はじめに
はじめまして、Supership 21 卒の @ksfunc です。
私の所属している Supership の広告配信関連のプロダクトを開発しているプロダクト開発本部アドテクノロジーセンターでは、2 か月に 1 回のペースで「アドテクセンター勉強会」という社内勉強会を開催しています(しようとしています)。
本記事ではこの勉強会について、その成り立ちと開催目的、過去の勉強会の内容、最近の勉強会の内容、今後の勉強会の計画と運営側のねらいについて紹介します。
アドテクセンター勉強会の成り立ちと開催目的
Supership は M&A により複数の企業が集まってできた会社であり、チームによって文化や開発スタイル、技術セットが大きく異なることがあります。
技術セットの多様性は強みになり得ますが、誰がどの技術に精通しているのかがわからないがために、結局チーム内で勉強して議論が完結してしまうことが多々あるように思えます。過去には、そもそも他のチームがどんなプロダクトを作っているのかを知らないという状況もあったようです。
そのような状況を改善し、チームを超えてエンジニアが交流することで技術セットの多様性を強みに変え、アドテクノロジーセンター全体で価値のあるプロダクトを創出していくことを目的として、2017 年の 9 月からアドテクセンター勉強会がスタートしました。
ちなみに、アドテクセンター勉強会は、元々は「Premium Friday 勉強会」という名前だったようです(私が入社した頃にはすでに改名されていましたが)。名前の通り、現在では事実上終了してしまった Premium Friday に乗っかり、月末の金曜日に開催されていたようです。
過去の勉強会の内容
スタート当時
スタート当時の勉強会では、前述の目的に即し、広告業界の話や各プロダクトの紹介、設計思想・使用技術の紹介が主な発表内容となっていました。たとえば、下記のような発表タイトルで、各プロダクトの創設者・主導者クラスのエンジニアによる発表がありました。
- 最近の激動のアドテク業界について
- 使いやすい SDK を目指してやってきたこと
- プログラミング言語 Crystal の紹介
- PMP Dashboard について(GraphQL 編)
- VPAID って何?
- 長年の風雪に耐える広告配信システムのアーキテクチャとその設計思想
- WebOrder と技術的負債
- Introduction of Momentum
- AdPlatform について
- DSE 部 データサイエンス G チーム紹介
- Datapia のサービス構成と開発フロー
- アドジェネ rtb-engine 周りの紹介
- Adsvr とその開発チームについて
各発表の資料は社内サイトで共有されており、後から見直せるようになっています。とりわけ、設計思想の話はアドテクノロジーセンターに新たに Join したメンバーの On-Boarding にも活用されており、知識が引き継がれています。
しばらくしてから
しかし、2019 年の終わり頃には各プロダクトの紹介や設計思想・使用技術の紹介が一通り済んでしまい、登壇者を見つけるのが難しくなってしまったため開催のペースが鈍化してしまっていました。
私が入社した 2021 年には、新卒 2 年目のエンジニアが 1 年間の成果発表を行う会しか開催されなくなってしまっていました。
最近の勉強会の内容
最近になって再び勉強会を活性化させたいという話があり、私も運営に参加し、2 か月に 1 回のペースで開催することを目標としました。
とはいえ、開催のペースが鈍化してしまった原因である、誰にどんな内容で登壇を依頼するのかに困るという課題は依然として残っていました。
過去の発表タイトルを眺めている中で、これまではプロダクトの過去や現状について話されることはあったものの、現状の課題や理想とする未来についてはあまり多くは話されていなかったことに私は気がつきました。
会社の全体会などを通じて業界の変化に合わせて会社全体として向かわなくてはならない未来は見えていても、個別のプロダクトが抱えている課題や理想とする未来、どこにボトルネックがあってどこにモデルケースがあるのかがあまり明確にされていないように思えたのです。
そこで、取っ掛かりとして「理想の開発環境・本番環境」をテーマに決め、各チームに登壇依頼を出してみました。
アドテクノロジーセンターでは、プロダクトによってモダンな CI/CD 環境を整備しているチームもあれば、コンテナ化すらできていないチームもありました。さまざまな事情はあるのだとは思いますが、プロダクトの規模が大きくなるほどチームが細かく分割されており、チームを超えて歩調を合わせて抜本的に改善をするというのが難しいために、近視眼的な改善しかされていないように見えることもありました。
勉強会でテーマとして取り上げることで、チームを超えて認識を揃え、改善できるにもかかわらずチームを超えるので議論が後回しにされていたり、そもそも他のチームに課題があることに気が付いていなかったりする状況を脱して、理想に向かうための議論のベースを作りたいという思惑がありました。
そして勉強会当日には、実際にインフラを担当しているチームからアプリケーションを開発しているチームで自動デプロイができていないチームに対して、どこがボトルネックになっているのかを問うような質問がなされており、こちらの思惑通りその場で議論の足がかりができていました。
今後の勉強会の計画と運営側のねらい
勉強会のアンケートの結果からも、現状の課題や理想とする未来を語るテーマが好評であることはわかっています。しかし、テーマが枯渇して登壇者を見つけられなくなるという課題の根本的な解決には至っていません。
それは、そもそもの目的を達成しつつあると捉えることもできます。ただ、勉強会の文化を途だしてしまうのも非常に勿体無いため、目的や方向性を変更して、情報発信・情報共有の場として勉強会を継続させる方法を模索しています。
たとえば、業務で使用している言語・フレームワークの新機能やクラウド関連の新サービスなど、個別のプロダクトに依らない一般的な知識や個人開発で得た知識などを新卒でも誰でもカジュアル話せる場を提供し、自発的に登壇者が集まるような環境を作りたいと思っています。そこから、既存のプロダクトの改善や進化のヒントを得られるとなお良いと思っています。
また、過去に発表された内容でも新しく Join してきたメンバーには十分に価値があるし、過去の発表を見た方からしても進化を愉しむことができるため、同じテーマを繰り返すのも一つの手だと考えています。
運営側の体制にも勉強会の開催を続けられる仕組みを作る必要があります。
現状では数人のやる気のあるメンバーで勉強会の運営を回しています。しかし、やる気だけに頼ってしまうと、やる気が落ち込んだ際ややる気のあるメンバーが抜けてしまった際に開催の遅れが生じて、そのまま開催のペースが鈍化してしまう可能性が考えられます。
そこで、新卒で役回りを回していく文化を作りたいと考えています。先ほども少し触れましたが、新卒のエンジニアが配属されて 1 年が経過したタイミングで、1 年間の成果発表を行う会があります。その会が終わったタイミングで、運営のバトンタッチをしていければと思っています。
おわりに
Supership は複数の企業が集まってできた会社であり、まだまだ文化が定着していない部分が数多く残されています。そのため、新卒エンジニアには文化を作り上げていくことが期待されています。
既にあるレールに乗るのではなく新しいレールを作りたいというエンジニアにとっては、とてもやりがいのある環境が Supership にはあると思います。
勉強会の開催を続けていくのは困難も多いですが、私は価値も高いと信じているので上手に仕組み化して続けていきたいです。その中で、文化の継承を仕組み化する文化を作りたいです。
他社ではどうしているのかも聞いてみたいです。
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是非ともよろしくお願いいたします。