概要
デザインツールFigmaの、年に一度のカンファレンスであるConfigに現地参加してきました。
機能紹介自体は公式のリリースノートに譲るとして、個人的な感想をまとめました。
私はQiitaで働いており、あくまでQiitaでの条件に基づいた意見です。
広く一般的に当てはまるものでは無いかもしれませんが、あしからず。
対象読者
共感していただけるかも?と思っているのは以下のような方です。
- Figmaの新しい機能やその活かし方に興味がある人
- 組織内でFigmaの導入・運用などの責任を負う人
- デザイナー・エンジニア・マーケターいずれかの組織で、使用するツールやオペレーションの責任を負う人
これから活用したいこと
Grid
CSSにおいては、どこでGridを使うべきか、どこでFlexを使うべきかはある程度ベストプラクティスが決まっています。
これまでのFigmaではすべてAuto layoutの縦横一方向で、ネストを使って表現するしかありませんでしたが、これからはコードのベストプラクティスに沿ってデータを作れば良さそうです。
おおまかに言えば、絶対にFlexが優位なもの以外はGridで組み、Flexが優位なものは縦横一方向のAuto layoutで組み、どうしても自由なレイアウトが欲しい場合だけフリーフォームで組む、という方針になると思います。
非常に細かい話でいえば、これまではtable要素に相当するデザインデータは一方向のAuto layoutで無理矢理組んでいるたので、すべてGridに置き換えたいです。
現状ではSubgridに相当する機能や、高さにHugが使えないなどで、痒いところが残っていますが、今後のアップデートで改善されることでしょう(私自身もフォーラムなどで意見を出そうと思います)。
Figma Site
まずは単発とか、期間限定で使用するようなサイトの作成で使ってみたいと思いました。
CMSが導入予定とはいえ、長く運用するサイトにいきなり適用するには怖さがあります。
ただ、逆を言えば単発っぽいサイトならすぐにでも使いたいと思いました。
Qiitaではイベントに関する特設ページを定期的に制作しているのですが、それをFigma Siteで作れたら時短になるのではないかと思っています。
イベントが終わってサイトをクローズしたとしても、編集しやすいFigmaアセットが残っているので次回のイベント時も使い回せるはずうと踏んでいます。
また、Configの当日(2025/05/08)時点では使えませんが、すぐに使えるようになるとのことであるCode layer(コードを用いてUIを作成・描画できる機能)も楽しみです。
実際に使ってみないことには分かりませんが、デモの中では「npmモジュールも使える」と言っていたはずなので、それなりに複雑なものも作れるのではないか?と期待が高まっています。
Figma Make
類似サービスもありますが、Figma内で、Figmaデータを参照情報としてコードを出力できるという点に期待しています。
MCPなどを駆使せずとも、労せずFigma MakeだけでFigmaデータそのままに精度高くコードとして出力されたらかなり嬉しいです。
また、個人的にもQiitaでの制作でもシェーダーを書くことがあるのですが、それをAIにある程度任せられるとしたら助かります。
デモでは3Dの描画までしていましたが、そこまででなくとも全然問題ありません。
2Dの描画であっても、シェーダーを書いてくれるならありがたい限りです。
現状だとコードベースとの接続まではできなさそうですが、ゆくゆくはそれも可能になると嬉しいです。
Figma Buzz
時短になりそうという意味では、Figma Buzzが一番可能性を感じました。
Qiitaでいうと、イベントごとにたくさんのバナーを作ります。
それらの内訳は、登壇者名や発表タイトル、所属企業のロゴが違うだけということも多いです。
まさにFigma Buzzのデモであったようなバリエーション作成でもって、制作時間の短縮が狙えると踏んでいます。
また(最近は減りましたが)Zoomの背景を名刺代わりにする使いかたがあり、その制作なんかはFigma Buzzで置き換えられそうです。
パッと浮かんでいませんが、今までだったらデザイナーが手動でちょこちょこと作っていたものを、Figma Buzzを使って大胆に置き換えられる可能性はあると思っています。
Figma Draw
気持ちの話なのですが、まずは今の時期にこういったアップデートがあって嬉しかったです。
昨今はAIによる効率化などの話が大半ですが、ここに来てFigmaがクラフト領域に手をつけてくれたのは業界的にも価値があると思っています(少し大袈裟な言い方かもしれませんが)。
ブラシやパターンなど、細かな使い勝手がもう少し良くなれば、Illusratorを起動する回数も随分減るのかもしれません。
それが良いか悪いかは分かりませんが……とにかく「細かな表現までしようと思うとFigmaでは難しい」という流れを打ち破るきっかけにはなりそうに思っています。
個人的に悩んでいること
ここまではどちらかと言えばポジティブな話を書いてきましたが、若干ネガティブな部分もあります。
おおまかに言えば「Figmaを隅から隅まで使える人をどう育てるのか?あるいは、使えなくても良しとするのか?」といった悩みです。
というのも、今回のアップデートをもとに「隅から隅までFigmaを使いこなせる人」を考えると、以下のような条件になってきます。
- UIデザイン(モックアップ作成)ができる
- コンポーネントライブラリの設計・運用ができる
- フロントエンドの一部(ビューに関わる実装)がある程度できる
- 自分でビジュアルデザインができて、なおかつテンプレート作成など運用まで気にかけられる
- 上記の内容を下敷きにして、vibe codingができる
正直に言うと、すべてを満たす人はかなり少ないと思います。
幸い私はこれらの条件をすべて満たしているので、一応胸を張って「Figmaを全般的に使えます」と言えると思います。
ただ、組織の全員が全員この条件を満たすのはかなり厳しいはずです。
そうなった場合、職域やキャリアの方向にあわせて「あなたはここからここまでできればOKという指針を示す必要があるのかもしれません。
例えばAdobeソフトでも、PhotoshopとAfter Effectsの両方を高いレベルで使いこなせる人は少ないですが、ジャンルが違うので問題にはなりません。
単純化すれば、静的な制作ならPhotoshopを、動的な制作ならAfter Effectsを使うという住み分けです。
そういったイメージで、〇〇系の仕事ならFigmaの中でも〇〇が使えればよっぽどOKと整理する必要があるのだろうか、といった漠然とした思考です。
各人が見つければ良いという意見もあるとは思いますが、組織を見ている人間としてはそこまで自助努力に頼って良いのだろうか……という気持ちでいるのです。
これについては答えは出ていません。
これからも考えようと思います。