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IT資格試験『合格のコツ』と『取組みポイント』 ~40超の資格取得経験から~

Last updated at Posted at 2021-12-15

0.はじめに

私は普段、IT企業の企画系部門で仕事をしています。以前は開発現場にいたため、開発経験もあります。

これまでIT系の資格を含め、40以上の資格試験に合格しています。この経験を踏まえ、私なりの資格試験に合格するコツ取組みポイントというテーマで記事を書いてみたいと思います。

どこまで共感いただけるかわかりませんが、「こんな人もいるんだな」程度で気楽にご覧ください。資格試験の合格を目指している方のお役に少しでも立てば幸いです。

1.合格・認定実績

手前味噌ですが、これまでに合格した主な資格試験(あるいは認定を受けたもの)は次のとおりです。IT系以外のものもあります。中には難易度の高くない試験もありますが、いずれも合格に至るまでにはそれなりの学習が必要でした。
image.png

2.取組みの目的

このような実績を踏まえつつ、なぜ資格試験に取り組んでいるのかを整理してみたいと思います。

2-1.取組みの背景

資格試験に取り組む目的は人それぞれだと思います。
私の場合、仕事をする上では「その道のプロフェッショナルであるべき」という考えがあります。そして、プロフェッショナルであるためには十分な関連知識を有していることが大前提となります。仕事をして対価をいただく中で「知りません」では話になりません。

2-2.なぜ資格試験か

関連知識を得るのに、なぜ資格試験を活用しているのかについて整理してみたいと思います。

2-2-1.知識が体系的に整理されている

資格試験を利用する最大の理由は、「知識が体系的に整理されていること」にあります。
知識というのは放っておくと偏在化していくため、上手に管理しなければ知識の属人化が進み、さまざまな問題が起こります。一方で知識の体系的な管理には多大な労力を要します。

そこで資格試験が役立ちます
知識がトピックやレベル別に整理されており、コンテンツには一定以上の信頼性があります。また、教材や問題集があり、対策セミナーやオンライン講座などもあります。これらを利用すれば高い信頼性の中で効率的な学習が行えるため、使わない手はありません。

2-2-2.ゴール設定として活用しやすい

資格試験は「合格」という形で結果が明確にわかるため、ゴール設定としてとても使いやすいものになります。

将来的な自分自身のビジョンがあったとしても、そこにたどり着くまでのプロセスを具体化するのは難しい作業になります。そこに資格試験の合格をマイルストーンとして置くことで、プロセスの一部が具体化され、モチベーションにつなげることができます

2-2-3.自分を追い込む理由にできる

このあたりは考え方次第ですが、資格試験の失敗(=不合格)というのは、「ねらったレベルの知識を身に着けることができなかった」ということになります。
さらに受験料はもちろんのこと、その後に控えているスケジュールが遅れることにもなり、大きな損失となります。特に高度情報処理のように年に1度しか機会がない試験では、次の試験区分へのチャンレンジも1年ほど遠のいてしまいます。これはプレッシャーと感じられてしまうかもしれませんが、逆に考えれば自分自身を追い込むための理由にすることができます。

2-2-4.学習の習慣ができる

資格試験の合格までにはそれなりの学習時間を要します。
公式テキストなどはひととおり読む必要がありますし、繰り返して覚える作業も必要です。さらにシラバスをチェックしなおしたり、問題集で知識の定着状況を確認しながら弱点を補強したり・・・と、やるべきことは沢山あります

ひとつの資格試験だけを目標にすると一過性のもので終わってしまいますが、複数の試験を立て続けに設定することで、日常的に学習する習慣が身に付きます。学生のころから継続されている場合はそれでよいと思いますが、社会人にもなるとそのような習慣がすっかりなくなってしまうというケースが多いのではないでしょうか。

社会人になっても学習習慣を継続するには、資格試験の活用がひとつの効果的な方法となります。

2-2-5.自分の性格に合っている

資格試験の活用が自分の性格に合っているかは重要なポイントになります。
大きなプレッシャーがかかるのは誰だって嫌ですし、試験での一発勝負はできれば避けたいものです。もちろん私も同じで気持ちです。
しかし、それ以上に知識の重要性を認識していますし、先述のような損失を被るのは御免です。そして性格的にゴールなき学習は苦手です。

つまり、

 知識は重要 & 損失は嫌だ & ゴール設定が欲しい > 試験のプレッシャー

というのが私の中での価値観です。これが逆転していると資格試験の活用は向いていないかもしれませんので、いちど自分自身に問いかけてみてください。

ちなみに、私は教材を購入するときが一番勇気のいる瞬間になります。なぜなら、試験にチャレンジすることが確実になる最初のアクションが教材購入だからです。その後に待ち受けている茨の道を考えると「嫌だなぁ」と思うことはありますが(というか毎回ですが)、勇気をだしてポチってます。

2-2-6.なんだかんだで評価される

これは副次的なものですが、資格試験への取組みを継続的に行っていると周囲からの評価もそれなりについてくることがわかりました。

但し、「資格試験に合格したから評価をしてくれ」というのはNGです。たまに「彼は資格取得でも頑張ってるから・・・」という発言を聞いたりもしますが、資格に取り組んでいる私から見ても大きな違和感があります。知識は前提であって、成果はその後の行動によって生まれるためです。

しかし、成果が明らかとなった後に資格取得を成功要因のひとつとしてアピールすることは全く問題がない、むしろよいアピールになると考えます。評価者としては、成果そのものを評価できるうえに、プロセス上の成果が明確に提示されると、ある種の裏付けとしてより評価がしやすくなります。(もちろんそれはほんの一部にすぎませんが、+αになる可能性もあります)

3.取組みのプロセスとポイント

ここからは、資格試験に取り組むうえでのプロセスとポイントについて整理してみます。

3-1.目的とゴールの設定

まずは、資格試験の取組みにおける目的とゴールから設定していきます。

3-1-1.「なぜ取り組むのか」を明確にする

何となく「やってみよう」ではなかなか身が入らないものです。取組みにあたってはその理由をできるだけ具体的にしたほうが良いです。

一番よいのは、その知識が必要になったタイミングで取り掛かることですが、隣接分野となったタイミングで学習を開始するのも知見を拡げるよい方法です。たとえば、「業務では直接的には関わっていないが、会話の中で出てくることがあるので知っておいた方がよさそう」といった場面です。

学習の効果的な手法としてアジャイル・ラーニング(必要になったタイミングで学習プロセスを埋め込む)という考え方もありますので、興味ある方は調べてみてください。

3-1-2.どの資格試験に取り組むかを決める

分野によっては、複数の団体で似たような資格試験が運営されていることがあります。また複数のレベル設定があり、どのレベルから取組みを開始するかは選択の余地があります。(最低レベルのものは学生向けだったりもします)
どの試験に取り組むべきか、試験概要やシラバス等を確認して決めていきましょう

3-1-3.合格後の自分をイメージする

資格試験への取組みよって具体的にどのような知識が身に着くかはやってみないと分からないところもあります。とはいえ、「知りたかったこととは少し違った」という結果はよくありません。そのため、「どのような知識を得たいか」、「どのように活用していきたいか」といったことを考えつつ資格試験の内容を調べ、合格後の活用イメージを付けておくのが良いと思います。

3-2.ゴールまでの道のりを設定する

ゴール(=合格)までの道のりの設定します。つまりスケジューリングです。
公式テキストや問題集がある場合は、目次およびページ数を基準に、どれくらいのペースでこなしていくかを計画します。通常、試験の直前ではウィークポイントに重点を置いた学習や総復習が必要になりますし、必ずしも計画通りに進まないこともありますので、試験前の一定期間(試験難度や規模によるが、1週間から3週間程度が目安)は具体的な作業を入れないようにできると、余裕を持った良い計画となります。

3-3.全体像をおさえる

新たな知識領域に入る場合、全体像をおさえてから具体的な学習に入るのが効果的です。

ありがちなのは、テキストを頭から順に読み始めたものの、途中で挫折してしまうといったケースです。途中で挫折するのは新しい知識が多すぎる場合に起こりやすいと感じます。新しい知識ばかりだと、途中で疲れてしまうためです。

対処方法として、概要レベルの教材を先に使うのがよいと考えます。特に、Udemyのような動画系教材がおすすめです。
動画コンテンツのメリットとして、テキストに比べて情報量が多いこと、時間で自動的に進むので多少は理解が落ちていても先に進めてくれること、見終わったころにはそれなりに全体感がつかめていること、などがあげられます。

3-4.信頼性の高い教材を使って学習する

学習においては、できるだけ信頼性の高い教材を選択するようにしましょう。
公式のテキストや問題集、あるいは公開されている過去問がある場合はこれらを必ず使います。これらがない場合は、できるだけ評判のよい書籍等を選択するようにしましょう。
昔は書店に行って自分の感覚に頼って選択していたものですが、今はAmazonなどで売れ行きや口コミが確認できますので、労せず選択できるかと思います。

Udemyの場合はスターの数や口コミの内容をよく確認しましょう。個人的な理由で低評価を付けられている場合もありますので、総合点だけではなく、口コミの性質も確認しておいたほうがよいでしょう。30日返金保証という制度はあるようですが、Udemyの返金ポリシーを見ると、何度も繰り返し返金請求ができるわけではなさそうなので注意してください。

3-5.合格するために

せっかくのチャレンジなので、確実に合格に持っていきたいところではありますが、「必ず合格する」というメソッドは存在しません
しかし、合格する可能性を高めるメソッドは確実に存在すると考えています。

正直な話、高度情報処理では何度か失敗をしていますが、それ以外の試験での合格率は100%です。ポイントは沢山ありますが、簡単に2つの分類でご紹介します。

3-5-1.記憶系試験問題の学習方法

記憶系の試験問題は、キーワードの意味が理解できれば回答できる類のもので、「知っていれば解ける問題」です。多くの試験問題はこちらに該当します。手順的に答えが導ける問題もこちらの分類で、たとえば「公式に当てはめるだけ」といった問題です。
これは記憶頼みになるため「覚えるだけ」と言ってしまえばそれまでですが、重要なのは「必要なタイミングで記憶を想起させること」です。問題集等を使って、キーワードと意味が自分の中でしっかりと紐づいていることを繰り返し確認しましょう。

3-5-2.テクニック系試験問題の学習方法

テクニック系問題として、たとえば情報処理試験の午後Ⅱにある「論述」系の問題などが該当します。この類の問題は、勉強量と合格率が必ずしも比例するわけではないため少々厄介です。実際、「論述系の試験区分で落ち続けている」、「今年で○回目のチャレンジだ」といった話をよく見かけますし、私自身も失敗しているのは基本的にこちらです。

しかし、対策がないわけではありません
学習する際に認識しておくべき前提は、「採点者がいる」ということです。すべての採点を一人でさばくのは不可能であり、「複数の人たちが、一定の基準をもって採点作業を行っている」ことになります。少し言い換えると、「明確な採点基準があり、その基準に沿ってシステマチックに採点が行われている」ということです。つまり、「基準に沿った回答になっているほど、高得点(=合格)となる可能性が高い」といえます。実際、情処試験ではいかに題意に沿った回答・論述がなされているかがポイントになる、とよく言われています。(そして、それは当然の話だとも思います)

この前提を意識して学習に取り組むことで良い結果が生まれやすいと考えます。しかし、客観的な視点も必要ですし、一人では難しい作業になることもあるため、友人や同僚に協力してもらう、あるいは添削サービスを利用し第三者視点で評価をいただく、といったことも必要になります。

こうした話をすると、「現実的には役立たない」と考える方もいるようですが、そんなことは全くありません
例えば提案を行う際、あなたはどのようにプレゼンのストーリーを構築し、どのようなロジックを組み込むでしょうか?
まず意識すべきはプレゼンの相手(=採点者)であることは間違いありません。その相手方が、自分たちのプレゼンをどのように見て、どのように評価するのかを考えながらストーリーを構築しなければなりません。限られた時間の中でどのような話題を取り上げ、どこに注目させ印象づけるのかといった点もロジカルに整理する必要があります。論述試験の思考プロセスはこういった場面でも役立つものだと感じています。

4.モデルケースで考える:G検定

抽象的な話が続きましたので、具体的なケースとして「G検定」を考えてみたいと思います。
※社内事情についてはそのまま書けないので脚色しています。

ちなみに、G検定の概要は、

ディープラーニングの基礎知識を有し、適切な活用方針を決定して、事業活用する能力や知識を有しているかを検定する。
※引用:https://www.jdla.org/certificate/general/

となっています。

4-1.目的とゴールの設定

あるとき、社内に新たな部門が設置されました。
その部門では、データサイエンティストの育成とAIに関連する新たなビジネスの獲得がミッションとなっています。企画系部門に所属する私にとっては他人事でなく、新たな取組みの企画・調整を行うため、その部門とコミュニケーションをとる必要があります。

しかし、彼らが何をしたいのかが理解できるか、それに対して私はどのような協力・支援ができるのか、そもそも彼らと会話が成立するのか、といった懸念が生まれました

そこで、「彼らと会話ができる必要最低限の知識を得る」ことを目的に、G検定の合格をひとつのゴールに設定することにしました。

4-2.ゴールまでの道のりを設定する

G検定では、試験出題範囲となる「シラバス」が公開されています。また、公式テキストも存在しますので、これらは確実に使用していきます。

しかし過去問は公開されておらず公式問題集もないため、自らの選択で新たに購入する必要があります。
AI分野は進展が早く、問題の内容はどんどんと変わっていくことが想定されます。実際、2021年にはシラバスの更改がありました。そのため、できるだけ発刊日が新しく、評判の良い書籍を選択する必要があります。
一例にはなりますが、以下の書籍が目につきました。

教材を特定したら素早く購入します。この瞬間に学習量が具体化されたことになりますので、書籍の到着次第、適切な分量での計画を立てていきます。

4-3.全体像をおさえる

G検定への取組みにあたり、過去にAIや機械学習、統計学などに触れたことがない場合、新しい用語や概念が数多く出てくることが想定されます。そのため、最初は概要レベルで全体像を抑えるのが、学習プロセスとしては効果的です。

例えば、以下を利用します。

4-4.信頼性の高い教材を使う

G検定では公式テキストがあるので、それを使います。
問題集や補助教材は上記のとおりです。

4-5.合格するために

G検定は先ほど説明した分類であれば「記憶系試験問題」となります。公式テキストと問題集で着実に理解を重ねれば合格圏内は固いです。
各キーワードの意味を理解していけばよいのですが、G検定のキーワードはアカデミックなものも含まれるため理解をするのが難しい部分がどうしても出てきます。これらを概念理解で留めるか、より深い理解に持っていくかは選択になりますが、G検定の趣旨を考えると基本的には前者になると思います。
より理解を深めたい場合はまずWeb検索になります。追加の補助教材を使って理解を深めていくこともできますが、予算や時間と相談しながら、無理のない範囲で進めてみてください。(ここでの完璧主義は禁物です)

5.番外編

5-1.こんな人は相手にするな(という気持ちも大事という話)

「資格試験は役に立たない」という方が一定数存在します。考え方はひとそれぞれでよいのですが、資格試験に取り組んでいる者同士の会話の中で否定的な話というのは基本的に出てきません。むしろ、がんばった者同士での共通認識が生まれ、不思議な関係性ができあがったりもします。自分の努力を否定したくないという心理が働いている可能性はありますが、知識を得るという行為(=知的好奇心)は人間の本質のひとつであると私は考えています。

もし「資格試験なんて・・・」という方に出会ったとしても、「そうですね、人それぞれですね」だけでよいと思います。

5-2.資格マニアはナンセンス?

多くの資格試験への取り組みは、傍から見ると「資格マニア」に映るかもしれません。
資格マニアというのは抽象的な表現ですが、一例として「資格を取得することが目的」になってしまっているケースがあると思います。こうなると対象資格は何でもよく、目についたものを手当たり次第、ということになってしまうかもしれません。

しかし私の場合、少なくともひとつひとつの取組みに意義・目的をもって取り組んでいますので、資格取得自体が目的化することはありません。仮に資格マニアと称されていたとしても実績の言い換えとして悪い気はしません。気にせずに取り組んでいきましょう。

5-3.大変だけど愚直に

知識を備えることの重要性は冒頭でも言及しましたが、もうひとつの背景として「私自身は特別な人間ではない」という考えがあります。他の人よりも記憶力が高いわけではないし、特別な能力があるわけでもありません。ましてや突出している特徴もないため、才能豊かな他者に対抗するためには愚直にやるしかないわけです。

プライベートな時間を削って勉強し続けることは大変だと思うこともありますが、そうでもしなければ周囲には勝てないということも自覚しています。「大変」だと感じるのは才能がないのだからあたりまえですし、そもそも楽して知識が得られるのならば全員が博識者です。
努力して積み上げたものは必ずどこかで役立つと信じ、これからもコツコツ行きたいと思います。

6.おわりに

今回の記事を書いたのは、アドベントカレンダーでたまたまこのトピックを見つけたところからでした。
IT資格には普段から力を入れているので、今回投稿させていただきました。

この先、人生が何十年時代になっていくのかはわかりませんが、得られた知識は長い人生の中で大きな財産になると信じています。これからも力を入れて続けていきたいと思っていますし、今回の整理は自分自身への戒めにもなりました。

長文となってしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。

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