく改善ポイントが見つかります。
ページ送りのタイミングと文章の切れ目を揃える
一息に言いたい言葉なのに途中でページ送りが挟まるとか、話は進んでいるのにページは止まったままとかだと、リズムが悪いです。
どれくらい話したら、どこでページを送るか?という観点も含めて原稿化しておくと、リズムが悪い場所も生まれづらいです。
私の場合、段落と段落の間に 1 行あけているとき = ページ送りのタイミングとしています。
原稿を見て、視覚的にも「長々と話しすぎだ」「しょっちゅうページをめくり過ぎだ」と分かります。
関連して、ページ送りと文章のタイミングをチェックしておくと、スライドを行ったり来たりするのが防げます。
よく、スライドを遡って説明して、戻ってきて、また遡って……と発表している人がいますよね。
聴衆からしたらかなり認知負荷が高く、辞めるべき行為なので、あわせてチェックしておきましょう。
まとめ
- イベント概要や参加者の属性を理解する
- 結論や要点は多めに伝える
- 修飾語を削る
- 実際に声に出してみる
- ページ送りのタイミングと文章の切れ目を揃える